仮面の男

2022年8月24日2023年4月26日

午後のロードショー大好きなパート主婦です。
今回は午後ロー８月２２日放送仮面の男の感想です。
公開　１９９８年
監督　ランダル・ウオレス
公開当時　レオナルド・ディカプリオ２３歳　　ジョン・マルコヴィッチ４４歳　　ジェレミー・アイアンズ４９歳
ガブリエル・バーン４８歳　ジェラール・ドパルデュー４９歳

ルイ１４世と双子の兄弟の知られざる逸話、老いた三銃士の復活と活躍、王妃とダルタニャンの秘めた恋を描く。

レオナルド・ディカプリオは世界的大ヒット作「タイタニック」出演後「出演したことを後悔している。自分のイメージを観客に植え付けてしまった」と語っています。
この映画は「タイタニック」の翌年に公開された作品なのですが、この頃の彼は役者として迷走していた時期なのではないでしょうか。

フランス王朝のお家騒動に誰もが知っている三銃士の物語を絡めた娯楽大作なのですが、超豪華なキャストにもかかわらず、B級感が否めません。
かつてルイ１３世のもとでその名を馳せた三銃士は、現役を退き現在はルイ１４世に仕えていた…

私が思うハリウッドの三大イケオジ、ジョン・マルコヴィッチ　ジェレミー・アイアンズ　ガブリエル・バーンが出演しています。
ポルトスをジェラール・ドパルデューが演じていますが、「屁はこきたいときにこく！」「女は抱きたい時に抱く！」完全無欠のおっさんキャラ、彼は三銃士の中のお笑い担当ですね。

レオ様は、ルイ１３世の策略で鉄仮面を装着され幽閉されていた双子の弟フィリップと、ルイ１４世の２役を演じています。
冷酷なルイ１４世と慈悲深いフィリップの演じ分けは正直微妙ですね。
ブラックレオ様とホワイトレオ様を同時に堪能することができるため、ファンとしては眼福な作品だったのではないでしょうか。
冷酷なルイ１４世を失脚させ、慈悲深いフィリップを王にすり替えようと画策する三銃士たち。

鉄仮面をかぶったままで三銃士らと共に戦うフィリップはまるで埴輪ですね。「何スかこれ？」となって爆笑してしまいました。
鉄仮面越しに感情を表現しようとするも、伝わりにくい事この上ありません。

ダルタニャンはフィリップを守ろうとして自ら刃の盾になり命を落とす。なんと、ダルタニャンは王妃と恋仲であり、ルイ１４世とフィリップ双子の父だったのだ…
フィリップはダルタニャンの亡骸を抱き、「仮面を被っていたのはあなただ…」

DNA鑑定も無かった時代に父親だと言い切ってしまうのもすごいですね。

慈悲深いフィリップが国王の座に就き、冷酷なルイは幽閉、三銃士に支えられながらフィリップは偉大な国王「ルイ１４世」としてフランスの黄金時代を築きましたとさ。　めでたしめでたし…

ストーリーはシンプルでディズニー映画になっても良いほどの勧善懲悪、アニメになったら子供でも楽しめそうですね。

この映画の舞台にもなっているヴェルサイユ宮殿には２０代の頃観光で訪れた事があるのですが、なんとも奇妙な構造をしています。
廊下が無く、部屋と部屋とが連なっており、一番奥の部屋へ行くためにはすべての部屋を通過しなければならないのです。
つまり宮殿に住む王にとってプライバシーというものは無く、この映画のルイ１４世の性格が歪んでしまうのもわかる気がします。

アトスの役のジョン・マルコヴィッチは、ルックスはおっさんにもかかわらず、この駄々洩れる色気の正体は一体何なのでしょうか。彼の出演作は大体見ていると思うのですが　特に午後ローでも度々放送される「メアリー・ライリー」のジギル博士の役は彼の魅力全開、私の大好きなキャラクターです。

この頃のレオ様は「タイタニック」をはじめ「ロミオ+ジュリエット」「太陽と月に背いて」などの、ファンの期待に応える自身の美しさと若さを前面に出すような作品に立て続けに出演しており、ハリウッドのアイドル的な立ち位置だったと言えるかもしれません。

３０代に入ってからは「ワールド・オブ・ライズ」「ブラッド・ダイヤモンド」「ディパーテッド」などの骨太な作品に次々と出演し、演技派俳優としての地位を確立していますが、この当時の彼には、アイドルが演技派俳優へと脱皮する時の苦悩を感じるのです。

双子というモチーフは一作品でアイドルの二つの表情を見せる事ができる戦略的な方法であり、８０年代の日本のアイドル映画やドラマでもこの手法は多用されていたように思います。

私は１９８２年田原俊彦主演「ウイーン物語ジェミニ・YとS」を思い出してしまいました。
この映画の中でトシちゃんは生き別れた双子、ウイーン貴族ロハネス・ローデンベルグと普通の青年、若草俊一の二役を演じており、優雅に乗馬やダンスを楽しむトシちゃんにときめいたのを思い出します。
なんとこの映画はその年の最低映画に贈られるゴールデンラズベリー賞を受賞しているのですね。