ウォーターワールド

午後ロー6月26日放送

公開 1995年
監督 ケヴィン・レイノルズ
公開当時 ケビン・コスナー(40歳) デニス・ホッパー(59歳)

もはや映画本編よりも、USJの人気アトラクション「ウォーターワールド」を見ている人の方が多いのではないでしょうか。
私もUSJで一度鑑賞しましたが、敵役のディーコン以外は映画の要素は掻き消えており、ショー自体は派手な仕掛けと水かけ合戦だったのを覚えています。
ショーの内容にも反映されているように、主役のケビン・コスナーの存在感は薄く、全編通してひたすら「海ではしゃぐおじさん」を見せられている感があります。

濡れてワカメのように頭皮にべったりと張り付いた寂しい頭髪、40歳にしては緩んだボディラインで、主役のオーラはみじんも無く冒頭の登場シーンから視聴する気力が萎えてしまいます。

環境破壊の末、海面は上昇し地球の陸地は海に沈む。
アトールと呼ばれる人工都市に身を寄せ合って住む人類は、伝説の陸地「ドライランド」を見つけ出す事を夢見ていた…

ネットなどの感想で本作は「海洋版マッドマックス」の声が多いようですが、舞台が常夏感満載の海のせいか荒廃感と悲壮感が無く、戦いながらも皆どこか楽しそうで緊張感に欠ける展開です。

彼らが奪い合っているのは宝石や金貨などでは無く、飲料水やミニトマトの苗など壮大な設定の割には実にみみっちいのです。

マリナーは半魚人のミューータントという設定なのですが、人間との違いは「耳の裏のエラ」や「足の指の間の水かき」など細かく、まさに言われないとわからないレベルなのです。

マリナーは旅を共にすることになったヘレンに暴力を振るったり、泳げないエノーラを海に投げ落としたりと中々のクズっぷりを見せています。
エノーラが船内で見つけたクレヨンでお絵描きしていると「俺の物に触るな!」と怒鳴ってみたり、貴重品のミニトマトの苗を抱えて一人で食べたりと実に大人げなく、主役としての魅力はゼロでヒーロー感はみじんもありません。

本作で唯一キャラが立って魅力があるのはやはり敵役のディーコンです。
ならず者集団「スモーカーズ」の首領でありながらなんだかんだで子供には優しく憎めないオヤジで、マリナーよりよほど人間が出来ているといえます。

「マリナーは300メートル離れた場所の音も聞き取れるし、何時間も潜っていられるし、風のように素早く動ける…」
驚くべきことにマリナーのミューータントとしてのスペックはエノーラによって映画の最終版に突然語られ、見る方としては「へぇ…」と言うしかありません。

エノーラの背中の地図に従い旅を続けたマリナーらは、ついにドライランドを探し当てる。
が、マリナーは陸地に馴染めないことを悟り、ヘレンとエノーラに別れを告げ、再び海へと戻る…

マリナーの他にミューータントは一人も登場せず、ミューータント族の素性などは一切語られません。
ヘレンとエノーラも「本当の親子じゃない」そうで、二人がどういういきさつで親子のような関係になたのかも曖昧なのです。

マリナーがアトールに上陸した時、女性から性行為の打診あったにもかかわらず、彼はあっさりと断るのです。
「8年も一人旅をしていたのに、女を欲しがらないなんて…」島の者は首をかしげるのですが、その他にも全裸のヘレンを見てもなんら反応を示さないなど、マリナーはゲイという設定なのか、それともそもそもミューータントは人間の女とは交わらないのか、彼のセクシャリティに関しても謎のまま終わるのです。

巨額の製作費をかけたアトールのセットや水上バイクのデザインなどは斬新で、背景のみがUSJのアトラクションに起用されたのも納得です。

90年代は「ロビンフッド」「ボディガード」などケビン・コスナーのキャリアの黄金期ですね。
中盤からのグダグダの展開やCG丸出しのチープな映像、ケビン・コスナーのキレの無いアクションなど、136分見せるにはかったるい内容で当時のケビン・コスナーのスター性だけで押し切った作品と言えます。

本作は巨額な製作費をかけた割には大コケした映画としても有名ですが、USJのアトラクションとして数十年に渡ってロングランしているので、ユニバーサルピクチャーズは充分に元を取っているのではないでしょうか。 

今日も無事に家に帰って午後ローを見れていることに感謝😌です。

総合評価☆☆☆☆☆
ストーリー★
流し見許容度★★★★
午後ロー親和性★★★★★