伊賀のカバ丸

公開 1983年
監督 鈴木則史
公開当時 真田広之(23歳) 千葉真一(44歳)

小学生の頃、姉が別冊マーガレットを定期購読していたため、「伊賀のカバ丸」は連載初回から読んでいましたが、あっという間に人気に火が付き、アニメ化、さらには実写化されました。

当時「別マ」は、くらもちふさこや槇村さとる、いくえみりょうなど、ポップでおしゃれでちょっとクールな作風が主流な印象があり、「カバ丸」の下ネタありのドタバタギャグには違和感を感じたものです。

真田広之を始めとするJAC(ジャパンアクションクラブ)が総出演で映画化され、しっかりとアクション部分はキメているものの、その分ギャグ要素は沈んでおり、原作のおバカな空気を生かしきれない中途半端な仕上がりになった印象です。

1983年『伊賀野カバ丸』|wasenobu【全盛期JACファン歴】

伊賀の山奥で修行に明け暮れていたカバ丸は、父親の才蔵が亡くなった事をきっかけに上京。
名門「金玉学園」に転入し、学院長の娘、大久保麻衣に一目惚れ、さらには学院の影の支配者、目白沈寝と共に、ライバル校「王玉学院」との攻防を繰り広げる…

天然キャラのカバ丸よりも、周囲の個性的なキャラクターを楽しむ作品と言えるかもしれません。

カバ丸役の黒崎輝は、天然というより脳筋ガキ大将キャラで、カバ丸のイメージと微妙にズレており、個性に乏しく存在感は薄いと言わざる得ません。

真田広之といえば「伊賀のカバ丸」の沈寝様を忘れてはいけない。 焼きそば1000杯

結論から言うと、本作は真田広之を見る作品です。

目白沈寝は表向きは病弱で読書が好きな美少年、実際には学園の裏番長で、部下には容赦なく鞭をふるう昭和の漫画にありがちなキャラクターで、真田広之が沈寝をどう演じるかも見所でしたが、実際には原作を超えたと言えるかもしれません。

色白で長髪の沈寝のコスプレチックなビジュアルもハマっており、二次元的な見た目と説得力のあるアクション、確かな演技力で主演の黒崎輝の存在を忘れるほどのインパクトがあります。

体幹のブレないアクションと華麗な鞭さばき、カーアクション、読書をしながらのロッククライミングなど、彼の身体能力を余すところなく披露しています。

彼が演じる目白沈寝を見れたという事だけでも、実写化の意味があったと言えます。

現在では世界的なスターになってしまいましたが、これだけ華があって体が動く俳優は貴重な存在ですね。

映画の主題歌は真田広之、黒崎輝、高木淳也ら主演3人が歌う「青春まるかじり」で、歌唱力はご愛敬ながら、「少年隊」を思わせるキレのあるダンスを披露しています。

映画のラストにはカバ丸の父親才蔵の役で、JACの創始者であり俳優の千葉真一も出演しています。

映画【伊賀野カバ丸】JAC総出演♡ | ∠かなめまよの胸はって行け〜!自信持って行け〜!

ジャパンアクションクラブ(JAC)は「肉体は俳優の言葉」をモットーに千葉真一が設立した団体で、真田広之や志穂美悦子らを輩出した1980年代は入団希望者が殺到していたようです。
現在でも「吹き替えやCGに頼らず、自らの肉体で全ての演技をこなす」という信念のもと、戦隊ヒーロー作品や映画のアクションスタントなどの育成を行っています。

現在はルックス重視で、アクションを習得してからデビューするようなタレントは少ないのかもしれません。

JACから第二の真田広之がデビューすることを願ってしまいます。

残念ながら現在本作が視聴できるサブスクは無いようです。

近所ににTSUTAYAがあった頃、邦画DVDセクションの片隅でホコリを被っていたのを思い出します。