薔薇の素顔
午後のロードショー大好きなパート主婦です。
今回は午後ロー11月10日放送薔薇の素顔の感想です。
(ネタバレ有です! ご注意ください)
公開 1994年
監督 リチャード・ラッシュ
公開当時 ブルース・ウィリス(39歳) ジェーン・マーチ(21歳)
午後ローで初めて鑑賞しましたが、良い意味で予想を裏切るサイコサスペンスでした。
カオスでエキセントリックな世界観とフランス映画のような詩的な要素もあり、先が読めず最後まで緊張感が途切れない展開です。
公開当時、主演のブルース・ウィリスとジェーン・マーチの濃厚なラブシーンが話題となったのを覚えています。
ジェーン・マーチはセクシーロリータ系の当時大人気の女優で、1992年「愛人/ラマン」に続く「美少女×おっさん」の第二弾作品とも言え いやが上にも見る者の期待を煽る作品だったと言えます。
トラウマを抱えた精神分析医キャパは、心の傷を癒すため同業で友人のボブを訪ねロサンゼルスに赴く。
ボブは数日後惨殺されるが、トムは犯人は彼の担当する5人の患者の内にいると確信する。
そんな中、キャパは偶然出会った美女ローズに心を奪われる…
精神分析医のビルは、かつて受け持っていた自殺願望の強い患者が目の前で飛び降り自殺を遂げて以来、そのトラウマに悩まされていた。
彼はそれ以来、赤い血の色に拒絶反応を示す「心因性色盲」となった。
ビルは死んだ友人の精神分析医の代わりに、5人の患者に対する集団セラピーを受け持つことになる。
セックス依存症のソンドラ、潔癖症の弁護士クラーク、被害妄想を持つ画家ケイシー、トラウマを持つ刑事バック、対人恐怖症の少年リッチー。
この5人のクセの強さと言ったら…
この「5人」の何とも言えないシュールさがストーリーに効いています。
彼らはセラピーの間も、互いを罵ったり、泣きわめいたりと「狂人パーティー」のような地獄っぷりなのです。
彼らの会話はまったく噛み合わず、カオスな不条理劇を見ているようです。
アメリカではよくアルコール依存症などのグループセラピーが行われている印象がありますが、これは本当に治療に効果があるのでしょうか。
同じ悩みを持つ者同士、本心を打ち明け合って心を開放する意図があるようなのですが、少なくとも彼らを見る限り、好き勝手に騒いでるだけで他人の話など聞いていないのです。
キャパは思わぬきっかけで謎めいた美女ローズと出会い心を奪われる。
二人はすぐに愛し合うようになる。
ローズは決して自らの連絡先を教えようとはしなかった…
ローズの華奢で妖精のような儚げな佇まいには目を奪われてしまいます。
ジェーン・マーチの「裸にエプロン」の破壊力たるや…
巷の男性の目を喜ばす「裸エプロン」の発祥は本作だったのでしょうか。
少年リッチーの正体はローズであり、彼女は多重人格者でセラピーの仲間全員と関係を持っていた。
数々の殺人事件はローズの兄デイルであり、妹を変質的に愛するあまり、彼女と関係を持つ人間に嫉妬したゆえの犯行だった。
私は映画の終盤まで少年リッチーの正体がローズであることに気付かず「やられた~!」となってしまいました。
驚くべきジェーン・マーチの化けっぷり、陰キャ少年から小悪魔的な美少女のあまりにも大きい振り幅に感服してしまいます。
キャパはローズを救った事で心の傷が癒え、色覚が戻り「赤」を認識できるようになる。
ラストの視覚効果も効いていました。
ジェーンマーチの「愛人/ラマン」での鮮烈デビューを思い出します。
男を手玉に取る天性の魔性を持つ美少女のイメージで、当時のセクシーアイコン的な存在でした。
原題は「Collar Of Night」ですが邦題の「薔薇の素顔」に相応しく、大輪の薔薇というより咲きかけのつぼみのような可憐さがあります。
彼女を見る映画と言っても過言ではありません。
濃厚なラブシーンを演じてもなおピュアさが失われないのが彼女の魅力ですね。
彼女はこの演技でラズベリー賞主演女優賞を受賞していますが、これには異議を唱えたくなってしまいます。
ブルース・ウィリスはベタなアクションスターの印象があり、本作の世界観にマッチしていない感があり、彼が演じたがゆえありがちなB級作品へと引き下げられてしまった感があります。
この役を精神分析医らしい理系の神経質そうな俳優が演じていたら、本作はもっと評価されていたかもしれません。
個人的にはジェームズ・スペイダーあたりに演じて欲しかったものです。
本作は121分と長尺で、キャパとローズのラブシーンは午後ローではほとんどカットされています。
R15指定を受けており、近親相姦、同性愛、性的倒錯など、90年代にこれだけのタブーに踏み込んだのは挑戦的だったといえます。
シュールな世界観はデヴィット・リンチ作品を彷彿とさせます。
終盤の展開はありがちだったものの緊張感が途切れず、明るいロサンゼルスの風景と、登場人物たちの不気味さがアンバランスな不協和音を醸しだし、何ともカオスな味わいがあります。
ブルース・ウィリスのキャスティングのみが残念ですが、ありきたりなB級サスペンスとは一線を画す作品ですね。
今日も無事に家に帰って午後ローを見れていることに感謝😌です。
総合評価☆☆☆☆☆
ストーリー★★★★
流し見許容度★★
午後ロー親和性★★★★★
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