蝋人形の館

公開 2005年
監督 シャウム・コレット=セラ
公開当時 エリシャ・カスバート(23歳) パリス・ヒルトン(24歳)
深夜に地上波でひっそりと放送されていたため、ありがちなアメリカの青春ホラーだと思いノーガードで視聴しましたが、かなりのパンチ力があり軽くトラウマに陥りました。
当時大人気だったお騒がせセレブ、パリス・ヒルトンが出演しているもののあっさりと殺されるある意味贅沢なキャスティングです。
ストーリー自体は王道のパニックホラーですが、随所に尖った演出があり隠れた秀作といえます。
カーリーと恋人のウェイド、カーリーの兄ニックと友人たちドールトン、ペイジ、ブレイク。6人の若者たちは大学フットボールの試合観戦のため、スタジアムへ向かっていた。
彼らが道中で車の故障を修理するために立ち寄った「アンブローズ」は人気の全く無い奇妙な町だった…
「何か楽しい事ない?」
パリス・ヒルトン演じるペイジが、ポテトにケチャップをつけてパクッと口に入れる。
冒頭の真っ赤なケチャップの映像が血のように見え、思わず肩に力が入ってしまいました。
薄気味悪い地元の男、レスターに案内されカーリーとウェイドは地図にも載っていない町アンブローズに向かう。
まったく人気の無いさびれた町には、教会、ガソリンスタンド、映画館、そしてなぜか蝋人形館が…
教会では葬儀が行われていた。
車の部品を売ってくれるよう頼むカーリーとウェイドに男は
「まったく…。 静かに葬式もあげさせてもらえないのか…?」
葬儀が終わるのを待つ間、二人は蠟人形館で時間を潰すことに。
そこは広い館内に埃を被った蝋人形が点々と並ぶ不気味な空間だった。
能天気な若者たちが呪われた都市伝説の元、一人ずつ殺害されていく序盤はホラー映画のお手本のような展開です。
後半からは目を背けたくなるような痛覚描写が多数盛り込まれ、耐性が無い人には衝撃的かもしれません。
通常ホラー映画のヒロインというのは、なんだかんだで結局無傷な事が多い印象ですが、本作のカーリーは唇をアロンアルファのような強力接着剤でくっつけられた末剥がす時に唇の皮がビリビリに剥けたり、人差し指の先端をハサミで切断されたりと、中々ハードな責め苦に遭います。
極めつけは生きたまま蝋人形に加工された友人の顔から蝋がはがれ、生皮を剥くような描写のシーンです。
本作はR15+ですが、青少年が見たらトラウマになる事間違い無しですね。
双生児のボーとビンセントは、町を訪れる人間を次々と殺害し、蠟人形に加工していた。
町にはボートビンセントの二人しか存在せず、葬儀の参列者も映画館の観客も、すべて彼らが創った蝋人形だった。
映画館に座る微動だにしない観客の後姿。
カーリーは逃げながらその事実に気付き驚愕するのですが、不条理で陰湿なアメリカの田舎ホラー的な演出で、何とも言えない薄気味悪さがあります。
無名の俳優の中でパリス・ヒルトンの存在感は際立っており、彼女は本作のホラー映画における必須要素「お色気」「おバカギャル」「殺され要員」の重責を担っています。
ランジェリー姿で逃げ回った挙句串刺しにされるなど、セレブにも関わらずこんな役を引き受けるなんて、彼女は意外に天然で人が良いのかもしれませんね。
蝋人形館は建物全体が蝋でできており、最終版の炎と共にドロドロに溶け堕ちる蝋人形館の映像はインパクトがあります。
監督のシャウム・コレット=セラは「フライトプラン」「ロスト・バケーション」など作品によってまったく違うテイストを出す不思議な映画監督ですね。
サスペンスより本作や「エスター」などのホラーで抜群のキレを出す印象があります。
不気味な余韻が残る嫌なラストシーンといい、テンポが良く最後まで緊張感が途切れない展開で、夏休みに家族や友人と見るにはぴったりのB級ホラーです。
Amazonprimeで有料配信されており、「ヘルナイト」や「ラストサマー」のような青春ホラー好きにはぜひとも見て欲しい作品です。
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