マーキュリー・ライジング

2022年5月18日2023年4月26日

午後のロードショー大好きなパート主婦です。
今回は午後ロー５月１２日放送のマーキュリー・ライジングの感想です。

公開　１９９８年
監督　ハロルド・ベッカー
公開当時　ブルース・ウィリス４３歳　ミコ・ヒューズ１２歳　アレック・ボールドウィン４０歳

偶然にも政府の機密情報システムを解読する暗号を解いたために、ＮＳＡの中佐から命を狙われることになった自閉症の少年と、少年を命がけで守るFＢＩ捜査官の戦いを描いたサスペンス。

ブルース・ウィリスはワイルドながら「シックス・センス」や「キッド」など、子役との相性が良い俳優ですね。
今回も子役ミコ・ヒューズと、お互いを引き立て合うような見事なコンビネーションを見せていました。

自閉症の人たちというのは、記憶力や識別能力が突出して優れている事があるという話を良く聞きます。この映画のサイモンも暗号を解く能力に秀でているのです。サイモンを演じたミコ・ヒューズはまさに天才子役ですね。
知り合いに自閉症の息子さんを持つ人がいるのですが、その彼とサイモンが重なってしまいました。彼らはとても繊細で、心を許した人がケアしなくては精神的に不安定になってしまうのです。
もう１２歳になるサイモンを父親が赤ちゃんをあやすように優しく抱きしめるシーンがありましたが、自閉症の障害を持つ子供には、普通の子供以上に、太陽の光のように降り注ぐ親の愛情が不可欠なのです。

サイモンを暗殺しに来た国家安全保安局クドロー中佐の部下は、機密情報の流出を防ぐために、サイモンの両親をあっさりと銃殺してしまうのです。
なんという事をするのでしょうか。
障害を持つ子供から両親を奪うなんて…

ブルース・ウィリス演じるFＢＩ捜査官のアートは、サイモンの両親の事件を担当した時、これは「何者かによる意図的な殺人」と断定するのです。

子供の扱いなど慣れていないであろうアートは、サイモンを暗殺者の手から守りたい一心で、彼を連れて逃げるのです。

「ママ、ただいま」もう誰もいない家に帰った時、サイモンが発した言葉に思わず涙が出そうになりました。
おそらく状況を把握していないであろうサイモンを前に、アートはますます彼が哀れで、いじらしく、守りたくなったのではないでしょうか。

クドローの誕生パーティに現れたアートは、クドローのワイン貯蔵庫の高級ワインを勝手にラッパ飲み、「これはサイモンの両親からの礼だ！」と、クドローに蹴りをくらわすのです。クドローにとっては人の命など、ワインの価値にも劣るのでしょうね。「そうだ忘れてた、誕生日おめでとう」と捨て台詞を吐いて、高級ワインの棚をぶっ倒して行く…　いかにも無双なブルース・ウィリスのキャラクターに良くある行動なのですが、弱いものを守るこの映画の彼はなぜかステキに見えてしまうのです。

クドロー役のアレック・ボールドウィンは最近、映画の撮影中に拳銃を誤って発砲、女性監督が死亡するという事件がありました。彼は無罪を主張しているのですが、SNSなどでは彼に非難が集中しているようですね。真偽のほどはわかりませんが、彼の持つ「悪役感」が彼を不利な状況に陥れているのではないでしょうか。

アートとサイモンを助ける女性、ステイシーは本当に気立ての良い優しい女性ですね。街でナンパまがいの手法で彼女に助けを求めるアートなのですが、刑事の勘で信用できる女性と見抜いたのでしょうか。アートの頼みで二人を家に泊める事になった彼女は「で、今すぐ殺す？　それとも私が寝るまで待ってから殺す？」とジョークのセンスも抜群なのです。

ステイシーと共に施設に保護されたサイモンを訪ねるアート。
サイモンは無言でアートに抱きつくのです。この二人がこれからどうなるにせよ、一生離れる事のできない絆が生まれた事は間違いありませんね。