ブラザーズ・グリム

2022年3月15日2023年4月23日

午後のロードショー大好きなパート主婦です。
今回は３月１２日テレ東深夜サタ☆シネで放送されたブラザーズ・グリムの感想です。

公開　　　　２００５年
監督　　　　テリー・ギリアム
公開当時　　マット・デイモン３４歳　ヒース・レジャー２６歳　モニカ・ベルッチ４０歳

グリム童話というのはなぜ実写化されるとつまらなくなってしまうのでしょうか。
私は今までグリム童話の実写化で面白い作品というものを見たことがないのです。

旅をしながら魔物退治と偽り村人から多額の報酬を得ていたペテン師まがいのグリム兄弟が、ある時本物の魔女と対決する羽目になる様を描く…というストーリーです。

白雪姫や赤ずきんで有名なグリム兄弟が、旅をしながら将来自分たちが書く童話の題材と次々に出会うといったストーリーは、聞いただけで心躍らずにはいられないのですが、冒頭の２０分で早くも期待外れ感がありました。
ダークホラーファンタジーにコメディ要素を足したような作りなのですが、見る者の集中力を途切れさせる散漫なストーリー展開と言えるかもしれません。

以前見た「Ⅾrパルナサスの鏡」に雰囲気が似ているなと思ったのですが、偶然にも同じテリー・ギリアム監督でした。
テリー・ギリアム監督作品を調べたところ、そのほとんどを見ていることに自分でも驚きました。
「１２モンキーズ」「ラスベガスをやっつけろ」などエッジの効いた映画で奇才の名を持つ彼なのですが、やはりグリム童話は手強かったのでしょうか。

なぜこんなにも彼の作品を見ているのだろうと不思議だったのですが、思い出したのはいずれの作品も予告編が実に良くできているのです。
今作をはじめ「Ⅾrパルナサスの鏡」「バロン」も実際に本編を見てがっかりしたのを覚えています。

公開当時この映画はそこそこヒットしたようなのですが、私と同じように予告編に騙された人が多かったのではないでしょうか。

ヒース・レジャー　マットデイモン　モニカ・ベルッチ　ジョナサン・ブライスと登場人物は実に豪華ですが、残念ながら演技派の無駄使いといった感じですね。衣装や小道具、VFXもそこそこお金がかかっていると思うのですが、役者の出演料に製作費の大半が使われてしまったのでしょうか。

魔物や魔女が普通に存在する世界観というものがいまひとつ確立されておらず、現実とファンタジーの境界線のあいまいさが否めません。

旅の随所で「ヘンゼルとグレーテル」や「赤ずきん」、「塔の上のラプンツェル」などの要素が出てくるのは面白い演出と言えますが、ストーリーに関係なく突然出てくる感じがあり、もう少し本編とシンクロさせた方が良かったかもしれません。
ラストの「そしてみんな幸せに暮らしましたとさ…」が画面に大文字で現れるシーンには脱力してしまいました。
インパクトがあったのは井戸の中から現れる泥のモンスターくらいですね。あとはどこかで見たような新鮮味の無いキャラクターと言っても良いと思います。

鏡の女王を演じたモニカ・ベルッチは吸い込まれそうなほど美しいですね。「イタリアの宝石」と呼ばれるのもわかります。
５０代になった今も良い感じに年齢を重ねていますね。
グリム童話は美や若さに対する執着など、ダークな要素が作品の裏テーマになっていて、作り手の創作意欲をそそるのでしょうね。
料理に例えると、食材のひとつひとつが多彩かつ完成され過ぎていて、料理人の手に余るといった感じでしょうか。
グリム童話は変に脚色するよりディズニーのようにストレートに描くのが正解なのでしょうね。