アザーズ

2023年10月18日


午後のロードショー大好きなパート主婦です。
今回は午後ロー3月15日放送アザーズの感想です。
ネタバレ有です。ご注意ください。

Amazon.co.jp: アザーズ (字幕版)を観る | Prime Video公開 2001年
監督 アレハンドロ・アメナーバル
公開当時 ニコール・キッドマン33歳 フィオヌラ・フラナガン59歳

怖い話が大の苦手な私は、初めてこの映画を見た時本気で怖かったのを覚えています。

最後まで緊張感が途切れず一気に見る事の出来る、サスペンスホラーの名作と言えます。
何度か見てオチが分かっている現在では、ニコール・キッドマン演じる母親と子供たちの距離感や、散りばめられた伏線など視点を変えて楽しむことができます。
上質なホラー作品ゆえか、何度見ても新たな発見があります。
映画『アザーズ』ニコール・キッドマン主演のゴシック・ホラー(ネタバレ回避): 映画マニアの徹底レビュー

グレースは日光過敏症を患う娘アンと息子ニコラスの3人きりで、広大な屋敷に暮らしていた。夫は出征したまま帰ってこず、使用人もいない。ある日家族の元に3人の使用人が現れる。それを境に屋敷で不可解な現象が次々と起き始める…

子供たちを直射日光から守るため、鍵の束を持ち歩き、部屋を移動するごとにガチャガチャとせわしなく施錠するグレース。
序盤から「ただ事ではない」感が漂っています。

誰もいないはずの部屋に響く物音に怯えるグレース。
徐々に、不思議な現象はエスカレートしていく。

果たして怪奇現象の正体は、3人の使用人たちにより陰謀なのか、それとも霊的なものなのか…

怪奇現象に神経が張り詰め、徐々にヒステリックになっていくグレースに、見る方は完全に感情移入してしまいます。

簡単に言うと「シックスセンス」的な、実は死んでいました、というオチなのですが、見せ方が上手いですね。

第二次世界大戦下という時代設定や、日光過敏症の子供たちなど、ミスリードさせられる要素が満載で、勘の鈍い私は、映画の最終盤までオチがわかりませんでした。

アザーズ』解説考察|伏線、グレースの正体、チャールズ帰還の意味、キリスト教と地縛霊についてなど | 映画鑑賞中。

グレースら家族3人はすでに死んでおり、怪奇現象の正体はこの屋敷に引っ越してきた新しい家族の仕業だった…

グレース一家の姿が見えるのは、少年のビクターだけ。
幼い子供や動物には、霊が見えると言われていますよね。

このように死者の視点と生者の視点が反転する構造は見事ですね。
ラストは死者から見た視点と、生者から見た視点、両方が重なり合う…

死んだ人間を写真に残す「死者の本」には、背筋がゾワ~ッとしてしまいました。このシーンは本当に「リング」のような、ジャパニーズホラー的な怖さがありますね。
この映画では、ネタばらしに効果的に使われています。
アザーズ映画の伏線どこ?結末解説と使用人や父親のシーンを考察!|claire's blog信心深いグレースは、精神の不安定さからかパニックを起こし、子供たちを殺害した後、自らも猟銃で頭を撃って自殺していた…

キリスト教の教えでは、自殺者は天国に行けないとされているそうですね。
前線に赴いたはずの夫が屋敷に帰ってきたものの、一人で去ってしまったのは、自殺したグレースを死者の国に連れていけないということでしょうか。
キリスト教の価値観が良く分かっている人なら、もっとこの映画を深く楽しめるかもしれませんね。

背景が屋敷と庭に限定されているためか、どこか舞台劇のようでもあります。
全体的に暗いシーンが多く「何かあるのでは」と画面の余白の暗闇に目を凝らしたくなります。

グレースは病弱な二人の子供を抱え、戦争に行った夫を待つ健気なシングルマザーなのです。
子育てに苦しみ、子供たちを守るため常に神経が張り詰めている姿は実に健気で哀れにも見えます。

3人の家族は成仏できず、永久にあの屋敷をさまようのでしょうか。

ラストの「売り家」の文字が、胸にズシンときます。

いわゆるどんでん返し系のホラーなのですが、あざとさはみじんも無く、ラストはこれまでの恐怖や緊張感が昇華されたようなストン、とした気持ちになります。
映画アザーズのネタバレあらすじ・結末と感想!ニコール・キッドマンの演技がすごい? | 大人のためのエンターテイメントメディアBiBi[ビビ]

ニコール・キッドマンは透けるような透明感があり女神のように美しいですね。
当時の彼女は「アイズ・ワイド・シャット」や「ムーラン・ルージュ」などの話題作に次々と主演し、まさにハリウッドのミューズ的な存在でした。

ニコール・キッドマンを初めて見たのはトム・クルーズ共演の「デイズ・オブ・サンダー」で、当時はつまらない美人女優という印象でしたが、彼女を演技派だと認めたのは1995年「誘う女」です。
彼女は私利私欲から少年を利用し夫を殺害させる悪女を演じていましたが、原作を読んだ私から見ればまさにイメージにぴったりと重り、彼女以外のキャスティングは考えられないほどです。
「ドッグヴィル」などの際どい作品に出演したりと、キャリアに対する貪欲さが伺えます。

「アザーズ」は当時夫だったトム・クルーズが製作をしているせいか、彼女の美しさと演技力を100%見せつけた映画と言えますね。

ニコール・キッドマンの鬼気迫る演技は、舞台劇を思わせる臨場感があります。
彼女の美しさと演技力がなければ、この映画は成立しなかったといっても過言ではありませんね。

今日も無事に家に帰って午後ローを見れていることに感謝😌です。

総合評価☆☆☆☆☆
ストーリー★★★★★
流し見許容度★
午後ロー親和性★★