ナインスゲート

洋画サスペンス

公開   1999年
監督   ロマン・ポランスキー
公開当時 ジョニー・デップ(31歳) エマニュエル・セニエ(32歳) レナ・オリン(43歳)
上映時間 133分

これといった盛り上がりの無い地味なオカルトサスペンスながら、公開当時31歳のジョニー・デップの恐るべき顔面力で最後まで引っ張る作品です。

悪魔が書いたとされる17世紀の魔術書「ナインスゲート」を巡り、美しいヨーロッパを舞台に、タロットカードの世界観を彷彿とさせる謎解きのロードムービーが展開します。

内容そのものより、ジョニー・デップを始めとする俳優陣の存在感とクセで魅せる作品で、午後ローで放送される度最後まで真剣に見てしまいます。

ディーン・コルソは数百年前の希少な本を探し出し高値で売ることを生業とする「古書探偵」。
古書の世界的コレクターであるバルカンは、世界に3冊しかない希少本「ナインスゲート」をコルソに託し、他の2冊の真贋を確かめるよう依頼する。

コルソは古書鑑定においては一流だが、古書の価値を理解していない素人から火事場泥棒のように希少本を買い叩く事で「その業界」では評判が悪い。

「古書探偵」とは聞き慣れない職業で、まず「古書コレクター」の世界観を理解するのに戸惑ってしまいました。

その理由として、コルソは1億円以上の価値があるとされる希少本「ナインスゲート」を素手でパラパラと雑にめくり、カフェなどで大っぴらに広げその上で平気で飲食し、喫煙するのです。

希少本と言う割には、本作の登場人物は誰一人手袋をはめるでも無く、その辺の雑誌を扱うかの如く乱雑に扱うため、「世界に3冊しかない希少本」の設定に疑念が生じてしまいます。

ヨーロッパの古書コレクターというのは、飲食や喫煙による汚れなどはさして気に留めないのかもしれませんが、とにかくコルソは、「ナインスゲート」を乱雑にコピー機にかけたり、ポテトフライのようなものを食しながらページをめくったりとやりたい放題なのです。

私以外にも、この点に違和感を抱く人は多いのではないでしょうか。

他の2冊を追って、ヨーロッパに飛ぶコルソ。

「ナインスゲート」には9枚の挿し絵があり、3冊それぞれ細かい箇所に相違があった。

スペインの製本屋セニサ兄弟は、コルソに謎解きのヒントを与える。
9枚の版画のうち3枚だけが本物で、本物の挿し絵は3冊の本に分散して隠されていた。

コルソは他2冊の持ち主を訪ねるが、彼らは次々と謎の変死を遂げ、コルソ自身も謎の男に狙われる。

「私はあなたの、守護天使よ…」
行く先々で現れ、コルソを助ける謎の女。

「謎の女」はエマニュエル・セニエが演じており、彼女の内側から燃えるような緑色の眼は、まさにミステリアスでこの世ならざる者の空気を纏っています。
エマニュエル・セニエはロマン・ポランスキーの妻であり、彼女は本作をはじめポランスキー監督の「フランティック」「赤い航路」などにヒロインとして出演しており、まさに彼のミューズと言えます。

テルファー夫人を演じたレナ・オリンも、「蜘蛛女」さながらのワイルドさとセクシーさを見せており、本作にはこの二人の女優の一筋縄ではいかないクセと存在感が効いています。

「ナインスゲート」のパズルを解き明かした者は、悪魔の力を得て不死身の肉体を手に入れる。

「謎の女」は、コルソに9枚目の挿し絵の場所のヒントを残して姿を消す。

9枚の本物の挿し絵を手に入れたコルソは、運命に導かれるまま、悪魔との取引へと突き進む…

悪魔の存在など嘘っぱちのオカルトだとまったく信じていなかったコルソが、次第に「ナインスゲート」の持つ不思議な力に感化されていく。

改めて見直すとコルソは9枚の挿し絵の示す通りのシナリオを巡っており、見終わった後の発見があります。

「謎の女」の正体は悪魔で、コルソは悪魔によって選ばれ、不死身の肉体を得るに値する人間だと判断されたようです。

当時31歳のジョニー・デップの顔面力は凄まじく、思考停止して思わず見とれてしまうほどです。

横顔、斜め、後ろ姿どの角度から見ても美しく、コルソのやさぐれたキャラクターとのミスマッチがさらに魅力を増幅させているように見えます。

1990年代ジョニー・デップは、2003年の「パイレーツ・オブ・カリビアン」で世界的大スターになる前のブレイク前夜の予兆を秘めたクセのある演技派のポジションで、「エド・ウッド」「デッドマン」などのインディーズ系を中心に次々と映画ファンの心に残る名作に主演していました。

超イケメンでありながらカメレオン俳優でもある彼は、作品ごとにまったく違うキャラクターを演じ、本作のやさぐれたメガネ男子のコルソは「今度はこう来たか!」とファンを唸らせたものです。

コルソの飄々として時には情けない所を見せる軽めのキャラが、ヨーロッパを舞台にした重厚で重々しい空気と中和し、ダークコメディの要素も生まれています。

ポランスキー監督の映画からは、漆黒と真紅が交差する色調の世界観を感じます。
「悪魔の本」は本物だった、というオチは都市伝説的で、冒険心と好奇心を掻き立てられます。

消化不良な点はいくつかあるものの、本作にしか出せない味わいがある事は間違いありません。

今日も無事に家に帰って午後ローを見れている事に感謝😌です。

総合評価☆☆☆☆☆
ストーリー  ★★★
流し見許容度 ☆
午後ロー親和性★★★★



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