激突!
午後のロードショー大好きなパート主婦です。
今回は午後ロー11月10日放送激突!の感想です。
公開 1971年
監督 スティーブン・スピルバーグ
出演 デニス・ウィーバー
この映画は午後ローで何度も見ているのですが、いつも最後まで真剣に見てしまいます。
極めてシンプルなストーリーであるにも関わらず最後まで緊張感が途切れず、予期せず変質者に執拗に追い掛け回されることになった男の恐怖をガッツリと共感することができます。
冒頭の車が自宅のガレージを出発し住宅街から都市部、さらに郊外へ、そして山間部のハイウェイへと進んで行くシーンは車社会アメリカの社会構造と共に、これから起こるサスペンスへの不穏な空気を漂わせています。
セールスマンのデイヴィッドは、商談のため車でカリフォルニアに向かう途中、荒野のハイウェイで1台の大型トレーラーを追い抜いたことにより執拗に追い掛け回されるようになる。
アメリカの広大な山間部のハイウェイでこのようなトラブルに巻き込まれたら、と思うと背筋が凍ります。
当時は携帯電話も無く、警察を呼ぶのもままならないのです。
低速走行していたトレーラーは、デイヴィッドに追い抜かれたとたん、猛スピードでデイヴィッドの車を追ってくる。
まさに変質者がターゲットを定めた、と言えるシーンです。
彼らにとっては「狩り」のようなゲーム感覚なのでしょうか。
徐々にスピードを上げ追い上げてくるトレーラがバックミラーに映り、恐怖で額に汗がにじむデイヴィッドの様子は手に汗握るものがあります。
「ルパン三世 ルパンVS人造人間」のトレーラーのシーンはこの映画からインスピレーションを得たそうですね。
トレーラーの猛追に合い、命からがらハイウェイ沿いのダイナーに逃れたデイヴィッド。
ダイナーに立ち寄ったデイヴィットがトイレから戻ってみると、なんと駐車場にあの大型トレーラーがとまっている。
ダイナーの客の中の誰かが、あのトレーラーの運転手…
ダイナーの客たちは、デイヴィッドの自分たちを探るような視線を感じ警戒感をあらわにする。
姿を見せない運転手の唯一の手掛かりは皮のブーツ。 だが、ダイナーには似たようなブーツをはいた男が複数おり、デイヴィッドは疑心暗鬼に陥る。
候補者が一人消え、二人消え、最後に残ったブーツの男…
最後に残った男が犯人と確信したデイヴィッドは男に詰め寄り「なあ、もうやめてくれないか…」男は「何のことだ?」
二人がもみ合いになっている最中、件の大型トレーラーはエンジンをふかし駐車場から去っていく…
このシーンは息が詰まるような緊張感があり、デイヴィッドの緊張感と恐怖、焦燥感を共有することができます。
トレーラーの執拗な追跡と暴力行為は徐々にエスカレートしていく。
序盤は単なる嫌がらせと捉えていたデイヴィッドは、相手が本気で自分を殺そうとしていることを悟る。
「奴は本気で俺を殺す気だ…!」
もう逃げる事を辞め、トレーラーと真っ向勝負をすることを決めたデイヴィッド。
デイヴィッドはトレーラーとの決闘を決意し、崖へと続く丘へトレーラーを誘い出す。
正面激突させると見せかけ、直前で車から飛び降りるデイヴィッド。
トレーラーはデイヴィッドの車を巻き込みながら、崖へと転落していく。
トレーラーが落下しながら放つ機械音は、化け物の断末魔の叫びにも聞こえます。
戦いに勝利したデイヴィッドは束の間勝利の感慨に浸るものの、その場に呆然と座り込む。
無益な戦いに身を投じる事となった自らの不運とむなしさが滲みでています。
最後までトレーラーの運転手が顔を見せる事は無く、トレーラーそのものが意思を持った化け物のように見えてくるのです。
当時25歳、まだ無名時代のスティーブン・スピルバーグが監督、演出した作品であり、この作品をきっかけにその名が広く映画界に知れ渡ることになったそうです。最初から最後まで緊張感が途切れない演出は、さすが天才!と感服してしまいます。
単純なストーリーながら、最小限の演出で見る者の恐怖心を最大限まで引き出す手法を熟知していますね。
デイヴィッドの吹き替えを担当したのはあの「積み木くずし」で有名な俳優、穂積隆信なのですね。
同じく煽り運転をテーマにしている作品で2020年公開ラッセル・クロウ主演の「アオラレ」より、犯人の顔が見えないこの「激突!」の方が恐怖は2割3割増しといえます。
この映画を見終わった後、ラッセル・クロウが予告編の最後に放った日本のファンに向けたメッセージ「アオッテンジャ、ネエ!」を思い出してしまいました。
今日も無事に家に帰って午後ローを見れていることに感謝😌です。
総合評価☆☆☆☆☆
ストーリー★★★★★
流し見許容度★
午後ロー親和性★★★★★
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画像引用元
洋画専門チャンネル ザ・シネマ
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