ビロウ

2022年5月29日2024年2月6日

午後のロードショー大好きなパート主婦です。
今回は午後ロー５月２６日放送のビロウの感想です。

公開　２００２年
監督　デヴィット・トゥーヒー
出演　マシュー・デイビス　ブルース・グリーンウッド　オリヴィア・ウィリアム　ホルト・マッキャラニー

第二次世界大戦下、大西洋を航行するアメリカ軍潜水艦タイガー・シャークは、ドイツ軍に襲撃を受けたイギリス病院船から３人の生存者を救出する。その一人は潜水艦には不吉とされる女性だった。その時から艦内では、敵の攻撃とも怪奇現象ともつかない奇妙な出来事が起こり始める…

ホラーとサスペンスの融合、スタンリー・キューブリック監督の「シャイニング」のようですね。
潜水艦という閉ざされた空間での閉塞感や、その中で少しずつ正気を失っていく上官はまさに「シャイニング」の父親を彷彿とさせます。
タイトルと予告編を見た限りでは、エイリアンのような正体不明の未知の生物が潜水艦内に侵入し、乗組員たちを次々と襲う…　というよくあるストーリーかと思いきや、良い意味で期待を裏切られました。
ブライス大尉の判断ミスにより、敵のドイツ軍艦と間違えてイギリス軍病院船を誤射し、撃沈してしまったことから起こる、ホラー＆サスペンスなのです。

潜水艦に女性を乗せると不吉、というジンクスがあるのですね。

艦内では、誰もいない部屋で突然ジャズのレコードがかかったり、乗組員が不気味な声を聞いたりと、怪奇現象が次々と起こるようになるのです。

潜水艦の酸素が少ない状態の中で、乗組員が幻覚を見ていた、というオチなのかと思いましたが、どうやら病院船で亡くなった患者の霊がこの怪奇現象を引き起こしていたという解釈で良いようです。
中でも艦内に鳴り響く潜水艦を外側からひっかくような音や、舵が動かなくなるという現象は、まさに「本当にあった怖い話」という感じですね。

あまりに奇妙な事が起こる艦内で乗組員が「もしかして、撃沈されたのはドイツ艦ではなく、俺たちの方なんじゃないか？」「俺たちはもう死んでいるんじゃ…」物語はこのままホラー展開へと流れていくのか…　と思いきや、人為的サスペンスへと軌道修正しましたね。

「シャイニング」では父親がホテルに棲みつく霊によって徐々に正気を失って行き、殺人鬼と化していく過程が鬼気迫る描写で描かれますが、この映画では艦長代理のブライス大尉の変化がまさにそれに当たります。
乗組員の大半が死亡、緊迫した状態にもかかわらず、鼻歌まじりで靴を磨き「靴墨が足りないんだよ…」
酸素不足でこのままでは全員全滅という場面で、いきなり正装に着替えて現れるなど、それを見た乗組員の「……！」と息を飲む表情に「シャイニング」的な恐怖を感じます。

ブライス大尉は、ドイツ軍艦と間違えイギリス軍病院船を誤爆したことと、艦長を殺した事実を隠蔽しようとしていた。
暴走するブライス大尉と乗組員との攻防の末、潜水艦は沈没、誤爆したイギリス軍病院船の真横に沈んでいく。
結局潜水艦は、最初の地点から少しも動いていなかった…。

このラストもゾワっとするものがあります。

ストーリーの展開が遅く、「シャイニング」ほどの切れ味は無いものの、ただでさえ緊迫した潜水艦内にサスペンスのみならず、ホラーを持ち込んだのは斬新だったのではないでしょうか。

私の好きな俳優、ホルト・マッキャラニーがルーミス大尉の役で出演していますね。大きな体に茶目っ気のある顔が魅力的なのですが、先日テレ東で放送された「パーフェクトガイ」では人情味あふれる刑事、今年公開された「ナイト・メア・アリー」では用心棒役を演じていました。
敵艦をレーダーが察知し、乗組員全員が緊張感に包まれている時だというのに、オイルサーディンの缶を開け指でつまんで食べていましたが、何もこんな時にそんな油っぽいもん食べなくても…と思ってしまいました。
看護師のオリヴィアを演じたのは私の大好きな映画「天才マックスの世界」で、マックスの憧れる女性教師を演じていたクレア・ペイジですね。
敵か味方かわからないミステリアスな女性を繊細に演じていました。
映画の序盤、イギリス軍病院船の３人を救助した時に、「ビッグニュースだぞ！なんと３人の内1人は女だ！」「マジか！ウッヒョ～！」男性乗組員ばかりゆえか男子高校生並みにテンション爆アゲになる彼らを見て「ここだったら、私でもモテちゃうかも…😍」などと、よこしまな考えをおこしてしまいました。