007/私を愛したスパイ

洋画アクション

公開   1977年
監督   ルイス・ギルバート
公開当時 ロジャー・ムーア(50歳)
上映時間 125分

美女に高級車、インパクトのある悪役、毒のあるユーモアと派手な舞台装置など、一般大衆が考える「007らしさ」がすべて詰まっており、シリーズを代表する作品と言えるのではないでしょうか。

現代のアクション映画のスピーディな展開と比べて、様式美にこだわったのか大人の余裕を感じるゆったりとした展開で、スリルという点では物足りない感が否めませんが、1977年製作の作品ゆえ「あの時はこんなんで良かったんだな」とほのぼのしてしまいました。

私が小学生だった時の公開で、テレビでも今年最高の話題作として紹介され日本でも大ヒットし、皆期待に胸を膨らませて映画館に見に行った事を考えると、エンタメに向き合う姿勢が皆純粋だったな感慨深くなります。

海洋資源の独占と世界破滅を企む科学者ストロンバーグの陰謀を阻止するため、ボンドはロシアの女スパイと共闘する。

オープニングクレジットは、機械体操のような躍動的な動きをする裸の女性のシルエットと、銃を構えたボンドが絡むスタイリッシュな映像で、主題歌のカーリー・サイモンが歌う「Nobody Does It Better」はムーディな名曲です。

基本的にアクションシーンは全てスタントマンで、カーチェイスも合成丸出しの「ハメ絵」を使っており、ボンドは汗一つかかない上半身のみの演技です。

トム・クルーズなどと違い、当時の大スターは体を張ったアクションなど一切しなかったのですね。

エジプト、イタリア、バハマなどのリゾート地を転々とするゴージャスな構成です。

「マティーニはステアじゃなくシェイク。ジェームズ・ボンド中佐… 女性の友人多数、幾多の事件で”許可書”を使用、結婚は一度…」
ボンドは離婚経験があったのですね。
ロシアの女スパイ、アニヤは、ボンドの情報を熟知していた。

ボンドとアニヤは、潜水艦追跡システムの設計図が記録されたマイクロフィルムの争奪戦を繰り広げる。
本作のボンドガール、アニヤ・アマソワはKGBの特殊工作員で、成り行きとは言え恋人をボンドに殺されたことを恨み、「この任務が終わったら、あなたを殺すわ」とボンドに警告する。

本作の敵である、大富豪で海洋学者のストロンバーグの研究所はエレベーターの床が抜ける構造になっており、裏切り者は海に落とされサメの餌になる。
「裏切り者は許さない。手厚く水葬に臥してやろう…」

CGを使っていない事を考えると、この研究所のセットだけでも当時としては最先端のテクノロジーを表現している感があり、シリーズでトップクラスの製作費がかかっているのではないでしょうか。

本作で一番の見所は、ストロンバーグの部下で殺し屋の「ジョーズ」です。

1970年公開の大ヒット映画「ジョーズ」からインスパイアされたネーミングと思われます。

身長212cm、怪力で鋼鉄の歯を持ち、シリーズ最強の敵とも謳われる彼なのですが、見た目のインパクトの割にドジっ子で、怪力が常に空回りし自らを窮地に落とし込んでしまうところなど、今改めて見ると殺人マシーンと言うよりはほのぼのとした癒し系殺し屋ですね。

殺し屋である彼の殺害方法は、鋼鉄の歯を駆使した「噛み殺す」という時間と手間を要するものなのですす。

緩慢な動作ゆえかボンドに完全にナメられ、最後は巨大な磁石に鋼鉄の歯をくっつけられた状態で、サメの泳ぐ水槽に落とされるという、あまりにもヒドいあしらわれ方をします。

特筆すべきは、彼はサメの専売特許とも言える「噛む」という攻撃を封じ、自らサメに噛みつき勝利してしまうという、映画史を覆すような偉業を成し遂げるのです。

本作での人気を受けてか、彼はなんと次回作「ムーン・レイカー」にも出演しています。
「ムーン・レイカー」では彼になんと恋人ができ、それによって改心したのかボンドと共闘して悪と戦う展開になります。
本作での悪行は、非モテ男子ゆえのこじらせだったのですね。

本作のクライマックスは、イギリス製の名車、ロータス・エスプリが、海中で潜水艇へトランスフォームするシーンではないでしょうか。

ボンドはヘリコプターからの攻撃をかわすため、隣に座るアニヤに「ところで、君泳げる?」
車ごと桟橋から海へダイブする。

CGの無い時代だったため、原寸大のロータス・エスプリの型を作ってダイバーが中に入って操縦し、ミニチュアとの映像を組み合わせて撮影されたそうです。
イタリアのビーチリゾートに悠然と車で岸に上がり、驚く観衆に魚をポイっ!と投げるのもユーモアがあります。

ちなみにこの撮影で使われたロータス・エスプリは、実業家のイーロン・マスクがオークションで1億円で落札したそうです。

ボンドとアニヤは共闘し、ストロンバーグの原子力研究所を壊滅させる。
脱出用の小型潜水艇に乗り込んだ二人。

「約束の時が来たわね…」
元恋人の仇を討つべく、ボンドに銃を向けるアニヤ。
「最後の望みを叶えてやるのは、死刑囚への情けってもんだろ?」
そのまま抱き合う二人。

ボンドガールとのイチャコラで終わるのは、007シリーズのお約束ですね。

午後ローで「007シリーズ一挙放送」を見て思うのは、映画の内容そのものはさて置き、2代目のボンド、ロジャー・ムーアの作品の主題歌は名曲揃いだという事です。
本作もさることながら、シーナ・イーストンの「For Your Eyes Only」や、デュラン・デュランの 「A View to a Kill」も何度も聴きたくなる名曲ですね。

本作のボンドガールであるアニヤは優秀なKGBの諜報部員で、ボンドとも対等に渡りあっており、それまでのような単なるお色気要員では無く、時代が変わればボンドガールの位置づけも変わるのものだと思わされます。

当時批評家からはロジャー・ムーアのボンドは、ショーン・コネリーのボンドのパロディに過ぎないと酷評されていたそうです。

先代のショーン・コネリーはそれなりの役作りをし、ゴージャスな ボンドを演じていたように見えますが、ロジャー・ムーアはほぼ「素」のままなのではないでしょうか。

実際、劇中のおふざけが過ぎて本家にも関わらず「裸のガンを持つ男」のような007のパロディのように見えてしまうのです。

007シリーズは回を重ねる毎にエンターテイメント性が増し、ストーリーよりも映えにシフトチェンジしていった感がありますが、ロジャー・ムーアは悲壮感皆無で、ド派手で荒唐無稽な背景が良く似合いますね。

男性の憧れの象徴とも言えるクールでデンジャラスなボンドを演じ切ったロジャー・ムーアも、改めて再評価したいものです。

今日も無事に家に帰って午後ローを見れている事に感謝😌です。

総合評価☆☆☆☆☆
ストーリー  ★
流し見許容度 ★★★★★
午後ロー親和性★★★★★









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