355

公開 2022年
監督 サイモン・キンバーグ
公開当時 ジェシカ・チャスティン(45歳) ダイアン・クルーガー(46歳) ペネロペ・クルス(48歳)
貫禄ある大女優らが繰り広げる「薹が立ったチャーリーズエンジェル」という印象です。
ジェシカ・チャスティンを始めとする女優らは真面目にアクションをし過ぎており、彼女たちの年齢を考えても今更体当たりのアクションをするには無理があるように思います。
キャリアと年齢を考えても「オーシャンズ8」のようなスタイリッシュさと小手先の頭脳戦で見せる方が正解だったかもしれません。
世界中のインフラや金融システムを攻撃可能にするデジタルデバイスが開発され、闇マーケットに流出されようとしているなか、非常事態に対処するためアメリカ、イギリス、ドイツ、コロンビア、中国の各国の凄腕女性エージェントが集結し、国際テロに立ち向かう…
CIA、 MI6、 BND、 DNIなど世界各国の諜報機関の凄腕女性エージェントが集結し、国際テロに立ち向かうてんこ盛りな内容です。
既視感満載のスパイアクションで、目新しい演出は何もありません。
映画の序盤、新婚旅行を偽装したジェシカ・チャスティン演じるメイスが、花柄のワンピース姿で銃撃戦を繰り広げる場面は本作で一番の見せ場と言えます。
この場面以外特に印象に残るような所は無く、道端の露店や観光客をなぎ倒しながら敵を追跡するこの手の映画によくありがちな流れになります。
シャーリーズ・セロンやキャメロン・ディアスのような長身で筋肉質な女性のアクションと比べ、ジェシカ・チャスティンは小柄で普通体形なためかアクション映えに乏しい印象です。
彼女は「AVA/エヴァ」でも無敵の殺し屋の役を演じていましたが、その時も同じ事を感じました。
ダイアン・クルーガー演じるマリーも、バイクで地下鉄の階段を派手に滑り落ちて転落したにも関わらずまったく無傷であったりと、アクション描写に関してはリアリティ皆無でまったく乗れず、見る者を白けさせる展開です。
「敵の敵は味方。でしょ?」
メイス、マリー、ハディージャ、グラシー4人のエキスパートがデバイス奪還を目指し共闘する事になる。
件のデバイスが上海で行われるオークションに出品されるとの情報を得たメイス。
中盤の上海でのシーンは製作者の「これを撮りたかったんだ!」と言う声が聞こえてきそうな、ゴージャスにドレスアップした5人の大女優を堪能する事ができます。
映画の後半で登場するファン・ビンビンのツルツルピカピカの蝋人形のような顔は、他のキャストが年齢相応のシワを顔に刻んでいる事と対比して違和感を感じずにいられません。アンチエイジングもやり過ぎは禁物ですね。
リンは中国国家安全局のエージェントでありながら4人に協力する懐の深い役どころで見せ場も多くあり、中国での興行収入を意識した構造になっています。
ジェシカ・チャスティンは本作の製作にも携わっており、「ミッション・インポッシブル」のようなスパイアクションを女性たちを主役で描きたいという希望があったそうです。
男女平等や女性の権利を守る活動を行っている彼女ならではですが、トム・クルーズのような荒唐無稽さが許されるようなキャラクターでは無いため、真正面からアクションに挑み過ぎてガチガチに肩に力が入っている感があります。
結果的に賢い女VS愚かな男の構図になっているのも、彼女の主義主張が出過ぎてしまったのかもしれません。
やはり「ゼロ・ダークサーティー」や「モリーズ・ゲーム」のような頭脳戦で映える女優と言えますね。
タイトルの「355」とは、18世紀に実在した女性スパイ「エージェント355」の事だそうです。
続編を匂わせるようなエンディングでしたが、次回作を作るならクールな頭脳戦で見せてもらいたいものです。
間違いなく言えるのは、これほど大女優を無駄遣いした映画も無いという事ですね。
今日も無事に家に帰って午後ローを見れていることに感謝😌です。
総合評価☆☆☆☆☆
ストーリー★
流し見許容度★★★
午後ロー親和性★★★★
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません