リプレイスメント・キラー

2022年11月6日2023年4月26日

午後のロードショー大好きなパート主婦です。
今回は午後ロー１１月１日放送リプレイスメント・キラーの感想です。

公開　１９９８年
監督　アントワーン・フークア
公開当時　チョウ・ユンファ４３歳　ミラ・ソルヴィノ３１歳

チョウ・ユンファの堂々たるスターっぷりは、昭和の大スター石原裕次郎を彷彿とさせます。
今作が彼のハリウッドデビュー作なのですね。
映画のキャッチコピーも「世界一美しい銃撃戦」というだけあって、全編に渡ってビジュアルを意識した不自然なアクション満載です。
チョウ・ユンファのジャケットの裾を翻し、ゆっくり一回転しながらの銃撃はさながら歌舞伎の見栄のようです。
主演俳優をこれほど不自然なまでに美しく撮っている映画は他にないでしょうね。

チョウ・ユンファの代表作「男たちの挽歌」は度々地上波でも放送されていたので何度か流し見したことはあるのですが、ワイルドで硬派な戦う男という印象しかなく、映画にも主演のチョウ・ユンファに魅力を感じたことはありませんでした。
今作では欧米人キャストの中で主演を務めたという事もあり、彼の色気と純粋さを含むワイルドさが際立っていると思うのです。
何故か欧米人キャストの中の東洋人キャストは、セクシーで魅力的見えてしまうのです。

序盤のチャイニーズマフィアと警察との対立構造はジョン・ローン主演の「イヤー・オブ・ザドラゴン」を彷彿とさせます。

凄腕の殺し屋ジョン・リーは、マフィアのボス、ウェイから仕事を依頼される。
殺しの標的がまだ幼い子供だった事から、ジョンは引き金を引くことができなかった…
殺しの依頼に背いたジョンは、ウェイから裏切り者として追われる身になる。

国外逃亡を図るジョンは、偽造パスポートを作るため、書類偽造屋のメグ・コバーンの元を訪れる。

「私、すっごく鈍いの。はっきり言ってくれないと分からないわ」
ジョンはパスポートの偽造を依頼する。
「“偽造”って言ったわね。これで共犯よ」
パスポート用の写真を撮るのに「はい、“高飛び！”」でカシャッ…
このジョンとメグの初対面の件は私の大好きなシーンです。
寡黙な殺し屋ジョンと、がらっぱちなヤンキーお姉さんメグのコンビは良いコントラストが出ていると言えますね。

ウェイの差し向けた刺客が、メグの事務所を襲う。
ジョンとメイは、図らずも共に逃亡する事になる…

最初は反発し合いながらも、互いを理解し共闘することになる二人。

ジョンは中国に妻子がおり、メグと行動をともにしながらも一線を越える事はないのです。
男女の関係になりそうでならない、絶妙な距離感を保っているのは好感が持てます

同じアクション映画でもセガールの場合はちょいちょい、一線を越えてしまうのですが…

ジョンはメグの協力で、ウェイのアジトを襲撃しマフィアを全滅させる。

殺し屋役でダニートレホが出演しています。彼の顔面の圧はすさまじいですね。

ジョンのために偽造パスポートを作ったメグは「なんだか複雑な気持ちよ。行かせたくない人のためにパスポートを作るなんて」
「感謝してる」ジョンはメグに礼を言い、二人は空港で静かに別れる…
最後のジョンを見送るメグのまなざしが印象的です。

チョウ・ユンファは東洋人ながら１８５センチの長身、１７８センチのミラ・ソルヴィノと並んでも少しも見劣りしませんね。
彼の背後にある香港映画の世界と、ハリウッド映画の世界観がうまく融合し、映画に独特な雰囲気を出していると言えます。
包容力と大人の男の余裕を感じさせる笑顔がたまりませんね。
彼はちまたで良く劇団ひとりに似ていると言われていますが、映画の合間に劇団ひとりがガス給湯器のCMに出演しておりやっぱり似てるな～と思ってしまいました。

ミラ・ソルヴィノはがらっぱちだけど根は優しい、ヤンキー姉さんをセクシーで魅力的に演じていました。
吹き替えを担当した元宝塚トップスター涼風真世さんの吹き替えも、メグのキャラクターにぴったりですね。
チョウ・ユンファが劇団ひとりなら、彼女は仲里依紗のイメージがあります。YouTubeなどから見て取れる仲里依紗の素のキャラクターも、今作のメグと重なる部分があります。