コナン・ザ・グレート
公開 1982年
監督 ジョン・ミリアス
公開当時 アーノルド・シュワルツェネッガー(35歳)
アーノルド・シュワルツェネッガーの長編映画デビュー作で、ボディビルの世界大会で7度の優勝を果たすほどの、神々しいまでの肉体美を披露しています。
基本的にシュワルツェネッガー演じるコナンが「戦う」「焚火の前で肉を食う」「美女と寝る」をランダムに繰り返すだけの展開で、彼の肉体美をひたすら鑑賞する作品であり、ストーリーなどは添え物に過ぎません。
全編通してエロ要素満載で、シュワルツェネッガーはこれがデビュー作とは思えないほど濃厚な濡れ場を演じており、莫大な予算をかけたAVを見ているようです。
邪悪な王タルサ・ドゥームに両親を殺害されたコナンは、復讐を果たすべくさすらいの旅に出る…
劇中のセリフで「俺は神に祈らない。何故なら、口下手だからだ」と言わせているように、シュワルツェネッガーは渡米したばかりであまり英語が流暢で無かったようで、中盤までコナンのセリフはほどんどありません。
紙芝居のようにナレーションで物語は進行します。
タルサ王の奴隷となったコナンは、過酷な労役をこなし、強靭な肉体を持つ若者へと成長する。
「赤毛の奴隷商人」に格闘士としての才覚を見いだされ、格闘士として名をあげるコナン。
「コナンは思った。生きようと死のうとそんな事はどうでもいい。群衆が歓声で迎えてくれるとがただ嬉しかった…」
当時のシュワルツェネッガーは矯正前の出っ歯で締まりの無い口元のせいか、どこかボーっとして見え、復讐に燃える男というよりは、「特に何もしたいことが無いので親の仇でも探すか」くらいのテンションに見えるのです。
「赤毛の商人がなぜコナンを逃がしたのかはわからない。彼の境遇に同情したのかもしれない。とはいえコナンは夢にも考えたことの無い自由を手に入れた…」
何故か理由も無く奴隷商人が稼ぎ頭のコナンを解放するなど、脚本の雑さを感じる展開です。
さすらいの旅を続けるコナンは、怪しげな女呪術師に出会う。
「風に乗って声が聞こえたわ。北から強い男が来る…」
呪術師からとある邪教の神殿に、財宝が眠っているという情報を得る。
女豹のようにコナンを誘う呪術師。
「抱いてくれたら教えてあげる」
シュワルツェネッガーはこれがデビュー作とは思えないほど、堂々たる濡れ場を演じており、私生活でリハーサルを重ねていたことが伺えます。
コナンは仲間と共に、神殿に忍び込み財宝を手にする。
「コナンは宝石を売った金で思う存分贅沢を楽しんだ。 だが、贅沢は心のゆるみを誘う最も危険な罠にもなりうる…」
ヒーローといえども所詮は人間、酒と女に溺れ、油断した隙に窃盗罪で捕らえられるという脇の甘さを見せています。
コナンら仲間は、窃盗の罪で町を統治するオズリック王に捕われる。
オズリック王は邪教の王タルサに娘を誘拐されており、コナンらに娘の奪還を依頼してくる。
偶然にも、コナンの両親を殺害したのもタルサ王であった。
随所で美女と絡むヘビの姿が映し出されますが、ヘビというのは何か性的なメタファーなのでしょうか。
王女タルミナを救出しオズリック王の元へ送り届けた後、
「コナンはまた新たな冒険を求めて仲間と旅へ出発した。多くの戦いに勝利し名を挙げたコナンは、民衆に敬われ、やがて王となったのである…」
本作のようなファンタジックな背景を持つヒーローアクション映画は「ヒロイック・ファンタジー」と呼ばれ、「ヘラクレス」や「レッド・ソニア」など、アメリカでは数多くこのジャンルの作品が製作されています。
中流階級以上のアメリカ人はジム足繫く通い肉体を鍛える傾向があり、彼らの「筋肉礼賛」気質が反映されているのでしょうか。
本編は129分と長尺でさほど起伏は無く、シュワルツェネッガーの熱狂的なファン以外は退屈な展開と言えるかもしれません。
彼の体格に見合うスタントマンが見つからなかったため、剣術やアクションを一から習得し、大けがを負いながらもすべて自身でコナンを演じ切ったのだそうです。
彼の演技力については意見が別れるところでしょうが、この肉体の説得力があれば演技力など必要ありませんね。
シュワルツェネッガーは2年後の1984年に「ターミネーター」に出演、スター街道をまっしぐらでその後の成功は周知の事ですね。
令和の現在、地上波で40年前の若きシュワルツェネッガーを見れるのは午後ローだけといっても過言ではありません。
なぜ2024年の現在「コナン・ザ・グレート」なのかは、大人の諸事情があるのでしょうが、これは完全に午後ローからの挑戦状であり、本作と真正面から向き合い咀嚼し消化してこそ、真の午後ロー民と言えるのではないでしょうか。
今日も無事に家に帰って午後ローを見れていることに感謝😌です。
総合評価☆☆☆☆☆
ストーリー★
流し見許容度★★★★★
午後ロー親和性★★★★★
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