公開 1993年
監督 マルコ・ブランビヤ
公開当時 シルヴェスター・スタローン(47歳) ウェズリー・スナイプス(31歳) サンドラ・ブロック(29歳)
上映時間 115分
90年代ハリウッド映画らしい派手で大味なSFアクションで、スタローンは脳筋で正義感の強い刑事を通常運転で演じていますが、本作では共演のウェズリー・スナイプスが存在感において完全に主役を喰ってしまっています。
ウェズリー・スナイプス演じるフェニックスは、冷酷非道で悪魔的なカリスマ性があり、深層心理の弱い所を突いて揺さぶりをかけるところなど、バットマンのジョーカーを彷彿とさせます。
90年代に冷凍刑に処された粗暴な刑事と狂気の犯罪者が、2032年の暴力や犯罪ゼロの無菌化された世界で覚醒し、不謹慎上等とばかりに大暴れするシュールな構成です。

1996年ロサンゼルス。
暴力的な任務の遂行方法から「デモリションマン (破壊屋)」の異名を持つ刑事ジョン・スパルタンは、狂気の犯罪者サイモン・フェニックスを逮捕するも、詰めの甘さから人質32名を死亡させてしまう。
スパルタンは責任を問われ、フェニックスと共に70年の「冷凍刑」に処される事に。
市民の安全を守ろうとした結果の業務上過失であるにもかかわらず、凶悪な犯罪者と同等の刑に処されるとはあまりに理不尽ですね。
犯罪者を処刑せず労働力として「再利用」しようという、ある意味合理的な発想ですが、冷凍刑務所の維持管理は税金で賄われており費用もバカにならないでしょうね。

36年後の2032年のロサンゼルス。
犯罪率ゼロ、汚い言葉は禁止、酒、たばこ、肉類など健康に害を及ぼすものを口にすることも禁止、妊娠は許可制、性行為も直接の触れ合いは禁止でバーチャルセックスが推奨されている。
国家上層部の陰謀で仮釈放されたフェニックスは、無菌化された社会で暴力性を解き放ち、羊の群れに放たれだ狼のごとく市民を蹂躙していく。
平和ボケした社会で完全に戦闘能力を失っていた警察は「毒を持って毒を制す」とばかりに、フェニックス対策のため、スパルタン刑事を解凍し任務に就かせる。

女性刑事のバクスリーは、「低俗で暴力的な時代」とされる20世紀のカルチャーに心酔していた。
汚い言葉を取り締まるだけの退屈な日々に辟易し、
「一度くらい事件が起きて欲しくない? 一度思いっきり暴れてみたいわね…」
バクスリー刑事は「スピード」で大ブレイクする前のサンドラ・ブロックが演じており、「こりゃ売れるわ!」と思わず膝を打つほど、ちょっと天然で天真爛漫、ピッチピチでキュートです。
本作は年齢差はあるものの、バクスリーとスパルタンのカルチャーギャップゆえの噛み合わなさを楽しむラブコメの要素もあり、トイレでペーパーが無いことを不思議に思うスパルタンが、
「ペーパーがある場所に貝殻が三つ並んでた。あれはどう使う?」
「20世紀には”あの後の処理”に、大量の紙をつかったのよね… 」
結局最後まで3つの貝殻をどう使うのかは説明されません。
改めて日本発のウォシュレットとは、偉大な発明なのですね。

90年代カルチャーに心酔するバクスリーは、当然スパルタン刑事にシンパシーを抱き、
「あなたを見ていたら催してきちゃったの。もし嫌じゃなかったら、セックスしない?」
当然ながらスパルタンはこのオファーを受け入れ、その後二人は肉体的な接触の無いバーチャルセックスに臨むようなのですが、何故か毎回このシーンは午後ローではカットされています。

2032年の未来が舞台である事から、自動運転や音声のみで作動する家電など、近未来的な描写が数多く描かれています。
さすがにスマホやタブレットのような携帯端末は登場していませんが、リモート会議のシーンなどはかなり先見の明があったと言えるのではないでしょうか。
上層部はスター・ウォーズのような和テイストのコスチューム、反乱軍には「マッドマックス」感があり、90年代に大ヒットした映画の要素をちらほらと取り入れているようです。

「死にぞこないが…! ブッ殺してやるぜ!」
始終ハイテンションで、ジョークを飛ばしながら人を殺すフェニックスの顔から笑みが消える。
スパルタンとの最後の攻防のシーンで初めて見せる無表情な素の顔に、彼の内面にたぎる憎悪と空虚さが滲み出ています。
このシーンでフェニックスは日本の戦国武将の鎧をモチーフにしたようなコスチュームを着用しており、「悪のカリスマ」としての存在感をより引き立てています。
当時ウェズリー・スナイプスはアクションもキレッキレで、フェニックスが市民を蹂躙する様は軽く絶望感を感じるほど恐ろしく、スタローンの存在感が薄れるほどです。

同じアクション映画でも本作のようなイカれたサイコパスや「スナイパー」「ザ・シューター」など、複雑な問題を抱えるキャラクターをはじめ、「ウォーター・ダンス」でのアクション無しの繊細な演技など、彼の俳優としての引き出しの多さを再認識させられます。
彼が醸し出す緊張感が、映画のクオリティを引き上げていると言っても過言ではありません。

冒頭のスタローンが全裸で冷凍刑に処されるシーンで、彼の局部が映りこんでしまっているという都市伝説のような噂があり、私は真偽を確かめるべく腱鞘炎になりそうになるまで巻き戻しボタンを繰り返し操作し調査しましたが、結局確認することはできませんでした。
空虚な時間の後、「氷の微笑」でシャロン・ストーンが脚を組みかえるシーンを何十回も繰り返しスロー再生するおっさんと自分が重なり、何とも言えない情けない気持ちになったのでした。
今日も無事に家に帰って午後ローを見れている事に感謝😌です。
総合評価☆☆☆☆☆
ストーリー★★★
流し見許容度★★★★
午後ロー親和性★★★★★
冷凍している間、犯罪者は暴力性が排除されるよう洗脳され、代りに社会に有益な能力付が付与される。

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