ディープ・ブルー

2024年7月31日

午後ロー7月14日放送

公開 1999年
監督 レニー・ハーリン
公開当時 トーマス・ジェーン(30歳) LL・クール・J(31歳) サミュエル・L・ジャクソン(51歳)


海上に建造された海洋医学研究所では、凶暴なサメの脳組織から新薬を製造する研究が進められていた。
しかし、研究の過程で高度な知能を手に入れたサメは殺戮マシーンとなり人間を襲う…

CG丸出しのまったく恐怖を感じないサメと、「研究所」「実験」「美人すぎる博士」「ワイルド系主人公」などの動物パニック映画の要素の組み合わせを変えただけの代わり映えのしない内容です。

見終わった後、改めて1975年「ジョーズ」が凄まじい名作だったことを感じずにはいられません。
スピルバーグの「ジョーズ」は体長7メートルの機械仕掛けのサメの製作して撮影したそうですが、実に生々しく絶望感を感じるほどの恐怖があり、これほど映像技術が発達した現在でもサメ映画はこの「ジョーズ」の足元にも及んでいないのです。

LL・クール・Jやサミュエル・L・ジャクソンなどの個性派キャストが出演しているものの、内容は予想の範疇をほぼ逸脱しない展開です。
人食いサメの恐怖と研究所からの脱出要素を合わせた海洋パニックサスペンスなのですが、脱出サバイバルとサメの恐怖と同時に描かなければならないためか、人間ドラマが希薄で既視感満載です。 

「俺たちは、人間並みの知能を持つ地球最古の殺し屋に狙われているってわけか…」

ステラン・スカルスガルド演じる研究員のジムはサメに片腕を食いちぎられ、大出血しながらヘリで吊られ振り回されたあげく海に落ち、担架に括り付けられた状態のままでサメに咥えられ全力で研究所の窓に叩きつけられるというあまりにもひどい扱いをうけます。
ハリウッドの名バイプレーヤーで個性派俳優の彼にこんな役回りをさせるとは、監督は彼に何か恨みでもあったのでしょうか。

「自然界は残酷だが、人間の残酷さには及ばない…」
サミュエル・L・ジャクソン演じるラッセルが大演説をしている途中に後ろからサメに襲われるなど、ネタともとれる演出が数多くあり、笑っていいものなのか見る者を困惑させます。
少なくとも私は、この2つのシーンで苦笑いをしてしまいました。

結局サメは人間の支配から逃れたいがため凶暴化していたという事で、「サメより恐ろしいのは人間」という実につまらないオチを迎えます。

本作は公開当時映画館に見に行きましたが、予想を超えるつまらなさで友人を映画に誘ってしまった私は上映中生きた心地がしませんでした。
私が20代の頃の90年代はまだまだサメ人気が高かったのか、夏休みの映画のラインナップには必ずサメ映画が入っていたものです。

近年のサメ映画は本作や「MEG・ザ・モンスター」のような真正面からサメの恐怖を描いた「ジョーズ後発品系」と、「オープン・ウォーター」のような低予算でありながらアイデア勝負の「シチュエーション系」、「シャークネード」のような思い切りおふざけ路線に舵を切った「おバカ系」の3種類に分類されると思います。

スピルバーグの「ジョーズ」という偉大なテンプレートがあるおかげで、今やおバカ系作品はサメがツイッターで殺人予告をする「ロボシャークvsネイビーシールズ」や殺人サンタクロースに憑りつかれた「サンタジョーズ」、エロに振り切った「床ジョーズ」など何でもありの大喜利状態と言えます。

今となっては本作のようにサメ映画を真正面から製作するのは最初から負け戦で、奇抜なアイデアやコメディ要素を足さなければヒットは難しいでしょうね。

今日も無事に家に帰って午後ローを見れていることに感謝😌です。

総合評価☆☆☆☆☆
ストーリー★
流し見許容度★★★
午後ロー親和性★★★★★