女の警察

公開   1969年
監督   江崎実生
上映時間 82分
公開当時 小林旭(31歳) 十朱幸代(27歳) 青江三奈(28歳)

ぼんやりBSをみていたらふいに放送され、かなり古い映画にも関わらず、ハードボイルドな世界観に引きずり込まれ最後まで見てしまいました。

主演は当時の日活のスター「マイトガイ」小林旭で、池上遼一の漫画のような漢のロマン溢れる作風です。

藤竜也、十朱幸代などのトップスターをはじめ、昭和のセクシー歌姫、青江三奈がホステスの役で出演し主題歌も歌っており、尖ったキャスティングとお色気シーン満載で、年代としてはかなりセンセーショナルな作品だったのではないでしょうか。

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銀座に7つのバーやキャバレーを持つ暁興業の人事兼保安部長・篝(かがり)正秋は、ホステスたちを守る“女の警察”と呼ばれて頼りにされていた。
篝は親友の不審死をきっかけに巨大インフラを巡る汚職の闇に巻きこまれる…

「銀座… 装い飾った蝶たちが羽を広げる。
だが、その陰には常に巧妙な演出家兼監視役が鋭く目を光らせている。
ホステスらはひそかに私をこう呼ぶ "女の警察"と…」

篝は自ら店を見回り、嬢らの体調やトラブルの有無などにさりげなく気を配る。
長身に甘いマスク、漢気溢れる篝は当然ホステスたちからモテモテで、常に羨望の眼差しを浴びているのです。

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売掛金の回収のため、ホステスの部屋を訪れた篝。
「私の体でお支払いするわ…」
服を脱ぎ始めるホステス。

とそこへ、実にタイミングよく駆け込んできたヤクザ風の男。
「てめエ、人の女に何してやがる!」

あからさまな「美人局」にもひるむことなく、
「ごらんの通り勝手に品評会を開いてくれたがね…
値段交渉が折り合わず商談決裂さ…」
と、余裕の返し。

篝のセリフは往年のハリウッド映画を彷彿とさせるようなウイットに富んだものが多く、小林旭のスター性は気障な言い回しにも何ら違和感を感じさせません。

梶山季之の映画 「女の警察」 小林旭主演の人気シリーズ第1弾! 日活のマイトガイ・旭の活躍! | 人生・嵐も晴れもあり!

映画の宣伝で「エロチック・ミステリー・アクション」と銘打っているように、松本清張の小説を彷彿とさせるような硬派な社会派ミステリーと、濡れ場やアクションありのエンターテイメント性が融合しクオリティが高く、当時の日活の勢いを感じます。

篝はホステスらを悪の手から守りつつ汚職事件に挑むなど、本作では正義のヒーローのような描かれ方をしていますが、原作の梶山季之作「女の警察」では、篝は借金を踏み倒して逃げたホステスを草の根をわけても探しだす「闇金ウシジマくん」のような冷徹なピカレスクヒーローとして描かれているようです。

日活は本作の大ヒットをきっかけに「ネオン警察シリーズ」と称して、小林旭主演で夜の世界で生きる男の生き様を描く作品を多数制作しています。

「ネオン警察」とは含蓄のある言葉ですね。
夜の世界には夜の世界の法がある、という事を示唆しているのでしょうか。

篝の二次元的とも言える無双なキャラクターは、高度経済成長期真っただ中の男性らに夢と活力を与えた事は間違いありません。