ストーカー
午後のロードショー大好きなパート主婦です。
今回は10月4日放送ストーカーの感想です。
公開 2002年
監督 マーク・ロマネク
公開当時 ロビン・ウィリアムズ(51歳)
原題 「One Hour Photo」
この映画は何度か見ていますが、いつも見た後2日間ほど落ち込んでしまいます。
孤独な中年男の心の闇を描いた作品で、見るのが辛くなるほど寂しく救いの無い内容です。
邦題の「ストーカー」からスリル溢れるサイコサスペンスを想像してしまいますが、「ストーカー」要素はほとんど無く、ひたすらサイという男の孤独さゆえの妄執を見せられる展開です。
大型スーパー内にある写真現像ショップで働く真面目だが孤独な男サイ。
彼には常連客ヨーキン家の写真をこっそり焼き増しし、自分の部屋の一面に飾り、自身が家族の一員になる妄想をする趣味があった…
「どんなバカでも、2日間研修を受ければできる仕事」とサイ自身が語るように、さほど特殊技能は必要とせず、言ってしまえば誰でもできる仕事なのです。
そんな中、わずかな色彩のブレにこだわり、職人の矜持を保とうとするサイを上司はあざ笑う。
サイは現像ショップの常連、ニーナとその息子ジェイクに特別な感情を持つようになる。
ニーナは何年にも渡りサイが働く現像ショップを利用しており、彼らの写真を見続けるサイは、いつの間にかヨーキン一家に対する憧れが芽生え、家族の一員になりたいと妄想するようになる。
「赤ちゃんの時から見ているからね。もう叔父さんみたいな気持ちだよ」
単なる現像ショップの店員なのに、プライベートな事にまでグイグイ足を踏み入れてくるおっさん…
ニーナは優しい女性なのでしょうが「困ったな~」という感じでしょうね。
次第に現実と妄想の境界線があいまいになり、サイはヨーキン家を車で訪れたり、ジェイクにプレゼントをし始め、家族との距離を縮めようとする。
最初は美しいニーナに対する性的な欲望からかと思いましたが、サイにはまったくそんな気持ちは無く、ひたすら彼らと家族になりたい、受け入れられたいという一心なのです。
そのことがなおさら彼を哀れに見せています。
ニーナの夫、ウィルの浮気を知ったサイは、絶望し半狂乱になる。
理想の家族の偶像を破壊された、ということでしょうか。
サイはナイフを手にウィルと浮気相手を襲うのですが、気の小ささゆえか彼らを傷つける事は無く、何故かホテルの部屋の写真を撮るだけで撤収するのです。
警察に逮捕されたサイは取り調べの中で、幼少期に実の親から性的虐待を受けていたことをほのめかす。
サイが健全な人間関係を構築できないのは、幼少期のトラウマからでしょうか。
担当刑事の「なんだか、わかったような気がするよ…」
彼の人間味ある態度がわずかな救いでした。
サイは事件を起こしたものの、おそらくはすぐに釈放され、彼の人生はこれからも続くのです。
なんという孤独…
彼の残された人生を考えると胸が痛みます。
写真がフィルムだった頃、私もあたりまえのように現像に出していましたが、今考えると危険な事ですね。
家族構成や部屋の中まで、個人情報がまるわかりになってしまうのです。
コンプライアンス重視の現在では慎重になってしまいます。
ロビン・ウィリアムズは64歳でこの世を去っていますが、晩年はうつ病やアルコール依存症を患っていたそうです。
自ら命を絶ったとも報じられていますね。
インタビューなどでは常にハイテンションで不必要なほどはしゃいでいる姿を何度か目にしたことがありますが、ふとした時に見せる陰りのある表情が印象に残っています。
芸達者で「ミセス・ダウト」や「ナイト・ミュージアム」のようなコメディ作品に多く出演している印象がありますが、明るい姿より今作のほうが彼の素に近いのではないでしょうか。
この映画はどんな客層に向けて制作された作品なのでしょうか。
これほど後味が悪く、見た後落ち込む映画はそうありません。
見終わった後、サイに自分自身を重ね落ち込んでしまうのです。
エンターテイメントとして果たしてどうなのか、とも思ってしまいます。
最後にほんの少しでも、救いを残して欲しかったものです。
今日も無事に家に帰って午後ローを見れていることに感謝😌です。
総合評価☆☆☆☆☆
ストーリー★
流し見許容度★★★
午後ロー親和性★★★★★
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