バック・トゥー・ザ・フューチャーPART2

公開 1989年
監督 ロバート・ゼメキス
公開当時 マイケル・J・フォックス(28歳) クリストファー・ロイド(51歳)

本作は公開当時映画館に見に行きましたが、1985年公開「バック・トゥー・ザ・フューチャー」があまりに非の打ちどころの無い傑作だったせいか、続編は期待値を大きく下回るものでした。

第一作も手掛けた監督のジェームズ・キャメロンが「大いなるおまけ」と語っているように、前作の焼き直しのような部分が多く、ドタバタB級コメディとも言える仕上がりに思えます。
続編に引き継ぐような終わり方といい、当時としては実験的な新しい試みに挑戦しており、大ヒット確実な作品ならではの強気な構成ですね。
バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2||洋画専門チャンネル ザ・シネマ映画の始まりは 第一作目のラストと同じで、「君らの子供が大変なんだ!」というドクと共にマーティとジェニファーがデロリアンで未来に出発する場面からスタートします。
実際この場面はジェニファー役を降板した女優の代わりにエリザベス・シューが出演している場面以外は、そのまま同じ物を使用しているそうです。

マーティらがデロリアンで向かったのは2015年の未来。

前作の青春SF映画のような爽やかな感動は無く、ひたすらタイムパラドックスのパズルを楽しむ展開となります。

定番の空飛ぶ車や、やたらカラフルな服装の一般市民といい、80年代らしい未来観ですね。
スマホやタブレットらしきものは登場していませんが、ドクが腕時計型の端末で天気予報を見ている場面もあり「惜しい!」と言いたくなってしまいます。

バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2 | Netflix

基本的に宿敵ビフVSマーティ&ドクの構図になっており、凸凹刑事コンビのようなバディムービーとも言えるかもしれません。

デロリアンで過去に遡れることを知ったビフは、マーティから奪った歴代のスポーツ試合結果が書かれた年鑑を過去の自分へと届ける。
マーティらが再び戻った1985年は、資産家となったビフが君臨するディストピアと化していた…

未来から持ち帰った物が過去に影響を与え、歴史が書き換えられる…
マーティの住んでいた平和な住宅街がホームレスと犯罪者だらけのスラムになっているのは、笑えないほど恐ろしい設定です。

ビフのモデルはあのドナルド・トランプだそうです。
彼がアメリカ大統領になっている2025年の現在は、間違った未来という事でしょうか。

いつもと違う髪型で現れたトランプ大統領がまさにバック・トゥ・ザ・フューチャーのビフだと話題に - posfie

同じ空間にマーティが二人存在しており、「PART2」のマーティが「いいシーンだな…」とつぶやいたりと、名作だった前作の威光を借りたメタ構造のような場面が多く、マーティのダメな父親ジョージが、ビフを殴ってからのプロムパーティの流れはほぼ前作の流用ですね。

後半は1955年を舞台にビフとマーティがスポーツ年鑑を奪い合うドタバタ劇で、前作と比べ格段にスケールダウンしています。

ラストはドラマのような「つづく」の様式で、これには映画館で度肝を抜かされると同時に消化不良に陥ったものです。

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続編の「PART3」は西部開拓時代が背景となっており、ドクの恋愛がストーリーの主軸で「PART2」よりさらにどうでも良い駄作な仕上がりです。

「PART2」と「PART3」は元々1本の映画として企画され、当初は3時間半の大作になる予定だったものの、上映時間の都合のため配給会社側から短くカットするよう要求され二本に分けたそうです。
観客を何度も映画館に足を運ばせる事になるため、興行収入的にも正解だったでしょうね。

公開当時の1985年は現在のようなオンライン予約システムは存在しなかったため、本作を見るために映画館で2時間近く並んだのを思い出します。
100%前作を見ている観客で、立ち見も含め満杯の映画館での一体感も素晴らしく、ちょっとした小ネタにも大爆笑していたものです。

主演のマイケル・J・フォックスは当時28歳にも関わらず童顔で、ティーンエイジャーのマーティ役に何の違和感も無く、キュートで運動神経抜群、マーティ役は彼以外考えられません。

勉強は苦手ながら、負けん気が強くてビフのような番長的な独裁者にも臆さず物申し、随所に優しさを垣間見せるマーティの魅力的なキャラに、私のみならず女性は皆キュンとなったのではないでしょうか。

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80年代には本作を始め、令和の現在でも地上波放送されるような色褪せない名作が数多くあった事を思い出します。

やはり第一作目の「バック・トゥ・ザ・フューチャー」は、ストーリー、キャラクター、音楽全てにおいて素晴らしい作品で、見るだけで脳内が10代の頃にタイムスリップするような力強さがあります。
本作を見た後第一作目を無性に見返したくなってしまい、やはり本作は監督自身が語るようにDVDの映画本編の後についてくる「おまけ」映像のようなものですね。

総合評価☆☆☆☆☆
ストーリー★★★
流し見許容度★
午後ロー親和性★★★★