D-TOX

公開 2002年
監督 ジム・ギレスビー
公開当時 シルヴェスター・スタローン(56歳)


午後ローであらゆるジャンルのスタローン主演映画「ランボー」「エクスペンダブルズ」「刑事ジョー ママにお手上げ」などを見てきた私が本作を見て思うのは、スタローンはサイコサスペンスにはまったくハマらないという事です。
仮に本作ほどグダグダでは無く、「セブン」のような練りこまれた緊張感のある作品だったとしても、不発に終わっていたでしょう。

FBIのマロイ捜査官は、警官ばかりを狙う連続殺人事件を捜査していた。
殺人鬼の魔の手は、元相棒の警官、マロイの婚約者へと迫る…

殺人鬼は過去の事件でマロイに追い詰められた事を逆恨みし、婚約者メアリーを惨殺する。
恋人の死に対する自責の念から酒におぼれるマロイに、上司で親友のヘンドリックス捜査官は通称「D-TOX」 警察官専門の依存症治療施設の入所を勧める。

地下軍事施設を改装した「D-TOX」は、雪深く陰鬱な人里離れた僻地にあり、ここで精神状態が良くなるとは到底思えません。

「世の中には、期待外れの物が3つある。女房の手料理、女房のセックス、それとFBIだ…」
入所者は全員元警察関係の人間で、FBIでエリートのマロイに敵意を露にする。

閉ざされた空間に男10人とセクシーな美女一人、殺人犯が紛れ込んでいなかったとしても、一側即発、トラブルが起こる事必至な環境であることは間違いありません。

施設の収容者は、一人また一人と何者かによって殺害されていく。
収容者は10人と人数が多く、みなクセがあり「それっぽい」ため紛らわしく、名前を覚えるのも一苦労で、全集中で視聴したとしても全員を把握するのは難しかったでしょう。
FBIらしくスタローンがプロファイリングして事件を解決するでも無く、謎解きの部分は面白みが無くグダグダと言えるかもしれません。

遺体の瞼に「I See You」の文字が刻まれているのを発見する。
犯人は連続警官殺人犯であり、マロイを追ってこの施設に潜入していた…

犯人はロンドン警察出身のスレーターだった… というオチなのですが、まるでスッキリせず、過去の因縁がさほど語られないため、なぜ彼がこれほど執拗にマロイを付け狙ったのか、消化不良で終わるのです。

スタローン演じるマロイは、序盤で殺害された恋人の幻影が頭を離れず、最終盤の肉弾戦を除いては常にメソメソと覇気が無く、男気溢れるスタローンを見たいという人には完全に期待外れかもしれません。

スタローンのギャラに製作費のほとんどが使われてしまったのか、小道具の雑さには目を見張るものがあります。
2002年の作品でさほど古くないにも関わらず、序盤に登場する惨殺死体は蝋人形丸出しで、そのクオリティたるや田舎のお化け屋敷のそれに近いのです。

本作で一番印象に残ったのはマロイの上司ヘンドリックスです。
マロイに劣悪な環境の施設への入所を勧めたり、猛吹雪の中鼻歌まじりにワカサギ釣りに出掛けたりと、どう見てもイカれたサイコパスで、私は中盤まで彼が犯人と結託しマロイを破滅させるため施設に送り込んだものと思っていました。

スタローン自身が俳優としてすでに多くのストーリーを背負い過ぎており、謎解きの要素が入り込む隙が無く、本作のようなサイコスリラーとは相性が悪いですね。
当時56歳でアクション俳優として迷走していた時期でもあるのでしょうが、1995年「セブン」から始まったサイコスリラーの人気に乗っかった結果、ポリス・アクションとしても中途半端になってしまった感が否めません。

今日も無事に家に帰って午後ローを見れていることに感謝😌です。

総合評価☆☆☆☆☆
ストーリー★
流し見許容度★★★
午後ロー親和性★★★★★