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1980年代映画 コメディ 日本映画 洋画 イ

伊賀のカバ丸

公開 1983年
監督 鈴木則史
公開当時 真田広之(23歳) 千葉真一(44歳)

小学生の頃、姉が別冊マーガレットを定期購読していたため、「伊賀のカバ丸」は連載初回から読んでいましたが、あっという間に人気に火が付き、アニメ化、さらには実写化されました。

当時「別マ」は、くらもちふさこや槇村さとる、いくえみりょうなど、ポップでおしゃれでちょっとクールな作風が主流な印象があり、「カバ丸」の下ネタありのドタバタギャグには違和感を感じたものです。

真田広之を始めとするJAC(ジャパンアクションクラブ)が総出演で映画化され、しっかりとアクション部分はキメているものの、その分ギャグ要素は沈んでおり、原作のおバカな空気を生かしきれない中途半端な仕上がりになった印象です。

1983年『伊賀野カバ丸』|wasenobu【全盛期JACファン歴】

伊賀の山奥で修行に明け暮れていたカバ丸は、父親の才蔵が亡くなった事をきっかけに上京。
名門「金玉学園」に転入し、学院長の娘、大久保麻衣に一目惚れ、さらには学院の影の支配者、目白沈寝と共に、ライバル校「王玉学院」との攻防を繰り広げる…

天然キャラのカバ丸よりも、周囲の個性的なキャラクターを楽しむ作品と言えるかもしれません。

カバ丸役の黒崎輝は、天然というより脳筋ガキ大将キャラで、カバ丸のイメージと微妙にズレており、個性に乏しく存在感は薄いと言わざる得ません。

真田広之といえば「伊賀のカバ丸」の沈寝様を忘れてはいけない。 焼きそば1000杯

結論から言うと、本作は真田広之を見る作品です。

目白沈寝は表向きは病弱で読書が好きな美少年、実際には学園の裏番長で、部下には容赦なく鞭をふるう昭和の漫画にありがちなキャラクターで、真田広之が沈寝をどう演じるかも見所でしたが、実際には原作を超えたと言えるかもしれません。

色白で長髪の沈寝のコスプレチックなビジュアルもハマっており、二次元的な見た目と説得力のあるアクション、確かな演技力で主演の黒崎輝の存在を忘れるほどのインパクトがあります。

体幹のブレないアクションと華麗な鞭さばき、カーアクション、読書をしながらのロッククライミングなど、彼の身体能力を余すところなく披露しています。

彼が演じる目白沈寝を見れたという事だけでも、実写化の意味があったと言えます。

現在では世界的なスターになってしまいましたが、これだけ華があって体が動く俳優は貴重な存在ですね。

映画の主題歌は真田広之、黒崎輝、高木淳也ら主演3人が歌う「青春まるかじり」で、歌唱力はご愛敬ながら、「少年隊」を思わせるキレのあるダンスを披露しています。

映画のラストにはカバ丸の父親才蔵の役で、JACの創始者であり俳優の千葉真一も出演しています。

映画【伊賀野カバ丸】JAC総出演♡ | ∠かなめまよの胸はって行け〜!自信持って行け〜!

ジャパンアクションクラブ(JAC)は「肉体は俳優の言葉」をモットーに千葉真一が設立した団体で、真田広之や志穂美悦子らを輩出した1980年代は入団希望者が殺到していたようです。
現在でも「吹き替えやCGに頼らず、自らの肉体で全ての演技をこなす」という信念のもと、戦隊ヒーロー作品や映画のアクションスタントなどの育成を行っています。

現在はルックス重視で、アクションを習得してからデビューするようなタレントは少ないのかもしれません。

JACから第二の真田広之がデビューすることを願ってしまいます。

残念ながら現在本作が視聴できるサブスクは無いようです。

近所ににTSUTAYAがあった頃、邦画DVDセクションの片隅でホコリを被っていたのを思い出します。

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コメディ 洋画 ム

ムトゥ 踊るマハラジャ

公開 1995年
監督 K・S・ラヴィクマール
公開当時 ラジニカーント(45歳)

この世の憂さを晴らすような明るさに満ち、ほとんどの日本人にとって本作がインド映画とのファーストコンタクトだったのではないでしょうか。

主演のラジニカーントは吉幾三をワイルドしたようなルックスながら、公開当時日本で「インドのキムタク」と称されるほどインド国内で絶大な人気があり、国が変ればイケメンの基準もこれほど変わるのかと驚いたものです。

映画自体は素朴でコメディ要素は昭和のテレビ創世記のようなユルさがあるものの、一周回ってまったく新しいものを見せられた感があり、そのインパクトたるや凄まじいものでした。

ムトゥ踊るマハラジャ | 今日もこむらがえり - 本と映画とお楽しみの記録 -

映画開始とともに「SUPER STAR」のテロップ、文字の間からスターウォーズの冒頭シーンのような宇宙を思わせる暗闇から「R A J I N I」の文字が3Dのようにシュッシュッと観客目掛けて飛んでくる…

荘厳な寺院で祈りを捧げるムトゥ。
「神聖なるアッラーよ、感謝を捧げます…」

祈りが終わりピューっと口笛を吹くと二頭立ての白馬の馬車が現れ、ムトゥは馬車で村を疾走しそのまま怒涛の勢いでオープニング曲が始まる…

ご主人様はご主人様は只一人
ご主人様は只一人
その他の者は皆しもべ
運命に従うは敗北者
運命に勝つは賢者
欲望に勝てば世界はお前のもの

力業でねじ伏せらるようなオープニングのインパクトに思考停止し完敗してしまいました。

本作は165分の長尺で、タイトルが出るまでのアバンタイトルに15分間使われるなど、時間配分がバグっているとしか思えない構成になっています。

インド映画特有のダンスと歌のシーン満載で、色とりどりのサリーを纏った女性たちと村の男性たちが、男女の駆け引きをテーマにした曲に乗ってにキレのあるダンスを披露します。

ムトゥ踊るマハラジャ | 今日もこむらがえり - 本と映画とお楽しみの記録 -

大地主ラージャに仕えるムトゥは、腕っぷしが強く明るく性格が良く、村人から信望が厚い人気者。
ムトゥには驚くべき出生の秘密があった…

旅芸人一座の人気女優ランガ。
勝ち気でキャンキャン言いたいことをまくしたてるランガにムトゥは
「汚い言葉を使うのは止めろ。 美しいタミル語を話せ…」

インド映画スター、与党を倒す影響力 『ムトゥ 踊るマハラジャ』セリフに隠された政権へのメッセージ | 映画 | BANGER!!!(バンガー) 映画愛、爆発!!!ムトゥとランガを中心にダンサーたちが極彩色の衣装で踊る「ティラーナ ティラーナ」は本作の一番の見せ場かもしれません。
極楽浄土を再現したような10分近くもある曲で、数十人のダンサーを従えて踊るラジニカーントはスーパースター然とした貫禄があります。
赤、黒、黄、青、白、紫、金と、なんとムトゥは曲の中で7回衣装チェンジをします。
歌に合わせて楽しもう!『ムトゥ 踊るマハラジャ』 | 新潟・市民映画館 シネ・ウインド一貫してムトゥは信仰に厚く弱い者に優しい好男子として描かれています。
劇中でやたらとタオルをバッシバッシと振り回す「タオルプレイ」と呼びたくなるようなダンスが披露されますが、インドではタオルは小粋な男を現す小道具なのでしょうか。
随所に神をおそれ謙虚な者こそ真の賢者というヒンドゥー教の教えが散りばめられています。

ムトゥ 踊るマハラジャ | ビジネス総研(福岡の経営コンサルタント)映画観てある記

当時単館上映から始まったにもかかわらず口コミで評判が広がり、日本でインド映画ブームが起こるほどの大ヒットを飛ばしました。

インド映画は「ボリウッド」と称されるほど、ハリウッド映画と肩を並べるほどに洗練されエンターテイメントとして成熟しましたが、私は素朴ながらCG一切無しの人間力だけで構成された本作の方が好きで力強さとエネルギーを感じます。

基本的に素朴でベタなドタバタ劇ながら、これを見て心底笑えるインド国民の純粋さにも感動したものです。
日本のように座って微動だにせず鑑賞するのではなく、「応援上映」のようにスクリーンの中の登場人物と共に歌い踊るのがインドの映画の鑑賞スタイルなのだそうです。
ムトゥ 踊るマハラジャ Muthu 1995年 | Asian Film Foundation 聖なる館で逢いましょうラジニカーントは俳優としても人気№1、その人気から大統領候補にまで名前が上がるほどの国民的ヒーローで、貧しい人達のために財団を設立し慈善活動を行うなど、その人となりも国民から愛されいるそうです。
当時は「インドのキムタク」の呼び名に違和感を感じたものですが、インド女性は見てくれよりも内面重視、懐が深いのですね。

「バーフバリ」「RRR」の大ヒットにつながる日本人のインド映画に対する意識の地ならしをしたという点で、本作の功績は大きいのではないでしょうか。

見るとやみくもに元気になる、インド映画の底知れぬエネルギーに溢れた名作です。

 

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コメディ 洋画 ア

アノーラ

公開 2024年
監督 ショーン・ベイカー
公開当時 マイキー・マディソン(25歳)

予告編の情報から「プリティ・ウーマン」のような現代のシンデレラストーリーかと思いきや、シビアな現実に着地するほろ苦い余韻が残る作品です。

見る者の解釈に委ねるオープン・ストーリーと呼びたくなるような内容で、性別や年齢によって大きく感想が異なるのではないでしょうか。

若さと肉体を武器に人生をサバイブするアノーラの生き方は危うく刹那的ではあるものの、生命力に溢れ見る者を釘付けにする魅力があります。

ショーン・ベイカー監督のセンスが凝縮した集大成!世界的な評価&ヒットを得た「ANORA アノーラ」の魅力|芸能人・著名人のニュースサイト ホミニス

ストーリーは3幕構成になっており、第一幕はストリッパーとして働くアノーラが職場のクラブでロシア人の富豪の息子イヴァンと出会い、ノリで結婚式を挙げるまでが描かれます。

イヴァンはロシアに帰るまでの7日間、1万5000ドルの報酬で「契約彼女」になることをアノーラに提案する。
自家用ジェットでラスベガスに行き、スイートルームを借り切っての享楽の日々…
アノーラは報酬分の「プロの仕事」を淡々とこなしているように見えます。

イヴァンはふいにアノーラに求婚する。
「結婚しよう。二度言った」
「本気なの?」
二人はすぐにラスベガスの教会で式を挙げる。

このシーンは高揚感のある音楽も相まって、この世のどんよりした邪気を払うかのようなキラキラした多幸感に満ちています。

傍目から見れば普通の幸せの絶頂にいる若いカップルに見えますが、二人の間には社会的な格差という深い溝が横たわっているのです。

ANORA アノーラ」評論】往年のハリウッド映画にも通じる端正さを物語術の核心としているロードムービー : 映画ニュース - 映画.com

第二幕はロシアからイヴァンを訪ねてきた世話役らとアノーラが、その場から逃げだしたイヴァンをひたすら探すパートとなります。

享楽に満ちスピーディな第一幕から一変、第二幕では時間の流れすら変り、色を無くしたかのような現実的で地味な展開です。
イヴァンの邸宅での世話役らとの攻防と、イヴァンの潜伏先を皆で探すパートがリアルタイムのようなじっくりとした時間軸で描かれます。

第二幕で突然現れる用心棒のイゴール。
主要キャラが中盤で登場するのも面白い手法で、寡黙で脳筋な良くいるタイプの脇役かと思いきや、アノーラに寄り添い、徐々に存在感を増していきます。
二本の煙草と一人の女、『ANORA アノーラ』についていくつかの考察。ラスト、アノーラは何に涙したのか?|今日のむいむい第三幕は、結婚を無効にしようとロシアから自家用ジェットで急遽駆けつけたイヴァンの母親とアノーラとの攻防。

イヴァンは強権な母親の前であっさりとアノーラとの結婚を破棄する。
ショックを受けるアノーラ。

「イヴァンが私と結婚したのは、母親を憎んでいるからよ!」
「そう言うあんたは、ただの娼婦でしょ」
婚姻破棄の書類にサインし、イゴールと共にニューヨークへ帰る。
一連の騒動を傍で見守っていたイゴールは、傷心のアノーラに優しく寄り添う。

「君の力になりたい」
アノーラを家まで送り届けるイゴール。

ラストの車内での出来事は、まさにオープン・エンディングと言え、見る者によって様々な解釈があるかと思います。
ネットでのレビューを見るとまさに十二十色で、人によってこんなにも意見が異なるのかと驚かされました。

私の解釈は、「あんたなんかに借りを作りたくない」と意地を張ってイゴールにプロ根性を見せようとしたアノーラが、途中で心が折れ女性らしい弱さを露にしてしまった、というものです。

イゴールがなぜアノーラをあそこまで気遣ったのか、「アノーラが可愛いから」などという理由では身も蓋もありませんが、彼はアノーラと同じ階層に生きる人間としてシンパシーを感じたのかもしれません。
「尻軽ゲイ」などのアノーラの数々の暴言を軽く受け流し、言葉は少なくともすべての状況を察しそっと後ろから支えるイゴールには強面の内面に隠された深い知性を感じます。

二本の煙草と一人の女、『ANORA アノーラ』についていくつかの考察。ラスト、アノーラは何に涙したのか?|今日のむいむい

アノーラが結婚に執着したのはイヴァンを愛していたというより、同じロシア人のルーツを持つ彼に安心感と安らぎを感じたのかもしれません。
イヴァンほどの大金持ちの息子が打算も無く本気で結婚するなどとは考えるのは浅はかだったと言えますが、若い女性らしい結婚に対する夢と、界隈の女性たちの行く末を知っている彼女は、人生を変えられるチャンスを掴んだと思ったのかもしれません。

輪郭のはっきりしないストーリーながら139分の長尺でも飽きることなく見る事ができました。

主演のマイキー・マディソンはアカデミー主演女優賞を受賞しています。
映画を見る前は「サブスタンス」のデミ・ムーアに受賞して欲しいと思っていましたが、彼女は儚くも力強いアノーラを全身全霊で演じており納得の受賞ですね。

花火のように華やかに始まり、最後はシュンと終わる…

見終わった後、ラストのイゴールを見つめるアノーラの憂いのある表情と、エンドロールのバックに流れるワイパーの音が心に残る作品です。

 

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コメディ サスペンス 洋画 ス

素顔のままで

公開 1996年
監督 アンドリュー・バーグマン
公開当時 デミ・ムーア34歳


デミ・ムーアが脱いでいるという事以外、何ら語ることの無い作品です。
ストーリーとしては「まいっちんぐマチコ先生」のような昭和のエロコメに近く、真面目に見たら脱力すること間違いなしです。
デミ・ムーアを始めとするストリッパー役の女優らのセクシーさを堪能する作品であり、ストーリーなどは添え物に過ぎません。

FBIで秘書をしていたエリンは、離婚した夫から一人娘の親権を取り戻す裁判を起こすための資金稼ぎのため、ストリップクラブで働いている。

映画の宣伝ではエリンは「元FBIのシングルマザー」とありましたが、”FBIで秘書”をしていたのですね。

エリンの働くストリップクラブその名も「ぬれぬれ天国」
私は序盤に登場した胸がバスケットボールくらいある巨乳のストリッパーに目を奪われ、思考停止してしまいました。

エリンはストリップデビュー8週目の期待のルーキー。

デミ・ムーアのボディは筋肉質で男性的、特に脚は蹴られたら死にそうなほどガチガチに鍛えられており、本作に向けかなりチューンアップしたのが伺えます。
他のダンサーの遊びと柔軟性のあるダンスと比べ、彼女のダンスはセクシーというには体操の床運動的で張り切り過ぎている感が否めません。

お忍びで店に通う下院議員のディルベックはエリンを見るや一目惚れし、
「彼女は、汚れを知らない天使だ…」

バート・レイノルズ演じるディルベックのキャラの濃い事といったら…
秘書にエリンのパンティを盗んでこさせ、「産地直送だろうな?」と念を押したうえ、パンティを口に入れ
「新鮮だ…」
横山ノックのような風貌に、エロへの飽くなき情熱は「がきデカ」のこまわり君を彷彿とさせます。

アンジェラ役の子役は、デミ・ムーアの実の娘なのですね。
安全のためアンジェラを「ぬれぬれ天国」の同僚に預けるエリン。
ストリップをするエリンを舞台袖から見たアンジェラは、
「ママ、きれい…」
見られたくなかった姿を娘に見られ、落ち込むエリンにストリッパーの同僚は、
「あら、ストリッパーだって立派なダンサーよ。恥ずかしがること無いわ!」
物は言いようですね。

ディルベックは自分のためだけにダンスを披露して欲しいと、エリンに5000ドルの報酬を提示してくる。
危険だから断るように勧める同僚に、
「私だって、服を脱がずに稼げるようになりたいのよ!そのための資金が必要なの!」
エリンはセクシーな衣装を身に着け、ディルベックの待つクルーザーへと向かう。

そこから終盤の展開は昭和のエロギャグ漫画のようなドタバタ劇で、見るに堪えない仕上がりです。

私が笑ったのは、「ぬれぬれ天国」のストリッパーらがステージ衣装のままで通勤している事です。
まるでコントのようですね。

午後ローでは修正が入っていましたが、デミムーアはほぼ全裸を披露しており、「ゴースト ニューヨークの幻」で脚光を浴びて以来、肌を露出するイメージが無かった彼女が勝負に出た作品と言われています。
「GIジェーン」「チャーリーズ・エンジェル」など、出演作が公開される度肉体改造が話題になり、60歳を迎えた2024年「サブスタンス」では女優としての最後のカードを切ったと言えますね。

デミ・ムーア34歳の時の作品ですが、当時としてはハリウッドの女優として最高の出演料1250万ドル(当時のレートで約13億円)の出演料を獲得した事でも話題になりました。 
 
本作はその年の最低の映画に贈られる「ゴールデンラズベリー賞」で作品賞、主演女優賞など賞を総なめしています。

見終わった後、デミ・ムーアの黒い乳首と筋張った脚のみが記憶に残る作品です。

今日も無事に家に帰って午後ローを見れていることに感謝😌です。

総合評価☆☆☆☆☆
ストーリー★
流し見許容度★★
午後ロー親和性★★★★★

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コメディ 洋画 ト

トレマーズ2

公開 1996年
監督 S・S・ウィルソン
公開当時 ブレッド・ウォード(54歳)


ケビン・ベーコンは登場せず、前作より大分スケールダウンしているものの、独特のユルい世界観は引き継がれています。
巷ではおおむね低評価ですが、テレビ映画として制作された事を考えると、チープなCGも暖かい目で見れるのではないでしょうか。

ケビン・ベーコンは出演の意欲はあったものの「アポロ13」と撮影日程が重なったため辞退したとされていますが、そこは漢気を見せて「トレマーズ2」を選んで欲しかったものです。

メキシコ砂漠地帯の油田に、またあの「グラボイド」が現れ人を襲う。
油田会社は過去にグラボイドを倒した実績のあるアール・バセットに、グラボイド退治を依頼する…

「専門家に退治をしていただけないかと…」
過去に一度退治したくらいで、「専門家」扱いされてはたまりませんね。

相棒バルと共にグラボイドを退治し、一躍脚光を浴びたバールだったが、現在は片田舎で小さなダチョウ牧場を経営し、侘しいトレーラー暮らしをしている。

「グラボイズ」は話題になり、テレビゲーム化などもされたようですが、要領の悪いバールは恩恵に預かれなったようですね。
油田会社はグラボイズを一匹倒すごとに5万ドルの報酬を提示してくる。

「今度金が入ったら俺は投資にまわす。 安全第一で」
相棒役を買って出た青年グラディと共に、グラボイド退治を引き受けるバール。

二人は現地の地質学者ケイトの助けを借り、メキシコの荒野へグラボイド退治に出発する。

「専門家」バールが考えた作戦とは、目が見えないグラボイズを音で引き寄せ、ラジコンカーに取り付けた爆弾で爆破するというもの。専門家でなくても思いつきそうな作戦ですね。

なんともチープな魚影探知機のようなモニターにグラボイズの影が映る。
「奴らはけっこう、頭がいい…」
アールの読みは的中、次々とグラボイズは爆死する。

本作では何とグラボイズの新種が登場します。
彼らはサイの赤ちゃんのような体躯に鳥のような二本足で地上を走行し人間を襲う。
アールは前作に登場した武器マニアのバールを招集し、共にグラボイズを退治する事に。

前作に比べ登場人物のキャラ立ちが弱い印象があり、イカれたオヤジ、バートを登場させたのは正解ですね。
妻に逃げられ生ける屍のようだったバートは、アールの招集に水を得た魚のように生気を取り戻し、「指令本部はここか」と意気揚々で現れる
トラックには機関銃やロケット弾が山と積まれており、彼の資金源が気になる所です。

グラボイズを捕獲したアールらは、彼らが赤外線で人間を検知し、食物を食べる事により増殖する事を発見する。

増殖したグラボイズに囲まれ絶体絶命の状況にも関わらず、
「彼氏とか、いたりするのかな…?」
アールは地質学者のケイトとイイ感じになるのです。
なんと彼女は、アールが憧れていた1974年のプレイガール、ミス・オクトーバーだった。

アールらはグラボイズを一カ所に集め、爆破し全滅させる。

カラッとしたメキシコの砂漠地帯と、あくまで楽観的で呑気な登場人物は何とも言えない味わいがあります。
前作は地中を高速で移動するグラボイズとの戦いでしたが、本作では地上を動き回る小型クリーチャーとの戦いで、そのためかチープなカクカクしたCGが際立っています。

前作をしっかり予習している午後ロー民はともかく、たまたまテレビで見てしまった人は「何すかこれ?」となったでしょうね。

アール役の内海賢二や、バール役の小林清志の味のある渋い吹き替えも、午後ロー以外で聴くことは無くなったように思います。

動画配信でこれでもかと練りこまれた映画を見る事が多くなりましたが、本作のようなのんびりした映画を見ると、肩の力が抜けホッとします。

今日も無事に家に帰って午後ローを見れていることに感謝😌です。

総合評価☆☆☆☆☆
ストーリー★
流し見許容度★★★★★
午後ロー親和性★★★★★


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コメディ 洋画 ナ

ナポレオン・ダイナマイト

公開 2004年
監督 ジャレッド・ヘス
公開当時 ジョン・ヘダー(27歳)

その名もナポレオン・ダイナマイト… 名前負けも甚だしい片田舎の冴えない高校生の日常と、周囲の人間の悲喜こもごもを淡々と描いています。

主人公ナポレオン・ダイナマイトは、常に半開きの口に眠たそうな瞼で脱力感に溢れており、やることなすこと要領が悪く、キラキラした青春譚とは程遠いものの、爽やかな後味が残り、何度も見たくなる中毒性があります。

製作費わずか400万円ほどの超インディーズ作品ながら口コミで評判が広がり、全米公開にまで拡大したそうです。

料理の皿にケチャップで書かれたオープニングクレジットをはじめ、冒頭から独特のクセがあり映画の世界観に引きずり込まれてしまいます。

片田舎の高校に通うナポレオン・ダイナマイトは、変わり者としていつも周囲に馬鹿にされ、いじめられている。

「ボウガンの腕を買われて、マフィアにスカウトされてるんだ」
「彼女がモデルをしてる」

など、なぜか軽くハッタリをかますのも中二病全開ですね。

ダイナマイト家は、引きこもりでチャットばかりしている兄のキップと祖母の3人家族。
ある日祖母が骨折して入院、代わりに叔父のリコが保護者としてダイナマイト家に居座る。

リコは元ラガーマンで、しがない現在を嘆いて過去の栄光を引きずり、
「今の記憶を持ったまま、80年代にタイムスリップできたら最高じゃないか…」
想いが高じて、通販で怪しげなタイムマシーンを購入する。
まったく、良い大人が何をしているんだか…

ある日、メキシコ人の転校生ペドロをロッカーまで案内する事になったナポレオン。
ボッチだったナポレオンに、友達ができる。

ペドロは彼の中のラテンの血がそうさせるのか、学園一のマドンナに告白したり、生徒会長に立候補したりとすべてにおいてアグレッシブ、ナポレオンもそんな彼に引きずられるように、徐々に他者と交流を持ち始める。

生徒会選挙当日。ライバルは学園のマドンナ、サニー。
「私が当選したら、学校にキラキラメイクの自動販売機を設置します…」
カースト上位女子のみに忖度した演説の後、チームでダンスを披露する。

負けを確信し意気消沈したペドロは、
「話すことは何もない、って話すよ…」
ナポレオンはペドロをサポートすべく、半ば破れかぶれでジャミロクワイの「Canned Heat」をバックに自己流のダンスを披露する。
予想の斜め上を行くダンスと選曲の勝利か、ナポレオンの漢気に、会場から割れんばかりの拍手が送られる。
まさに下剋上、ペドロは票を集め見事に当選する。

いじめられっ子のナポレオンと、メキシコ人の転校生ペドロの頼りないコンビが、いけすかないカースト上位連中に勝利するのも、溜飲が下がり見ていて清々しいものがあります。

体育の授業で一人ボール叩きをしていたナポレオンに、共に選挙戦を戦ったデビーが歩みよって来る。
二人は共にボール叩きに興じる…

さほど起伏は無く、田舎町の高校生の日常を淡々と描いているにも関わらず、ラストは皆ほんの少し成長し、ほんの少し幸せになっており、見終わったあと魂が浄化されたような温かい気持ちになります。

主演のジョン・ヘダーの醸し出す何とも言えない「味」が無ければ、本作はありきたりなオタク男子の物語でおわっていいたかもしれません。
人並みの青春に憧れを抱きながらも、強すぎる自我ゆえに他者から疎外される彼の諦めと苦悩が伝わってきます。
漫画のようなキラキラした青春時代を送ってきた人以外は、誰しも彼に自分を重ねてしまうのではないでしょうか。

当時日本で「電車男」がヒットしていたことにあやかり、主人公がバス通学をしていた事だけを理由に公開当時の邦題は「バス男」でしたが、本作を見たファンが抗議し、オリジナルタイトルの「ナポレオン・ダイナマイト」で改めてDVDリリースされ、その際、発売元の映画配給会社が「時代に便乗してこのような邦題をつけてしまい、大変申し訳ありませんでした」と公式に謝罪しています。
それだけ、ファンに愛されている映画ということですね。

「Canned Heat」は90年代の名曲でCMでも繰り返し流れていた記憶があり、ジャミロクワイは日本でも絶大な人気がありました。
私は今でもこの曲を聞くと、ジャミロクワイ本人よりナポレオンの下手ウマなダンスシーンが頭に浮かびます。
本作は2007年公開で、この曲の「微妙に古くてダサい名曲」の味わいが最大限に生かされていますね。

見た後「Canned Heat」が脳内で無限ループ再生される事間違い無しの、青春映画の名作です。

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刑事ジョー ママにお手上げ

午後のロードショー6月4日放送

公開 1992年
監督 ロジャー・スポティスウィッド
公開当時 シルベスター・スタローン(46歳)

本作の日本でのキャッチコピーは「スタローンが“スタちゃん”になった」というもので、当時アクションのみならず「ツインズ」や「キンダガートン・コップ」でも大ヒットを飛ばしたライバルのシュワルツェネッガーこと「シュワちゃん」を意識して製作されたものだそうです。

過保護な母親に手を焼く敏腕刑事ジョーの活躍を描いており、バックに流れる軽快な音楽といい全編通してコメディ全開なのですが笑える場面はほとんど無く、残念ながら尽くスベり倒しています。

スタローンは「ロッキー」などのひたすらストイックに訓練に耐え忍ぶ役や、「ランボー」などのベトナム帰還兵の役をたて続けに演じていたせいか、目に哀感と闇があり、シュワルツェネッガーのようなはっちゃけてすっとぼけた感じに乏しく、コメディにはハマっていなかったかもしれません。

スタローンの「男らしさの塊」とも言えるイメージから真逆の方向に振ったともとれるキャラクターで、「ママ」連発し、子犬を愛でたりオムツ姿を披露するなどギャップ萌えを狙ったのかもしれませんが、違和感しかありません。

エステルはミヤコ蝶々を彷彿とさせるコケティッシュな外見で、過干渉なママというよりはかなりぶっ飛んだサイコパスなのです。
常にジョーの子供の頃のアルバムを携帯し事あるごとに周囲の人間に見せて回り、銃を食器用洗剤で洗浄するなど、ジョーの目から完全に生気を失わせるほどの破壊力のあるボケを連発します。 

「止まれ!さもないとママが撃つぞ!」
エステルは射撃の腕も一流、一度見ただけの犯人の車のナンバーから車種まですべて記憶していたりと、ジョーも顔負けの捜査能力を発揮する。
エステルのボケに振り回されっぱなしのジョーなのですが、終盤はバディのように二人で協力して犯人を追い詰めていくのです。

ジョーは上司のグエンと恋愛関係にあり、署内で人目もはばからず痴話げんかをしたりイチャついたりと付かず離れずの関係だったのが、最終的にエステルの助言で晴れてゴールイン。
エステルとジョーのボケとツッコミ、事件の捜査、グエンとの恋愛が並行して描かれますが、どれもまるで面白くなく、倍速で視聴しても退屈してしまうほどでした。

本作は元々シュワルツェネッガーが「クソみたいな脚本だ」と断ったため、ライバルだったスタローンに主演のオファーが回ってきたのだそうです。
元カリフォルニア知事だけあって、判断力はスタローンよりも優れていたと言えます。
結果的に本作はスタローンの黒歴史と言えますね。

今日も無事に家に帰って午後ローを見れていることに感謝😌です。

総合評価☆☆☆☆☆
ストーリー★
流し見許容度★★★★★
午後ロー親和性★★★★★

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シュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル

午後のロードショー大好きなパート主婦です。
今回は午後ロー4月29日放送シュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングルの感想です。

公開 2017年
監督 ジェイク・カスダン
公開当時 ドウェイン・ジョンソン(45歳) ジャック・ブラック(48歳) アレックス・ウルフ(20歳) カレン・ギラン(30歳)

エンタメ作品として完璧であまりにも欠点が無い「良い映画」なため、この映画を嫌いと言ったら性格がひねくれていると思われるかもしれません。
それでも私はこの映画に「ドラえもん」で劇場作品の時だけジャイアンとのび太と仲良くなっている時に感じる作り手のご都合主義を感じてしまうのです。

本作は大ヒット作1995年公開「ジュマンジ」のリメイクであり、当時私も映画館に見に行きました。
冒頭にチラッと「ジュマンジ」のボードゲームが登場する以外はオリジナルの要素はほぼ無く、大ヒット映画の看板を借りた手法にはあざとさを感じます。
Jumanji: Welcome to the Jungle' Film Review: A Mainstream Moviegoing Miracle - TheWrap学校で居残りをさせられていた高校生4人。地下室で偶然「ジュマンジ」という名の古いビデオゲームを発見しプレイしたとたん、4人はゲームの世界に吸い込まれそれぞれのキャラクターのアバターとなり、過酷なサバイバルを強いられる…

ゲームの世界にアバターとなって迷い込んだ登場人物たちの現実世界とのギャップを楽しむのがこの映画の見どころだと思うのですが、これは役者にかなり繊細で緻密な演技力が要求され、ジャック・ブラック以外のドウェイン・ジョンソンを始めとする役者が憑依感を出せておらず無く今一つノリ切れませんでした。

「ザ・ロック」様のインパクトがあまりに強く、現実世界の冴えない高校男子のキャラクターが完全に掻き消えており、ブレイブストーン博士役には無名のイケメン俳優をキャスティングしたほうが良かったかもしれません。

現実世界の高校生は映画の冒頭とラストに登場するのみで大部分がゲームの仮想空間の中での攻防で、彼らが友情を深める段階を見せる意味でも、現実世界とゲームの世界を行ったり来たりした方が感情移入し易かったのではないでしょうか。
Jumanji: Welcome to the Jungle (2017)本作で良かったのは、スペンサーを演じたアレックス・ウルフのキャスティングです。
この手の作品ではオタク系陰キャでもイケメンが演じる事が多い印象ですが、彼はヒョロヒョロの体躯に冴えないルックス、でも角度によってはチャーミングにも見えるという絶妙なハマり方をしています。恋人役の女優も絶妙にアレなルックスで、この二人のキャラがなければ本作はドウェイン・ジョンソンとジャック・ブラックを見るだけの映画になってしまったかもしれません。
The Sequel To 'Jumanji: Welcome To The Jungle' Welcomes Back Its Teen Castアメリカの高校生についてのドキュメンタリー番組で語られていたのが、彼らの学園カーストは実にはっきりとしており、カーストトップは「ジョック」と呼ばれるスポーツのエース選手とチアリーダー、次は「ナチュラル」と呼ばれるルックスが非常に良い男女、最下位が「ナーズ」と言われるオタク系陰キャなのだそうです。

違うカースト同士が友人になったりカップルになったりすることは稀で、普段は同じ学校にいても会話すらしないそうですね。

ネットの感想でも概ね「青春映画の傑作!」「最高に笑って泣けた」などの褒め意見が大多数で、まさに押さえる所を押さえた良作といえますが、学校カーストの違う者同士がゲームの仮想空間で共に戦った事で友情が芽生えるという設定は「青春ファンタジー」で、リアルタイムで思春期を迎えている若者にはキレイごとに見えるかもしれません。

思春期は他人、特に異性からどう見らているかがアイデンティティのほぼ90%を占めていると言っても過言ではありません。
本作の趣旨は「他人の目など気にせず心の赴くままに行動しろ」のようなのですがそれは無理というものですね。

子供から大人までゲーム人口が増加したためか「レディプレイヤー1」など、仮想世界をテーマにした作品は数多く制作されるようになりました。あと数十年後にはこの映画のようにモニターの前でリモコンを持ってプレイするのではなく、脳が直接ゲームの世界にシンクロし現実世界のように別の人生を生きる事ができるようになるのでしょうか。
そうなった場合、現実の自分とのギャップに苦しみ仮想世界から離れられない人間が大量発生しそうですね。

今日も無事に家に帰って午後ローを見れていることに感謝😌です。

総合評価☆☆☆☆☆
ストーリー★★
流し見許容度★★★
午後ロー親和性★★

 

カテゴリー
コメディ サスペンス 洋画 フ

フォーリング・ダウン


午後のロードショー大好きなパート主婦です。
今回は午後ロー4月15日放送フォーリング・ダウンの感想です。
フォーリング・ダウン : 作品情報 - 映画.com公開 1993年
監督 ジョエル・シュマッカー
公開当時 マイケル・ダグラス(49歳) ロバート・デュバル(62歳)

統計によると夏は他の季節と比べ、犯罪発生率が格段に上がるのだそうです。
暑さが人間の理性を奪うのでしょうか。

本作の宣伝文句は「平凡な男が猛暑とストレスで理性を失い怒りを爆発させる」というもので、見る者の溜飲を下げスカッとさせる内容かと思いきや、男があまりに身勝手でイカれたサイコパスであるため同情できず感情移入できませんでした。

冒頭の渋滞と暑さに耐えきれず車を乗り捨てるシーンから、雑貨店の店主を相手にバットを振り回してキレるまでの助走が短く、「平凡な男」と呼ぶにはあまりに凶暴と言えます。
登場人物は巡査部長のブレンダガストと部下のサンドラ以外、濃淡はあれど皆うっすらと狂気を帯びており、人種差別や男女差別上等の荒んだ世界観の中でストーリーが展開していきます。
ジャンルを細分化するとしたら、本作はサスペンスアクションブラックコメディといった所でしょうか。
Falling Down仕事もリストラされ、家族にも愛想をつかされた男ウイリアム。
治安の悪さゆえか、外見が真面目なサラリーマン風の彼は、至る所でチンピラに因縁を付けられる。

まるで「わらしべ長者」のように次々とチンピラ共の武器を奪い、バット→ナイフ→機関銃→バズーカと武装もインフレーションしていくのです。
フォーリング・ダウン/ただ家に帰りたいだけなんだ! | 映画感想 * FRAGILEウイリアムに絡む連中のクセの強さといったら…
極めつけは、ウィリアムが立ち寄った「軍事用品払下げ店」店主の男です。
ナチ風の軍服を身に着け、ゲイのカップルに対して「男同士でヤるなんて信じられねえ。俺の店から出て行ってくれ!」
聞き込みに立ち寄ったブレンダガストの部下サンドラに
「前から思ってたんだが、何で女の刑事は“オフィサレス”って言わないんだ? 女優はアクトレスって言うだろ? 男と女は区別するべきだよな」
「あんたは俺の代弁者だ」とウィリアムに第二次世界大戦時のバズーカを授ける。
筋金入りの差別主義者でウィリアムをしてドン引きするほどのキ〇ガイなのです。
In The Movie 'Falling Down,' Michael Douglas Is Upset After, 60% OFF

ハンバーガー店でバーガーが写真とあまりにも違うと機関銃をぶっ放しながら憤るウイリアム。
どら焼きのような平べったいバーガーを手に取り「これを見ろ!! ぺったんこだ!!」
チェーン店のバーガーではよくある事ですよね。

会員制の高級なゴルフクラブに侵入し、「ゴルフ場なんかにしないで、子供たちのために動物園にするべきだ!!」
ゴルフを楽しんでいた富裕層の老人は「俺たちは高い金をはらってプレイしてるんだ! さっさとここから出ていけ!」
興奮した老人は心臓発作で倒れるも、薬はゴルフカートの中。
ゴルフカートを機関銃で破壊したウイリアムは「残念だったな!!」

ふいを付かれるようなブラックなコメディ要素満載で、随所で爆笑してしまいました。
フォーリング・ダウン】家に帰りたい短気な男が怒りを爆発しながらレベルアップしていく映画!|コクソンズ×ブログ巡査部長ブレンダガストは、情緒不安定な妻を気遣い危険な現場の捜査から離れ、定時で帰宅できる内勤に配属してもらうも、仲間からは「腰抜け」と揶揄されていた。
退職を控えていたブレンダガストだが、白シャツにネクタイ姿の男の目撃証言が一致しているのを不審に思い捜査に乗り出す。

「俺は、家に帰りたいんだ」
家では妻ベスに対しモラハラの限りを尽くし離婚されたウィリアムだが、一人娘に対する愛情は深かった。

行く先々で凶行を重ねながら、妻と娘の住む家に向かうウィリアム。
ベスはウィリアムに怯え、娘を連れ家から逃げる。
Falling Down Blu-ray (DigiBook)海辺の桟橋でベスと娘を見つけたウィリアムは、怯えるベスに無理やり復縁を迫り、娘を抱擁する。
ウィリアムは、銃を所持していた。

ブレンダガストはウィリアムに銃を向け
「お前は妻と娘を殺し自分も自殺しようとしていた! それがお前らの行動パターンだ!」

ブレンダガストのこの言葉は、中二病をこじらせたような男の陶酔を一蹴するような怒りと悲しみに満ちています。
彼は職業柄、ウィリアムのような身勝手で自暴自棄になった人間の凶行を散々見てきたのではないでしょうか。

ブレンダガストの発した銃弾に倒れ、海に沈むウィリアム。

ウィリアムのような失うものの無い「無敵の人」無差別に殺人を犯す事件は後を絶ちませんが、生まれた環境や生い立ちが悲惨だったとしても、怒りの矛先を罪のない人々に向けるのは絶対に間違っていると断言できます。
彼らには一見幸せそうに見える人々も、それぞれに悩みや問題を抱え精一杯生きているという事を分かって欲しいものです。

Falling down 1993 watch online | rickymooninglobas1986's Owndロバート・デュバル演じるブレンダガストは娘を無くし情緒不安定になった妻を気遣う優しい夫なのです。
妻の寂しさからの我儘を受け入れ「恐妻家」と妻を馬鹿にした同僚に一発お見舞いする…
ウィリアムを含め、イカれた登場人物が多いせいか、ブレンダガストの人間性と倫理観がより際立っています。
Falling Down (1993) - IMDb

ウイリアムはリストラされたものの、前職は「ミサイルを作っていた」と語っており、セールスマン風の外見ながら意外にも技術職だったのですね。

マイケル・ダグラスは午後ローにおける「サスペンスの帝王」と言えますが、彼の役柄はたいてい大物投資家や会社役員などの庶民を見下すようなエリートで、普通のサラリーマンの役は珍しいのではないでしょうか。
サスペンスのみならず、本作のようなブラックコメディにもハマっており、彼の演技の引き出しの多さを感じます。
何はともあれ、角刈りのマイケル・ダグラスを見れるのは本作だけでしょうね。

今日も無事に家に帰って午後ローを見れていることに感謝😌です。

総合評価☆☆☆☆☆
ストーリー★★★
流し見許容度★★
午後ロー親和性★★★★★

カテゴリー
1980年代映画 コメディ

ザ・カンニング[IQ=0]


午後のロードショー大好きなパート主婦です。
午後ローがお休みの年末年始は思い出の映画を語りたいと思います。
ザ・カンニング IQ=0 : 作品情報 - 映画.com公開 1980年
監督 クロード・ジディ
出演 ダニエル・オートゥイユ フィリップ・タッシーニ マリア・バコム

私のような70年代生まれの人なら、この映画を覚えている人も多いのではないでしょうか。
日曜夜の「ゴールデン洋画劇場」で何度も放送され、当時小学生だった私は見る度に爆笑していました。

大人になってからこの映画がフランス制作だという事を知り驚きました。
フランス人は文化水準が高くお上品という印象があったため、意外にも日本人と笑いのツボが同じだという事に衝撃を受けたのを覚えています。
ザ・カンニング[IQ=0]||洋画専門チャンネル ザ・シネマルイ14世予備校に通う学生たちが、カンニングを駆使し大学入学資格試験バカロレア合格を目指す…

ベベルを中心とするおバカ学生が、学園内で先生をコケにしまくり悪戯をする前半と、バカロレアに合格するため全員一丸となってカンニングをする後半からなる構成です。

生徒たちが繰り出すイタズラやカンニングは「ドリフ」レベルで小学生でも笑えるのです。
隠れた秀作?「ザ・カンニング IQ=0」 | 映画制作奮闘記生徒たちがイタズラで仕掛けた爆竹がテロリストの手によって本物の爆弾にすり替えられ、学園は大破、死亡者が出る。
学園側と警察側が司法取引の末、バカロレアに合格すれば無罪放免、落ちれば監獄行きという成り行きに。
背水の陣の生徒たちはバカロレアに合格するためカンニング大作戦を決行する…

彼らのカンニングの手法というのが実にバカバカしく、当時小学生の私ですらな、アホな…」と言いたくなるほどなのですが、受験会場を監視する刑事の目は節穴なのか、カンニングにまったく気づかないのです。
靴底に辞書を仕込むなど、とにかく現実ではあり得ないレベルのバカバカしさで、素直に爆笑させられてしまいました。

こんな技を仕込む暇があったら、真面目に勉強しろ!と言うのは野暮というものですね。
隠れた秀作?「ザ・カンニング IQ=0」 | 映画制作奮闘記カンニング作戦は何故か大成功、全員無事にバカロレアに合格する。

10年後同窓会が開かれ、集まった同級生たちは政治家になったり俳優になったりと、そこそこ成功しているのです。
やはり人間成功するのに必要な要素は勉強だけじゃない、人間力だということでしょうか。

私が一番笑ったのは、唯一カンニングせずに実力で合格した80過ぎのおじいちゃんのクラスメイトが、合格した喜びでショックを受け心臓発作で死んでしまうシーンです。

全編に渡って下ネタやブラックなユーモア満載で、クラスメイトが一丸となってのチームワークも見所ですね。
隠れた秀作?「ザ・カンニング IQ=0」 | 映画制作奮闘記2017年に「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」が公開された時、真っ先にこの映画を思い出しました。
現代の若者らしくスマホを駆使し集団でカンニングを行うのですが、こちらはコメディ要素ゼロで、アジア各国で問題になっているし烈な受験戦争を背景にしたシリアスな内容でした。

映画の成功を受け続編にあたる「ザ・カンニング/アルバイト情報」が公開されましたが、今一つキレが悪く本作ほどのヒットはしなかった印象です。

心底笑えるコメディの名作であるにも関わらず、地上波はもちろんサブスクでも配信している所はほとんど無いようです。
テレ東サタ☆シネあたりで放送してくれることを願ってやみません。