公開 1963年
監督 テレンス・ヤング
公開当時 ショーン・コネリー(33歳)
上映時間 105分
007シリーズはストーリーよりも、豪華な舞台装置、音楽、美女、高級車など洗練されたスタイリッシュさで魅せる作品と言えますが、第一作目の本作は1963年の作品ながら「007」のテンプレートがしっかりと出来上がっている事に驚いてしまいました。
主演のショーン・コネリーは長身に優雅な身のこなし、英国紳士の気品とワイルドさを合わせ持ち、まさにフェロモンの塊とも言えるほどのセクシーさで、今見ても「こりゃ売れるわ!」と思わせるほどの凄まじい魅力があります。

MI6局員がジャマイカで消息不明となり、ジェームズ・ボンドは調査員として現地に派遣される。
1963年の作品ゆえか、合成丸出しの背景やユルいアクションなどツッコミどころは満載ですが、オープニングのポップで幾何学的な映像など、当時としてはかなり斬新だったのではないでしょうか。

諜報員ジェームズ・ボンドは局長「M」の呼び出しを受け、MI6本部へ出向く。
「あたしをデートに誘ってくれたこと無いじゃない? どうせ私は好みじゃないんでしょ?」
「とんでもない。うっかり政府の所有物に手を出したりしたら、軍法会議にかけられちまう…」
のっけからゴージャスな大人の会話。
一作目から「目の前の女はとりあえず口説く」というボンドのスタイルが確立されています。
MI6の局長Mや秘書のミス・マネーペニー、メカニック担当のQなど、お馴染みのキャラクターは一作目から登場していたのですね。

ボンドは調査のため、ジャマイカのキングストンへ赴く。
私が物心着いてから記憶している限り、007は冒頭から派手なアクションやカーチェイス繰り広げるイメージですが、本作のボンドは足を使って実直に聞き込み調査を重ね、事件の核心に近づく手法を取っており、真面目な刑事か探偵のようです。
メカニックや格闘スキルに頼らず、抜群のコミュ力と男性としての魅力を駆使した人間力をフルに活用しています。

月面ロケット発射を妨害する電波を発信原は、ドクター・ノオの所有する島、クラブ・キーだった。
吹き替え版でクラブ・キーを「蟹ヶ島」と訳すのも60年代らしいですね。
ドクター・ノオはボンドを抹殺するため、次々と刺客を送り込むも尽く失敗。
業を煮やしたドクター・ノオは、
「次はこれを使え…」
殺し屋の手に委ねられたのは、恐ろしい毒蜘蛛タランチュラだった。
ボンドの寝室に放たれたタランチュラ。
ボンドは一瞬ひるむも、自らの眼前まで這い上がって来たタランチュラを振り落とし、スリッパで「バシッ!バシッ!バシッ!」とスリーアタックで仕留める。
暗殺に毒蜘蛛を使うとは悠長さとまどろっこしさを感じますが、昔の作品ゆえ様式美を重んじたのでしょう。
それにしてもイイ男というのは、虫を叩く姿も美しいのですね。

ドクター・ノオと対決するため、ボンドは蟹ヶ島へ乗り込む。
謎のベールに包まれた巨大な敵と対峙するため敵の本拠地に乗り込むという展開は、1978年「ルパンVS複製人間」の構成に似ています。
本作のボンドはお茶目で飄々とした面と、敵方のスパイの女とちゃっかり関係を持っておきながら体よく利用し警察に売り渡したり、必要とあらば躊躇なく敵を処刑する冷徹な面を合わせ持ち、テレビ版ファーストシリーズの「ルパン三世」を彷彿とさせます。
実際「ルパン三世」も本作の影響を受けているそうです。

初代ボンドガールとも言えるハニー・ライダーはストーリーにまったく関係無い単なるお色気要員に過ぎず、「何よ、偉そうにに知ったかぶりしちゃってさ。毒蜘蛛の踊りや自分で自分を刺すサソリを見た事があるの?」と知性のかけらも無い野生児で、最後にはボンドにメロメロになるという何とも雑なキャラクター設定になっています。
午後ローで翌週「007 ロシアより愛をこめて」が放送されましたが、ボンドガールのタチアナ・ロマノフはロシアのスパイでボンドと対等に渡り合っており、時代とともに女性キャラの演出も変わるものだと思いました。
最後に美女とイイ感じで終わるのは定番で、本作もハニー・ライダーと船でいちゃつくシーンでエンディングを迎えます。

かの有名なソ連のスパイ、リヒャルト・ゾルゲは後に関係者の手記で「彼は非常に魅力的な人物だった。男も女も、彼に夢中になった」と語られており、やはり国家を背負って諜報活動に従事する人間というのは、相手の懐にもぐりこんで情報を引き出すため、ジェームズ・ボンドのような「人たらし」の要素が必須なのですね。
007シリーズはボンド役がダニエル・クレイグになってからシリアス路線に舵を切った感がありますが、私はピアース・ブロスナンまでの能天気でハチャメチャな構成が好みです。
ジェームズ・ボンドに複雑な背景など不要、ただ男性の憧れを具現化した偶像で良いのです。
あらゆるスパイ映画の原型にもなった記念碑的な作品を地上波で見れるのは、我らが午後ローだけですね。
今日も無事に家に帰って午後ローを見れている事に感謝😌です。
総合評価☆☆☆☆☆
ストーリー ★★★
流し見許容度 ★★★★★
午後ロー親和性★★★★★

コメント