MEMORY メモリー

公開 2022年
監督 マーティン・キャンベル
上映時間 114分
公開当時 リーアム・ニーソン(70歳) ガイ・ピアース(55歳)
「アルツハイマーを患う年老いた殺し屋」という設定だけで発明とも言えるアイデアであるにも関わらず、ストーリーに全く活かせていないのが惜しいと感じます。
御年70歳のリーアム・ニーソンのために当て書きしたのではと思うほど、現在の彼の魅力を引き出すのにこれ以上無い設定と言えます。
「シンドラーのリスト」で脚光を浴びて以降、演技派アクション俳優にシフトした彼にとって、この設定を最大限に生かせばキャリアの集大成とも言える作品になったかもしれません。
ノアール映画を得意とする韓国でリメイクすれば、そこそこの秀作になるのではないでしょうか。
高齢でアルツハイマー病を患う殺し屋アレックス。
ある少女を殺害する事を拒否したため、自らが組織に狙われる身となる…
アレックスは雇い主から、殺しの仕事を依頼される。
「誰か他の奴に頼んでくれ。実は辞めると言いに来たんだ」
「アレックス、お前に頼みたい。エルパソの仕事だ。故郷だろ? 俺たちに引退は無いんだ…」
元凄腕の殺し屋とはいえ、高齢でアルツハイマーを患う男に仕事を依頼することなどあり得るのでしょうか。
アレックスは手の震えや記憶の曖昧さで、日常生活すらおぼつかないものの、殺しの仕事に関しては隙が無く俊敏で、今まで培ったプロとしての経験値を感じさせます。
アレックスはアルツハイマーの薬を常用し、自らの腕にメモを書くなどして、記憶の補完に努めている。
本作にはガイ・ピアースが刑事役で出演しており、腕にメモを書く行為は「メメント」のオマージュでしょうか。
刑事、殺し屋、組織の人間、依頼人と登場人物が多く、ほとんどが知名度の低い俳優のため、顔と名前が覚えにくく、ストーリーを複雑にしてしまっている印象です。
ガイ・ピアースとチームを組むラテン系俳優も知名度の低い俳優で、さらに彼らにストーリーの核とも言える重要な部分を担わせているため、残念ながら全く流れに乗れず感情移入もできません。
両親から虐待を受ける13歳の少女、ベアトリス。
アレックスと少女との、心温まる交流が始まるかと思いきや、児童買春の証拠を消すため、ベアトリスは映画の中盤であっけなく殺害されてしまいます。
アレックスは幼い頃、兄と共に両親から虐待を受けた過去があり、そのためか何があっても子供だけは手に掛けないという信念を持っている。
彼はベアトリスを殺害した組織に報復を誓うのですが、たった一度短時間会っただけの少女になぜそこまでの感情移入をするのか、彼の幼い頃のトラウマを鑑みたとしても不自然で、脚本の雑さを感じます。
移民問題や児童虐待、政治家の不正や児童買春など社会的なテーマを盛り込み過ぎたせいか、アルツハイマーを患いながらも最後の仕事をするアレックスの悲哀に焦点を絞ることが出来ず、大風呂敷を広げ過ぎグダグダとした展開になってしまった感があります。
児童買春組織を陰で運営する富豪タヴァナの役で、モニカ・ベルッチが出演しています。
年齢は重ねたものの、ハリウッド女優にありがちなアンチエイジングを施していない風貌はナチュラルに妖艶で、静かな圧と存在感を放っています。
韓国映画「殺人者の記憶法」は、獣医の主人公ヒョンスがアルツハイマーを患いながらも、娘を殺人者の手から守ろうとするストーリーで、アルツハイマーであるという設定が実に効果的に使われていた印象があります。
ヒョンスはメモやボイスレコーダーで記憶を補完しようとするも、入院しているペットに血糖降下剤を1日に何度も投与してしまうなどの失敗を重ね、次第に自身も虚と実が曖昧になる。
が、たった一つ、娘を守るという使命だけは記憶に刻み込まれている…
重い内容にも関わらず悲壮感はさほどなく、主人公の記憶障害がサスペンスを仕掛ける装置として効果的に使われており、どこかコミカルでテンポも良く余韻を残すラストも印象的でした。
記憶は失っても、殺し屋としての矜持だけは保ち続けるアレックス。
俳優リーアム・ニーソンの売りはなんといっても、「演技力+アクション」という点で、本作でも頼りなげに宙を泳ぐ目や震える指先にその実力を見ることが出来ます。
高齢の俳優に無理やりアクションをさせるイタい作品は多く見られますが、本作では逆に老いを逆手にとって売りにしてしまおうという素晴らしいアイデアで、それを全く生かせていない脚本の雑さが実に惜しまれます。
本作も無駄な要素を削ぎ落し、アレックスの殺し屋としての仕事と悲哀に焦点を絞れば、少なくとも見応えは30%はアップしたでしょう。
おっさん俳優を最高にかっこ良く撮るのを得意とする韓国で、ぜひともリメイクして欲しい作品です。
今日も無事に家に帰って午後ローを見れている事に感謝😌です。
総合評価☆☆☆☆☆
ストーリー ★
流し見許容度★★★
午後ロー親和性★★★★★










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