AVA/エヴァ

2024年10月23日



今回は午後ロー10月23日放送AVA/エヴァの感想です。

公開 2020年
監督 テイト・テイラー
公開当時 ジェシカ・チャスティン43歳 ジョン・マルコヴィッチ66歳 コリン・ファレル44歳
ジーナ・デイヴィス64歳 ジョアン・チェン59歳


家族のしがらみや恋に悩む普通の女性の日常と、暗殺者としての修羅の世界を事も無げに行き来するエヴァ。
冷酷な暗殺者にも家族がいて、生活があるのですね。

冒頭のエヴァが組織の命令に従い冷静に任務を遂行するシーンからのタイトルクレジットは、彼女が暗殺者となるまでの経緯がテンポよく語られています。
女性版007のような全編激しいアクションや諜報戦を想像していたのですが、意外にも家族や恋人の事で葛藤する女性のヒューマンドラマですね。

97分と尺も短く、彼女の所属する「組織」の存在や上司デュークとの関係も最小限にしか語られておりらず、見る者の想像に委ねる部分があります。

任務の合間に故郷を訪れるも、母親とはそりが合わず、妹は元彼と同棲中。
暗殺者であることはもちろん家族には秘密であり、そのことが余計に家族との間に不信感や軋轢を生んでいる。

エヴァは完璧に暗殺者としての任務をこなしながらも、極秘機密であるターゲットの抹殺理由に興味を持つようになり、「あなたはなぜ殺されるの?」と、本人に殺される理由を尋ねてしまう。
自らの任務に疑念を持ち始め、殺されるに値する人物なのか確かめたいという気持ちからなのですが、彼女の「仕事人」としての生真面目さの表れのように感じます。

組織は彼女のこの行動に不信感を抱くようになり、組織にとっての危険因子である彼女を抹殺しようとする。

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家族や元彼と関係修復を図るも、暗殺者としてあまりにも一般社会と乖離してしてしまった自分に絶望し、アルコール依存症であった彼女は禁じていた酒におぼれる。
その時、彼女を抹殺しようと組織最強の殺し屋サイモンが彼女を襲う。

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小柄なジェシカ・チャスティンが男相手に互角に肉弾戦をするのは、やや非現実的な感があります。
終盤はターミネーターのような不死身さを見せるエヴァなのですが、もう少し弱さや疲れを見せた方がリアリティがあったかもしれませんね。

サイモンを殺したことで、組織から追われる身となるエヴァ。
家族に別れを告げ、さらなる修羅の道へと歩き出すことになる…

ストーリーとしては特に斬新さは無く、「ニキータ」に端を発する、組織に拾われ冷徹な暗殺者となる女性の悲哀を描いています。

エヴァは暗殺者として常に死と隣り合わせでありながらどこか飄々としており、また虚無感を漂わせているのです。

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アクションより、ヒューマンドラマに重点を置いており、ポスターから推察されるようなガチガチのアクションを期待して見たら拍子抜けしてしまうかもしれません。
私はジェシカ・チャスティンが好きなので、最後まで飽きずに見る事ができました。

エヴァを父のように見守るデュークの役でジョン・マルコヴィッチが出演していますが、もと凄腕の殺し屋とはいえ彼が普通の紳士の役を演じるのは珍しい事ではないでしょうか。
公開当時66歳の彼は激しいアクションにも挑んでいますが、コリン・ファレルにボコボコにされる様はファンとしては見ていてつらいものがありました。
なぜそこまでエヴァを擁護するのか、エピソードを挟んだ方が良かったかもしれません。
とはいえさすがの存在感、多くを語らずとも数々の修羅場をくぐってきたであろう、ただ者で無い感はさすがですね。

ジーナ・デイビスの画像一覧 | 映画ポップコーン

ジーナ・デイヴィスが母親役で出演しています。
先日午後ローで放送された「カットスロートアイランド」「ロング・キス・グッドナイト」から26年の時を経て年齢を重ねましたが、さすがの貫禄で愛情表現の下手な母親の役を好演していました。

AVA/エヴァ - 銀幕大帝α

カジノの元締めトニを演じたジョアン・チェンは「ラストエンペラー」以降、久しぶりに映画で見る感がありますが、年齢を重ねたものの妖気すら感じる色気と存在感は映画にアクセントを与えていますね。

全体的にクセのある個性的なキャスティングで、アクションよりストーリーに重点を置いたのが伝わってきます。

ジェシカ・チャスティンは、「女神の見えざる手」「モリーズ・ゲーム」など、既存の社会構造にNOを突き付ける強い女性を演じる事が多い印象です。
彼女の出演作は一定レベルの秀作が多いイメージがあり、慎重に役を選んでいるのが伝わってきます。
女優としてだけでなく、彼女の人間としてのスタンスが役選びに影響を与えているのではないでしょうか。

この映画の中でデュークがエヴァに残した手紙「君がこの手紙を読む頃、私はこの世にいないだろう…」
映画やドラマに中でよく出てくるシチュエーションであり、書いた本人が自らの死を予期し、残されたものに最大限の有益な何かを残そうとする時に使う手法ですね。
私の中では最高にかっこ良い消え方だと思うのです。

現実には難しいでしょうが、私自身も重い病気や認知症などと診断された場合、家族に迷惑をかけないよう、身の振り方を決めた上で置手紙を残し「この手紙を読む頃、私はあなたの前から姿を消しているでしょう…」をキメてみたいものです。

今日も無事に家に帰って午後ローを見れていることに感謝😌です。

総合評価☆☆☆☆☆
ストーリー★★★
流し見許容度★
午後ロー親和性★★★
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画像引用元
ORICON NEWSムビコレ 
映画・エンタメ情報サイトムービーナーズ
映画『AVA/エヴァ』公式サイト
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