モンスターズ/地球外生命体
午後のロードショー大好きなパート主婦です。
今回は午後ロー5月29日放送モンスターズ/地球外生命体の感想です。
公開 2010年
監督 ギャレス・エドワーズ
公開当時 スクート・マクネイリー32歳 ホイットニー・エイブル27歳
この映画は低予算の割には秀作との声が多いのですが、おそらく好みがはっきり分かれる作品と言えます。
モンスターは背景に過ぎず、モンスターに支配された世界と、その中を旅する二人の男女が徐々に惹かれあっていく様を描くSFロマンスです。
タイトルから人間とモンスターがガッツリと戦う作品をイメージする人も多いのではと思いますが、肝心のモンスターはラストに少し登場するだけで、ほとんど姿を見せません。
マニアックな作品を好む映画通には評判が良いようですが、残念ながら私のような意識低い系の人間には、バツ1子持ちのやさぐれた中年カメラマンと、わがままな金持ちの娘が、男女の駆け引きを繰り返しながら旅するかったるいロードムービーにしか見えませんでした。
地球外生命体のサンプルがメキシコ上空で爆発。その直後から謎の生物が増殖し、メキシコの半分が危険地帯として隔離される。
カメラマンのアンドリュー・コールダーは、現地で怪我をした社長令嬢のサマンサをアメリカの国境まで送り届けろとの命令を受ける。
アメリカ国境を目指し、モンスター多発地帯中、二人の旅が始まる…
画面が暗く、モンスターは長い触覚や背びれのようなものが少し映るくらいで、低予算ゆえか「ミスト」や「クローバーフィールド」のようにモンスターをはっきりと映すことはせず、見る者の想像に委ねる部分があります。
カメラマンのコールダーは「笑顔の子供の写真はいくらで売れると思う? ゼロだ」「だから俺は、パニックを撮る」
サマンサとコールダーの青春映画っぽいセリフは、アンニュイな雰囲気で良いですね。
モンスターとの直接対決はほとんど無く、登場人物はひたすら傍観するだけなのです。
力尽きた人々がモンスターとの共存を選んだという設定のようですが、絶望感は無く、なんだか皆受け身でのんびりとしているのです。
貧困のため逃げようにもどこにも逃げられず、無駄な抵抗はしないという事なのでしょうか。
頼みの米軍も、なんだか他人事で身に降りかかる火の粉を払うのみで、積極的にモンスターの駆除に駆り出そうとはしていないのです。
普通の映画なら「進撃の巨人」のように民間で抵抗軍を作ってモンスターに対抗しようとするのでしょうが、この無力感こそが今作の斬新な部分といえるのではないでしょうか。
危険なモンスター多発地帯を現地のメキシコ人の手引きで通過することになる二人。
モンスターにいつ遭遇するかわからない危険な状況だというのにサマンサは
「どうなってるの⁉ 説明して‼」「モンスターがいるの⁉ どこに⁉」と始終うるさいのです。
自分から好んでモンスターの巣窟に乗り込んできたというのに、状況を考えれば大体の察しは付くだろ「黙ってろや‼」と言いたくなってしまいます。
まあ、金持ちで美人で冒険好きなお嬢さんなんて、こんなもんかもしれませんね。
二匹のモンスターがお互いの触手をからめているのは、「交尾」を意味しているのだそうです。
サマンサとコールダーは打ち上げ花火を見るカップルのようなキラキラしたまなざしで、モンスターの交尾を眺めているのです。
モンスターに触発されたのか、抱き合う二人。
「離れたくない」
救助隊の到着で、二人は別々の車両へ…
この映画の冒頭シーンにあるように、結局この二人は救助隊もろともモンスターに襲われ死亡してしまうようなのです。
なぜこのような展開にしたのかはわかりませんが、始めに二人の死を見せる事によって、二人の関係性を刹那的に見せる狙いがあったのでしょうか。
モンスターの侵入を防ぐためメキシコの国境に作られた巨大な壁は、移民問題を揶揄しているのでしょうか。
メキシコ移民をモンスターに例え皮肉っているともとれます。
「アメリカは壁を作ることで、自分自身を閉じ込めた」など、随所で意味深な含蓄のあるセリフがあり、意外な社会派映画の様相も呈しています。
サマンサを演じたホイットニー・エイブルは、キャメロン・ディアスを思わせるキュートなルックスですね。
彼女の美しさで最後まで見れたようなものです。
映画の内容はともかく主演二人の吹き替えを担当した平田宏明と甲斐田裕子は素晴らしく、サマンサのキュートさとコールダーのやさぐれた気だるい雰囲気を十分に引き出していました。
字幕だったら、最後まで見る事はできなかったかもしれません。
監督のギャレス・エドワーズは今作で広くその名を知られるようになり、2014年ハリウッド版「GODZILLA ゴジラ」の監督をすることになったそうです。
渡辺謙も出演していましたが、特に印象に残る作品ではありませんでした。
画面が揺れるドキュメンタリー風の映像や、モンスターがいる緊迫した状況にも関わらず、オフビートで気だるい雰囲気は斬新かもしれません。
この映画の製作費は日本円で130万程度しかかけていないのだそうです。
この予算で「これだけの世界観をよくぞ作った!」という意見もありますが、どうせなら借金してでもあと500万くらいかけて、モンスターをもう少し多く登場させた方が良かったかもしれません。
今日も無事に家に帰って午後ローを見れていることに感謝😌です。
総合評価☆☆☆☆☆
ストーリー★
流し見許容度★★★
午後ロー親和性★★★★★
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