スノー・ロワイヤル

アクション

公開 2019年
監督 ハンス・ペテル・モランド
公開当時 リーアム・ニーソン(67歳)
上映時間 108分

タランティーノ風味、「ファーゴ」仕立てのグダグダB級アクションです。

「パルプフィクション」のプロデューサーが製作に関わっているそうで、随所にタランティーノを意識したような会話劇やブラックユーモアが挿入されますが、コメディなのかシリアスなのか温度感が掴めないまま最後まで突き進み、視聴者の心に困惑と違和感しか残さない珍妙な映画です。

映画の宣伝文句は「まったく噛み合わない戦いが始まる」というもので、この映画をどう宣伝したものか悩む配給会社の苦悩が伺えるキャッチコピーです。
リーアム・ニーソン主演映画『コールド・パシュート(原題:COLD PURSUIT)』2019年6月公開決定 | THE RIVER
コロラド州の雪深い町で除雪業を営むネルソン・コックスマンは、長年の社会貢献を称えられ、模範市民として表彰される事になった。

スピーチが苦手なコックスマンに妻のグレースは、
「銃殺されるわけじゃ無くて、表彰式よ」
「銃殺なら一瞬で済むのにな…」

コックスマンの一人息子カイルがマフィアの抗争に巻き込まれ死亡する。

希望を失い、一度は自殺を試みるネルズ。
だがカイルの友人からカイルを直接殺害した犯人の情報を聞き出したネルズは、これを襲撃。
背後で命令を下したマフィア組織の元締めへと、復讐をエスカレートさせていく。
Cold Pursuit - by Andy Carr - Film Yap
従来のリーアム・ニーソン主演のアクション映画と違い、本作のネルズは元海兵隊でも特殊部隊出身でも無く、模範市民として表彰されるほどの真面目な一般市民なのです。

復讐のためとはいえ、「その筋の人間」を拳一撃で仕留めたり、躊躇なく銃殺するのは違和感があります。

殺した人間を金網でグルグル巻きにし、渓谷に投げ捨て「こうすると魚の餌になるし、遺体が膨れ上がって浮き上がるのを防げる…」
とても素人とは思えない手際の良さで、彼はこの知識を「犯罪小説で学んだ」と事も無げなのです。

シュールなブラックコメディにもある程度のルールがあり、「実は模範市民として表彰されたネルズには殺人願望があり、密かに殺人のスプラッター映像を見るのが趣味だった…」などのエピソードを挟んだ方が親切だったかもしれません。

私の好きな女優ローラ・ダーンが妻の役で出演していますが、出演料の関係か、夫に愛想を尽かし家を出ていくという体で序盤のみの登場でした。
どこかおかしい 復讐劇『スノーロワイヤル (原題 Cold Pursuit)』の魅力と見どころ。試写会レビュー | uzurea.net
登場人物が無駄に多く、カイルを殺害した麻薬組織「バイキング」の構成員だけでも5~6名、それに敵対する先住民系マフィアも数人、敵方の殺し屋、味方側の殺し屋、元マフィアでネルズの旧友、警察官コンビなど、役名と立ち位置を整理する事が難しい構図になっています。

誰かが死ぬ度に、墓石風の役名と属する宗教のアイコンがテロップのように表示され、「尖った映画」風の演出にこざかしさを感じます。
Tom Bateman Interview: Cold Pursuit
概ね残念な本作ですが、マフィア組織の2代目ボス、バイキングだけはキャラが立っていたと言えます。

息子をネルズに誘拐されたバイキングは、
「子供をさらっておいて何の連絡も無い… 誘拐したなら電話くらいしろ!それが常識ってもんだ!」とブチ切れる。

異常なまでに神経質で小学生の息子ライアンを優秀に育てる事に心血を注ぎ、
「新しい献立だ。チキン、ブロッコリー、アーモンド… 3食同じものを食べさせろ。免疫システムの8割は腸内で行われる…」
親権を争そっている別れた妻に息子の食事管理を徹底するように注文をつける。

元妻アヤはそんな旦那を鼻で笑い、
「小学校のいじめ防止セミナーをすっぽかしたわね」と責め、
「来週の小学校の寄付金集めのパーティの幹事、あなたにしておいたから」
と、最も恐ろしいPTAの役員の重責をサラっと夫に押し付けて去る恐ろしい鬼嫁なのです。

本作の見所があるとすれば、この夫婦のバトルくらいでしょうか。
Cold Pursuit (2019) - IMDb
ネルズに誘拐されたライアンは、意外にもネルズになつき、二人は祖父と孫のように親密な時を過ごす。
ベッドでネルズに本を読んでもらいながら、「ねえ、ストックホルム症候群って知ってる?」

ストックホルム症候群とは言わずもがな、誘拐や監禁された被害者が加害者に対して共感や依存心を抱く心理現象を指しているものですが、わずか7歳そこそこにも関わらずこのワードを出し敵を懐柔しようとするなど、彼は父親をはるかにしのぐ末恐ろしいサイコパスであることは間違いありません。

If Tarantino directed 'Taken,' you'd get 'Cold Pursuit'

終盤は敵と味方が入り乱れ派手に撃ち合い、誰が勝ったのか負けたのか判別がつかないまま、ラストを迎えます。

本作はノルウェー映画「ファイティング・ダディ 怒りの除雪車」のリメイクで、オリジナルは平凡な父親がに息子を殺され、雪山でマフィア相手に壮絶な殺し合いを繰り広げる愚直な復讐譚のようです。

本作を褒める点があるとすれば、御年67歳のリーアム・ニーソンがそこそこアクションをしているという点だけでしょうか。
公開当時、タランティーノが「96時間」を撮ったらこうなる!と噂されていたようですが、これはタランティーノに失礼というものですね。

午後ローで放送される珍妙なB級作品に対する私にとっての最高の賛辞の言葉「何かこれ?」を、本作にも贈りたいと思います。

今日も無事に家に帰って午後ローを見れている事に感謝😌です。

総合評価☆☆☆☆☆
ストーリー  ★
流し見許容度 ★★★
午後ロー親和性★★★★★

 

 

 

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