チェンジング・レーン
午後のロードショー大好きなパート主婦です。
今回は午後ロー9月11日放送チェンジング・レーンの感想です。
公開 2002年
監督 ロジャー・ミッシェル
公開当時 ベン・アフレック(30歳) サミュエル・L・ジャクソン(54歳) トニ・コレット(30歳)
人種問題などをからめ深みを出そうとしていますが、中途半端な社会派サスペンスという印象です。
主演二人があまりにエキセントリック過ぎて全く感情移入できませんでした。
辻褄が合わない部分も多く、全体的に心理描写が雑で、人間的な感情の動きを無視した脚本と言えます。
若手敏腕弁護士ギャビンの乗る車と、アルコール依存症で妻と別居中のドイルの車がハイウェイで衝突する。
事故処理をしようと提案するドイルに対し、急いでいたギャビンは捨て台詞を吐いて走り去る。
裁判中、ギャビンは重要書類を事故現場に忘れた事に気付く。
書類をドイルが所持していると察したギャビンは、ドイル探す。
ギャビンとドイルの復讐の応酬が始まる…
ギャビンとドイルは二人ともかなり「ヤバい奴」なのです。
男二人の常軌を逸した「殴り合い」で、子供の喧嘩を見ているようです。
ギャビンは敏腕弁護士という設定なのですが、事故を起こしたにも関わらず、被害者を放り出して走り去るのです。
いくら急いでいたとはいえ、弁護士がこのような行動を取るとは考えにくい事です。
ドイルは事故のせいで親権を争そう裁判に20分遅れたことが原因で家族を失ってしまい、それを恨んでギャビンに仕返しをしようとする。
ギャビンは書類を返さないドイルへの仕返しに、「何でも屋」なるハッカーを雇い、ドイルの銀行口座を空にし破産したように設定させる。
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それを銀行員に告げられたドイルは、銀行の窓口にあったパソコンを投げ飛ばすなど大暴れする。
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それでも気が済まないドイルは、ギャビンの車に細工しブレーキが効かないようにする。
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あやうく一命を取り留めたギャビンは、ドイルに息子たちが大けがをしたという嘘の電話をし、あわてて小学校に駆け込んだドイルが不法侵入で警察に逮捕される。
などの常軌を逸した反撃の応酬を繰り返すのです。
ギャビンが途方に暮れて街中を運転していると、雨の中傘もささずにずぶ濡れで歩くドイルを発見するのですが、これはあまりに都合の良い偶然と言えます。
不思議なのが、この時ずぶ濡れだったドイルが、次のシーンでバーに入ると、もうすっかり服が乾いているのです。
ギャビンは書類を盗み出すため、事務所内でわざと火災を起こしてスプリンクラーを作動させ、自らもずぶ濡れになるのですが、シーンが変ると髪も服もすっかり乾いています。
彼らは全身ウォータープルーフという設定なのでしょうか。
細かい事ですが、ディテールの雑さでより一層、映画への興味を削がれてしまいます。
ドイルを演じたサミュエル・L・ジャクソンは公開当時54歳なのですが、年齢よりも老けて見え、幼い子供の親権争う父親にはまるで見えません。
息子二人は息子というより孫のように見えます。
これはどう考えてもミスキャストではないでしょうか。
ギャビンの秘書で元愛人のミッチェルは実に物分かりが良く、ギャビンの妻に嫉妬するでもなく、全面的にギャビンの味方で献身的に彼を支えるのです。
彼女ほどの美女が何の見返りも求めず黙って男に尽くすなど、これはあまりに男性目線の都合の良い女性像といえます。
ギャビンは書類を紛失した事によって義父の不正に加担させられようとしていたことに気付き、弁護士として矜持に目覚めるのですが、あまりに急な展開であり、何をもって改心したのかがまるで語られていません。
ギャビンは改心したことで、ドイルに対する謝罪の念が生まれ、最終的にドイルの妻に会いに行き、ドイルと寄りを戻すよう説得するのです。
ドイルのトラブルメーカーっぷりに散々嫌気が差していたドイルの妻なのですが、見ず知らずの弁護士から説得されただけで簡単にドイルを許すのも説得力に欠けます。
ドイルはギャビンの車に細工して事故死させようとしたり、公共の場で大暴れしたりと完全にイカれたサイコパスで、彼の妻は寄りを戻したとしてもすぐにまた別れる事になるのではないでしょうか。
タイガー・ウッズのエピソードを交えて無理やり人種問題をからめていますが、これはドイル個人の人間としての資質の問題が大きく、人種問題とは無関係ですね。
この映画は午後ローで何度も放送されているのですが、いつも集中力が途切れてしまい最後まで見る事ができません。
この映画は「ある最悪な1日」を描いているのですが、24時間という限られた時間のスピード感を出せていません。
互いに人間性に問題のある男二人の「どっちもどっち」の場外乱闘を見せられている感があり、後に残る余韻は皆無です。
本来なら出会うはずのない二人がクラッシュしたことで接点が生まれ、人生が思わぬ方向へ軌道を変えるという設定は悪く無いと思うのですが、反撃の応酬に終始せず、二人の「もう一つの人生」を感じさせるような展開にして欲しかったものです。
不条理なブラックコメディ風にした方が断然面白かったかもしれません。
今日も無事に家に帰って午後ローを見れていることに感謝😌です。
総合評価☆☆☆☆☆
ストーリー★
流し見許容度★★★
午後ロー親和性★★★★★
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