ヒッチャー2 心臓”完全”停止

公開 2003年
監督 ルイス・モーノウ
公開当時 C・トーマス・ハウエル(37歳) ジェイク・ビューシー(32歳)
ハイウェイを舞台にしたホラー映画1986年「ヒッチャー」の続編で、主人公のジムが15年後に再び狂気のストーカーによる悪夢に見舞われる内容です。
本作のはつらつとした体育会系サイコパスとも言えるジェイクのイカれ具合は、前作の粘着質で悪魔的なジョン・ライダーに勝るとも劣らず、登場人物の恐怖を充分に共感する事ができます。
「ヒッチャー」は名作ホラーの呼び声も高く、それに比べて本作は駄作との感想が多いようですが、ジェイクの前作にも増して正体不明な不気味さは、ゾワゾワ~っと神経に触るような不気味さがあり、ホラー要素だけ見れば合格点と言えるのではないでしょうか。

15年前、テキサス州のハイウェイで、殺人鬼のヒッチハイカーを乗せてしまったことで、未曽有の恐怖を味わったジム。
彼は現在、警官として働いているが、今でも過去のトラウマを払拭できずにいた。
事件のトラウマに立ち向かうべく、恋人のマギーと共に、再びテキサス州を訪れるジムだったが、その道中にジェイクというヒッチハイカーに出会う。
マギーはジムの静止も聞かず、ジェイクを車に乗せてしまう。
ジムにはよほど「引き」があるのか、2度も続けてトップクラスにイカれたサイコパスと同乗することになってしまうのです。
逃げても逃げてもジェイクはジムらの行く先々に神出鬼没で現れ、見せつけるように残忍な方法で無差別に人を殺していく。

私が戦慄したのは序盤のトラック運転手が殺害されるシーンです。
ジェイクはトラック運転手の頭皮を毛髪ごと引き剥がし、それを頭にかぶってジムの前に現れる。
テキサスの砂漠地帯の明るく乾いた雰囲気と、殺人の陰惨さが不穏な不協和音を奏で、何とも言えない不気味さがありました。
ジムはジェイクの放った銃弾に倒れる。
「マギー…! 必ずあいつを殺すと約束してくれ…!」
「そんな…! 死なないでジム!」
なんと映画の中盤、主役はジムからマギーへ選手交代します。
マギーは凶弾に倒れたジムの仇を討つべく、ジェイクに立ち向かう…
おっさんになったジムの代わりにセクシーなマギーに主役交代することで、観客の興味を持続させたかったのでしょうね。

追ってくるジェイクの気配を感じつつ車を運転するマギーは、ハイウェイ沿いにあるゴーストタウンに辿り着く。
村にはレストランや民家が点在するものの、人気は無く荒れ果てていた。
電話を借りようと入ったレストランに、なんとコック帽をかぶり料理をするジェイクの姿が。
驚愕するマギーに、
「いらっしゃい! ポテトはいかが⁉」
ジェイクは包丁で自らの小指をポンッ!と切り落とし、油の中に投じる…
このシーンはジェイクのあまりのイカれ具合に、凍り付いてしまいました。
「ヒッチャー」でも、ジムがポテトに混入した死体の指を誤って口に入れ嘔吐するシーンがあり、これはそのオマージュと言えますね。

マギーはジムの仇を討つべく、セスナ機を操縦しジェイクの運転するトラックにブチ当て爆破させる。
肉片になって飛び散るジェイクの肉体。
原題は「The Hitcher II: I’ve Been Waiting」で、ジェイクは ジョン・ライダーの生まれ変わりという設定のようですが、ハイウェイの死神「ヒッチャー」が二度と蘇らないことを願うばかりです。

主役は1986年と同じくC・トーマス・ハウエルが演じており、前作のジョン・ライダーは登場しないものの、過去のトラウマシーンで前作の映像が何度も使用されており、名作ホラーの続編でヒットにあやかりたいという制作者の意図が垣間見えます。
前作のジョン・ライダーが執拗にジムを狙ったのは、彼がゲイだったという考察もあり、ルトガー・ハウアーの演技力の秀逸さゆえか、ジョン・ライダーは闇と奥行きを感じるキャラでしたが、本作のジェイクの能天気な理由無き残忍さには絶望感を感じるほどの恐ろしさがあります。
「ヒッチャー」の看板を借りたB級ホラーとの声が多いようですが、アメリカ辺境ホラーの要素が詰め込まれており、午後ローでたまたま見てしまった私のような怖がりな人間にトラウマを植え付けるあなどれない映画です。
今日も無事に家に帰って午後ローを見れていることに感謝😌です。
総合評価☆☆☆☆☆
ストーリー★★★
流し見許容度★
午後ロー親和性★★★★★
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