JUNK WORLD

公開 2025年
監督 堀貴秀
声の出演 堀貴秀 三宅敦子 松岡草子 杉山雄治

ストップモーション・アニメが大好きな私は、前作「JUNK HEAD」を映画館に見に行きましたが、既視感を全く感じない唯一無二の世界観に衝撃を受けたのを覚えています。

ストップモーションアニメの持つファンタスティックな要素に、おふざけと少年漫画的なエロを足したような作風といえます。

脚本・編集・撮影・音楽・人形制作など、監督の堀貴秀を含めたたった6人のスタッフで制作しており、それゆえか本作からは好きな事に没頭している人間の背中から発せられる「モアッ」とした波動を感じます。

ワタシはロビン コノ方が「トリス様」デス。 映画『JUNK WORLD』 6.13(金)公開! #JUNKWORLD #JUNKHEAD #堀貴秀

人工生命体マリガンが地下世界を支配している時代。
そんな地下世界を調査すべく、トリス率いる人間が、マリガンと共同で調査チームを結成する…

「JUNK HEAD」の前日譚となっており、パートンらの冒険の続きが語られると思っていた私にとっては思わぬツイストでした。

前作が主人公パートンが地下世界を旅するロードムービーだったのに対し、本作はSF全開でタイムパラドックスのパズルを楽しむ展開となっています。

クリーチャーの他に人間のキャラクターも登場し、CGなどの特殊効果も導入され、エンターテイメント性が増しSF超大作の様相を呈しています。

JUNK WORLD 渋谷ココチ JUNKHEAD ジャンクワールド映画 | vx800のブログ

私にとってはストーリーなど添え物に過ぎず、見所は何といっても魅力的なキャラ造形にあると思うのです。
万人受けするとは到底思えないグロテスクでキモい造形にも関わらず、見ているうちにだんだんと可愛く見え最後には愛おしくさえなってしまいます。

SМチックなコスチュームや男性器を連想させる小道具など、好き嫌いは序盤ではっきりと分かれるでしょうが、一度刺されば何度も見たくなる中毒性があります。

JUNK WORLD | 映画鑑賞は映画館で観たいんですッ!!のブログ

私が一番ハマってしまったのは、リビーア族の王女バステト姫です。
リビーア王国はチベット自治区を連想させる世界観で、王女バステトは頭脳明晰、運動神経抜群、国民からも「姫様」と慕われており、小動物を肩に乗せていることなどから考えて「ナウシカ」のオマージュと見て良いのでしょうか。

天然で次々と小ボケをかまし、愛するロビンに捨て身の愛を捧げる彼女からは、ナウシカに薄っすらと漂うあざとさは微塵も感じません。
お 得 な 通販 サイトゲーム・おもちゃ・グッズ - JUNK WORLD ランダムスクエア缶バッジ コンプリート S115948010その名は古代エジプトの美猫神バステトから由来したものと推測され、名付け親のロビンが「お前を娘のように思っている…」の言葉に対し、「私は… 私も、同じ気持ちです!」
いじらしくて可愛くて悶絶してしまいます。

そのたたずまいからリビーア族界における超絶美少女であることは間違いなく、そんな彼女がすべてを投げ売ってファーストアタックに向かう様子には複雑な思いが去来してしまいます。

「ロビン様… どうか、お達者で…」
バステトが戦いの末深手を負い、自爆スイッチを押すシーンは映画で滅多に泣かない私も目頭が熱くなってしまいました。

バステトの大ファンになってしまった私としては、続編にもぜひ彼女を登場させて欲しいものです。

映画レビュー】やっぱ今作もとびっきり珍奇で最高だ!『JUNK WORLD』の感想|ネジムラ89 / アニメ映画ライター

吹き替えは予算の都合からか、監督を含む製作スタッフが担当しています。

中でも製作スタッフの三宅敦子の吹き替えは秀逸で、プロの声優で無いにも関わらず、バステト、トリス、テリアの三人の吹き替えを一人で担当し見事に演じ分けています。
3人3用の魅力があり、中でもトリスの吹き替えはクールで知的、「攻殻機動隊」の草薙素子を彷彿とさせます。
素人独特の拙さがあるものの、それがかえって「味」となり、映画の微妙にチープな世界観にぴったりとマッチしています。

彼女は映像クリエイターとしての実力もさることながら、声優としても並々ならぬ才能があるのではないでしょうか。
JUNK HEAD』シリーズ第2弾『JUNK WORLD』6月13日公開決定!舞台は前作の1042年前|シネマトゥデイストーリーは複数の次元が絡み合う難解な構造で、私も二回見てやっとおおよその概要が掴めました。

タイムパラドックスのパズルを楽しむ構造のため、同じ背景が何度も視点を変えて登場し、同じ時点を繰り返しなぞるため、後半からは飽きてしまう人もいるかもしれません。

本編の最後に映画の制作風景が挿入されており、人形制作から始まり背景に至るまですべて手作りで、見ているだけで気が遠くなるほどの手間のかかる作業をたった数人のスタッフでこなしているとは驚異的です。

堀監督の背中からは「ディギしっ!」「ぶしーっ!」と戦隊ヒーローと敵キャラのフィギュアを一人でカチャカチャと戦わせながら時間を忘れてで遊んでいるを子供を連想させます。
彼は常人とは異なる時間軸を持つ、神のごとき集中力と信念を持つ人物であることは間違いありません。
CHARACTER|「JUNK WORLD」公式サイトストップモーションアニメの名作として「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」「コララインとボタンの魔女」が挙げられますが、近年のストップモーションアニメはすべてこの二作品の二番煎じのような印象を受けます。

堀貴秀作品はこの2作品と肩を並べる秀作であることは間違いなく、アカデミー賞長編アニメーション部門にノミネートされるに値する世界レベルのクオリティにも関わらず、下ネタとおふざけゆけかスルーされるのが悲しくなってしまいます。

映画のラストには次回作「JUNK END」への伏線もしっかりと張られており、どんな風にファンの予想を裏切って来るか、弥が上にも期待が高まってしまいます。

「JUNK HEAD」のエンディングに流れた神曲「ポッコリ~ノ♪ ペッコリ~ナ♪」を新作の最後にまた聞きたいものです。