午後ローアカデミー賞2024

今回も2024年に放送された午後ローの中から勝手に賞を授けてゆきたいと思います。

最優秀作品賞
「ワールド・オブ・ライズ」

3月27日放送
公開 2008年
監督 リドリー・スコット
公開当時 レオナルド・ディカプリオ(34歳) ラッセル・クロウ(44歳)

CIA対イスラム過激派テロリストの映画は数多く制作されていますが、本作は単純な善悪の構造ではなく互いの文化と思想の違いから起こる悲劇を重厚かつ繊細な人間ドラマで描いています。
意外にもレオナルド・ディカプリオ主演の作品の中で本作はさほど評価が高く無いようです。

CIA対テロリスト作品は数多く制作されていますがアメリカ礼賛要素が濃く、ストーリーも複雑で感情移入しにくいものが多い印象ですが、本作は人間ドラマが繊細に描かれフェリスの苦悩と葛藤を共感する事ができます。
見た後に余韻と切なさが残り、リドリー・スコットの手腕が光る名作です。

最優秀動物パニック賞
「カニング・キラー 殺戮の沼」

10月21日放送
公開 2008年
監督 マイケル・ケイトルマン
公開当時 ドミニク・パーセル(38歳)

動物パニック映画において冒頭に「これは実話に基づいた物語である…」とテロップが出る場合、99%以上の確率で駄作な事が多いのです。
ワニは水陸両用型の猛獣という点でサメよりタチが悪く、生ける恐竜とも言える迫力あるビジュアルにも関わらず、さほど恐怖を感じないのは何故でしょうか。
件の「グスタヴ」は映画の中盤まで姿を見せず、登場人物らは村で祈祷師の占いを受けたり、子供たちと交流したりと、尺稼ぎともいえる無駄なシーンが多く、見る者の緊張感を萎えさせる展開です。
期待を1ミリも裏切らないグダグダっぷりでした。

最優秀真夏のホラー賞
「ゴースト・シップ」

6月12日放送
公開  2002年
監督  スティーブ・ベック
公開当時 ジュリアナ・マルグリーズ(36歳) ガブリエル・バーン(52歳) エミリー・ブラウニング(14歳)

少人数の限られた空間でのパニックホラーという点から、富士急ハイランドの人気アトラクション「戦慄病棟」のようなワクワク感があり、幽霊船が舞台のせいか不思議な夏休み感があります。
グロ描写に皮膚感覚に訴えてくるような生々しさがあり、ホラーの中にエロ要素とコメディ要素が程よく盛り込まれ、エンターテイメント作品としてはそこそこ合格点ではないでしょうか。
真夏に冷房の効いた部屋でまったりと流し見るには最高の作品です。

最優秀イカれたおやじ賞
「ダーク・ダイド」より実業家ブレイディ

8月28日放送
公開 2013年
監督 ジョン・ストックウェル
公開当時 ハル・ベリー(47歳) オリヴィエ・マルティネス(47歳)

海洋生物学者のケイトは同僚がサメに殺されたことをきっかけに仕事から遠ざかっていたが、元夫ジェフから、スリルを求めてサメと泳ぎたいという大富豪と同行する仕事を持ち掛けられる…

息子ルークと共にケイトの元を訪れた大富豪のブレイディは
「親子でサメと泳ぎたいんだ」
ケージを出てサメと泳ぐことを条件に、ケイトに10万ユーロの報酬を提示してくる。
「サメと泳ぐのは私の究極の目標でね。勇気を証明できる」
なぜかサメと泳ぐことに異常にこだわるおっさん。
海洋生物最凶の殺し屋、サメをナメきっていた結果、残念な結末を迎えます。
午後ローには様々なジャンルのイカれオヤジが登場しますが、間違いなく彼はこの賞を受賞するにふさわしいと言えるでしょう。

最優秀吹き替え賞
「刑事ジョー ママにお手上げ」よりジョー役 羽佐間道夫

6月4日放送
公開 1992年
監督 ロジャー・スポティスウィッド
公開当時 シルベスター・スタローン(46歳)


本作の日本でのキャッチコピーは「スタローンが“スタちゃん”になった」というもので、当時アクションのみならず「ツインズ」や「キンダガートン・コップ」でも大ヒットを飛ばしたライバルのシュワルツェネッガーこと「シュワちゃん」を意識して製作されたものだそうです。

全編に渡ってコメディ仕立てであるにも関わらず、スタローンにはあまりコメディの素養が無いのか、ことごとくスベり倒しています。
羽佐間道夫の軽妙な吹き替えがスタローンの無骨で鈍くさい部分を補っており、何とかコメディとしての体裁を保っていたといえます。
これがいつもスタローンの吹き替えをしているささきいさおだったら、と思うと恐ろしくなります。

最優秀流し見許容賞
「コナン・ザ・グレート」

11月25日
公開 1982年
監督 ジョン・ミリアス
公開当時 アーノルド・シュワルツェネッガー(35歳)


基本的にシュワルツェネッガー演じるコナンが「戦う」「焚火の前で肉を食う」「美女と寝る」をランダムに繰り返すだけの展開で、彼の肉体美をひたすら鑑賞する作品であり、ストーリーなどは添え物に過ぎません。
本編は129分と長尺でさほど起伏は無く、シュワルツェネッガーの熱狂的なファン以外は退屈な展開と言えるかもしれません。
令和の現在、地上波で40年前の若きシュワルツェネッガーを見れるのは午後ローだけといっても過言ではありません。

最優秀午後ロー親和賞
「戦慄の誘惑」

4月24日放送
公開 2015年
監督 ロブ・コーエン
公開当時 ジェニファー・ロペス(46歳) ライアン・グスマン(28歳)

美熟女が若い男に誘惑され不倫関係に陥るも、最終的に夫と寄りを戻すというストーリー展開はレディース・コミックスを彷彿とさせます。
ジェニファー・ロペス演じるクレアは高校の古典文学の教師なのですが、常にピッチピチのボディコン服にセクシーな無造作ヘアでまるで教師には見えません。
お色気シーン、不良少年グループの学校のロッカー前でのイジりやダンスパーティーなど「午後ローあるある」がぎっしりと詰め込まれており、私のような午後ローファンに安心感と幸福感を与えてくれる午後ロー偏差値80以上の映画です。

以上勝手に賞を授けてしまいました。
2025年も大好きな午後ローをまったりと流し見てゆきたいと思います。