コブラ

公開 1986年
監督 ジョージ・P・コスマトス
公開当時 シルヴェスター・スタローン(40歳)
ガチガチに肩に力が入ったアクション映画という印象で、スタローン演じるコブラは常にサングラスに爪楊枝、"コブラ"の紋様が入ったコルト・ガバメントを携帯し、車のナンバープレートには「AWESOME(無敵)」と、まさに「男の教科書」とでも言うべき中二病全開のイタいキャラなのです。
スタローン自身が脚本を手掛けており、「ダーティーハリー」から社会性を排除し勧善懲悪の設定だけを残したような展開です。
80年代らしい荒唐無稽な派手さと、1周半回って絶妙にダサい感じがたまりません。
「全米犯罪発生件数 武装強盗…65秒に1件 殺人…25分に1件 強姦…1日150件」
神も仏もあったもんじゃないアメリカの現状…
ロサンゼルスのとあるスーパーで銃乱射事件が発生、特殊部隊が出動するも客らが人質に取られ予断を許さない。
現場に駆けつけた刑事部長は「"コブラ"を呼べ…!」
ロサンゼルス特殊犯罪課マリオン・コレッティ刑事、通称「コブラ」。
「俺はヒーローだ! 世界を作り変えてやる!」戯言をのたまう犯人に
「お前は病気だ…。 俺が薬だ…」
躊躇なくコルトガバメントで犯人を射殺する。
映画の序盤から息が詰まるような男臭さが炸裂し、振り落とされそうになります。犯行の現場を目撃してしまったモデルのイングリットは、「ナイト・スラッシャー」から執拗に狙われるようになる。
スタジオでロボットと共にポーズをとるイングリット。
ドレスにタキシード、超ハイレグ水着など、次々と衣装チェンジする。
公開当時は斬新に思えましたが今改めて見ると、ヘンテコなロボットとモデルが絡む意味不明なグラビアで、発注者の意図がさっぱりわかりません。
イングリットを演じたブリジット・ニールセンは185cmの長身で規格外のプロポーション、がっちりした肩幅など、当時はとにかくセクシーな美女というよりは「デカい女性」という印象でした。
カメラマンは「君さえその気ならもっとデカイ仕事がいくらでもとれる。どうだい? 君の手助けをしたいんだ…」
「私、その手のゲーム好きじゃないの」やんわりと断るイングリットに、
「僕が必要だろ? 何も結婚してくれと言ってるわけじゃ無いんだ…」
グイグイ押してくるカメラマン。
二人の会話に、セクハラ上等だった80年代の空気が色濃く出ています。
カルト的な狂信者軍団「ナイト・スラッシャー」。
彼らの目的は「世にはびこるブタども」を皆殺しにし「新世界を創る」事。
ナイト・スラッシャーのボスはふてぶてしい面構えで、一度見たら忘れられないインパクトがあります。
イングリットを執拗に追い掛け回し、無関係の人間をもナイフで次々と惨殺する。
駐車場や病院での鬼ごっこは今見ても緊張感があります。ブリジット・ニールセンはスタローンの当時の妻ですね。
「ロッキー4/炎の友情」で共演したことがきっかけで結婚、当時はまだ新婚でラブラブの頃ではないでしょうか。
「マリオンなんて女みたいな名だろ? もっと男らしい名前が良かった…」
「あら、例えばどんな?」
「…アリス。」
スタローン自身が脚本を書いているせいか二人のイチャイチャシーンが多く、随所にどうでも良い惚気ともとれる小ネタが仕込まれています。
二人は映画公開の翌年に離婚しているのですね。「撃てやしねえ! 犯罪者にも人権があるんだ!」この期に及んで権利を主張するナイトスラッシャーのボス。
「法律は、ここまでだ…!」
コブラは怒りの鉄拳を振るい、ボスを血祭りにあげる。
「過剰防衛だ!」と非難する刑事を張り倒したあと、車を手配しようとする刑事部長を制して、
「"足"ならある…」
バイクにまたがりイングリットを後部座席に乗せ、ノーヘルでハイウェイを疾走し「THE END」。
まさに80年代ハリウッドアクション映画ここに極まれりというエンディングでした。88分とコンパクトで、スピード感とキレがあり中々の秀作と言えます。
「ロッキー」「ランボー」などが次々と大ヒットした1980年代前半までは、スタローン黄金期と言えるかもしれません。
「コブラ」も続編を製作したかったようですが、スタローンのマッチョ過ぎる男性象が煙たがられるようになってきたからか、世間的には酷評されたようです。
ライバルのシュワルツェネッガーの「ツインズ」「キンダガートン・コップ」などのコミカルな作品に対抗すべく、路線変更を図った1992年「刑事ジョー ママにお手上げ」は大失敗に終わったものの、1993年「クリフハンガー」は再び大ヒットし、その後は演技派路線へのシフトチェンジを試みた感があります。
本作が「木曜洋画劇場」などで地上波放送されるようになった90年代では、CМで「男を魅せろ!」「これが男のリトマス試験紙だ!」など、完全に半笑いでイジられていた記憶があります。
我らが午後ローはセガール映画に対し「セガールおやじ、ご意見無用!」などB級映画にキャッチコピーをつけるのを得意としていますが、本作はなんの煽り文句も無い戦力外扱いでした。
私が「コブラ」に煽り文句をつけるとしたら、
「脳筋炸裂! 不謹慎上等! 全員黙秘権剥奪!」
などはいかがでしょうか。
今日も無事に家に帰って午後ローを見れていることに感謝😌です。
総合評価☆☆☆☆☆
ストーリー★★★
流し見許容度★★★★
午後ロー親和性★★★★★
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