ルパン三世 DEAD OR ALIVE

2023年9月28日


午後のロードショー大好きなパート主婦です。
今回は過去に見た映画の中から印象に残った作品を語りたいと思います。
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公開 1996年

監督 モンキー・パンチ
出演者 栗田寛一 小林清志 井上真樹夫 増山江威子 納谷悟朗 高山みなみ

この映画は公開当時、映画館に二度見に行きました。
クールなルパンを渇望していた私にとって「私が見たかったルパンはこれだ!」と感動したのを覚えています。

多くの人がそうであるように、1971年のテレビ版「ルパン三世」ファーストシリーズ 1978年の「ルパン三世ルパン対複製人間」1979年「カリオストロの城」ですっかりルパンのファンだった私は、テレビ版も劇場版もすべてのルパン作品を追い続けていました。

「カリオストロ」以降のルパン三世はあまりに人気シリーズになってしまったためか、子供から大人まで楽しめるような大衆ヒーローと化してしまい、ルパンのクールさや毒はすっかり姿を消し、優しいおとぼけキャラへと変容していった感があります。
それは私たち往年のルパンファンにとって寂しいものでした。

マモーがルパンに言った「私はコピーのコピー。コピーを重ねると像が徐々に歪んでいく…」の言葉のように、それからのルパン作品はこの偉大な1970年代作品のコピーに過ぎず、製作者の個性や独創性をまるで感じないものでした。

その後公開された劇場版1985年「ルパン三世バビロンの黄金伝説」1995年の「ルパン三世くたばれノストラダムス」も劇場に見に行きましたが、それは私にとって期待外れのものでした。

ルパン三世 DEAD OR ALIVE | My Mind Note・ミュージック&ムービー中毒で全身当事者主義な日々

本作は原作者モンキー・パンチが監督を務めているためか、原作のクールで毒のあるルパン像が前面に出ており大人の鑑賞を意図したハードボイルドなルパンを魅せる作品と言えます。
ルパンが変装し刑務所を脱獄する冒頭シーンは、原作のルパンイムズ溢れるクールさで痺れるものがあります。

作画はやや大味でクセがあるものの、ルパンだけでなく主要キャラクター全員にバランスよく見せ場あり、スピード感のある無駄のない構成です。
なにより銭形警部がいつものドジなおとぼけキャラでは無く、硬派な敏腕刑事に描かれており モンキー・パンチのこだわりを感じます。
DEAD OR ALIVE 解説 - min.t (ミント)

原作の変幻自在、正体不明のルパンのキャラを生かしたどんでん返しの展開といい、騙し騙され、見る者の裏をかく原作のルパンのテイストを生かしたトリッキーな展開と言えます。

マモーやカリオストロ伯爵のような強烈な悪役の存在あってこそルパンの魅力が増すと言えるのですが、今作の「首狩り将軍」は少しキャラ造形が雑だったと言わざるを得ず、むしろ側近のクライシスの方がキャラが立っていたかもしれません。

ラストのアジトでの展開は、まさに原作のニヒリズムが炸裂しています。

モンキー・パンチは今作の監督を務めた経緯についてのインタビューで「「カリオストロの城」以降、作る人がみんな宮崎駿の優しいルパンに引っ張られている。本来ルパンはもっとクールで毒のあるキャラクターなんです」
「いろんなルパン像があってもいい。その人が持っている個性でキャラクターを動かしてくれたらいいんだけど、みんな宮崎ルパンに引きずられている」
と語っています。
ルパン三世 「DEAD OR ALIVE」Ⅱ 悪役論|Review今作は劇場版で小林清志 井上真樹夫 増山江威子 納谷悟朗が声優を務めた最後の作品です。

ルパンを山田康夫が演じ、いつもルパンの音楽を担当している大野雄二が参加していたらもっと素晴らしい作品になっていたかもしれません。

ルパン映画の中で「マモー」と「カリオストロ」を横綱とするなら今作は大関といったところでしょうか。

70年代のようなクオリティの高い作品を量産できるはずも無く、ファンとしてはルパンシリーズが現在も続いていることを感謝しなくてはならないのかもしれません。
原作者モンキーパンチは惜しくも亡くなってしまいましたが、原点回帰、今一度原作をベースにしたクールな大人のルパン三世を映画化してくれる監督が現れる事を願ってやみません。

 

 

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Posted by eijun