バイオハザード

公開 2002年
監督 ポール・W・S・アンダーソン
公開当時 ミラ・ジョボビッチ(27歳)


世の中には人生におけるすべての事象を野球とプロレスに例える熟年男性が存在しますが、私はバイオハザードで人生のすべてのステージを例える事ができます。

映画の方では無く、1996年にカプコンから発売されたプレステのゲーム「バオイハザード」の事です。

ジルとクリスを始めとする特殊作戦部隊S・T・A・R・Sが怪しげ洋館に迷い込み、次々とアイテムをゲットしながらステージをクリアして行く名作ゲームで、私は20代の頃、寝食を忘れてプレイするほどこのゲームにどっぷりとハマり、貴重な時間を数百時間に渡りコントローラーを握りテレビ画面の前で消費してしまった記憶があります。

最高にして至高のゲームで、現在でもこれを超えるソフトは存在しないのではないでしょうか。

本作はこの「バイオハザード」の待望の映画化でしたが、クリスもジルも登場せず本家のゲームとは全く異なるストーリーで、スピーディでキレがありゲームとは違う物語として十分見応えのあるものでした。

アンブレラ社がラクーンシティ地下に所有する極秘研究施設「ハイブ」。
その実験室でウイルスの入った試験官が落下、ウイルス汚染「バイオハザード」が感知される。

「バイオハザード発生… バイオハザード発生… 」の警報音と共にパニックになり逃げ惑う研究員。
エレベーターで救助が間に合わず首を挟まれ圧死してしまう職員の描写など、序盤から手に汗握る緊張感満載スリリングな展開です。

「ハイブ」は地上が古めかしい洋館になっており、地下研究室への入口へと繋がっている。

記憶を無くした状態で目覚めたアリスは、事態を収拾しにやってきた特殊部隊と共に、地下研究室からの脱出を試みる。
隊員とアリスは「ハイブ」の制御室を目指すも、行く手にはウイルスによりゾンビ化したクリーチャーや数々のトラップが待ち受ける。

防御システムのレーザーで隊員が切り刻まれるシーンは、トラウマ級の破壊力があります。
レーザー光線で人体が水平に切断される描写を最初に行ったのは本作ではないでしょうか。
ピシュッ!と格子状に放たれたレーザーで、隊員がミンチ状に切り刻まれ崩れ落ちていく演出は、パニックホラー映画史に残るグロテスクなシーンといっても過言ではありません。

シンプルなストーリーで起承転結がはっきりしており、見終わった後ゲームをクリアした後のような爽快感があり、100分とコンパクトで一気に見せる疾走感があります。
ケルベロスやリッカーのようなバイオハザードの名物クリーチャーは登場するものの、ラスボスのタイラントは登場しません。

本作でミラ・ジョボビッチはアクション女優開眼とでも言うべき、すばらしい身体能力を見せています。
冒頭でのバスルームでの全裸シーンから、およそサバイバルにはふさわしくない赤いコスチュームに着替え、華麗な飛び蹴りを披露し、映画に色気と華を与えています。
映画で回を重ねる毎に無敵キャラへと進化してゆくアリスですが、本作はまだ覚醒前で女性らしい弱さもあり、それがストーリーを面白くしています。

ゲーム「バイオハザード」はシナリオのクオリティの高さゆえか、謎を解きながらアイテムを一つずつ集め、新たなステージへと昇っていく展開はあたかも「人生」のようだと思った記憶があります。

現在映画は「バイオハザード:ザ・ファイナル」の第6作まで制作されており、第2作目からクリスやジルも登場し、回を重ねる毎にオリジナルのゲームに寄せていっていますね。

私は第一作目の本作が一番の秀作だと思っており、制作者のセンスを感じます。