キャリー
午後のロードショー大好きなパート主婦です。
午後ローがお休みの年末年始は思い出の映画を語りたいと思います。
公開 1976年
監督 ブライアン・デ・パルマ
原作 スティーブン・キング
公開当時 シシー・スペイセク(26歳)
一度見たら一生脳裏に刻まれるような強烈な映像で、当時小学生だった私は軽くトラウマになりました。
通学路にこの映画のポスターが貼ってあり、怖すぎて視界に入らないよう姉の後ろに隠れていたのを思い出します。
当時は大変な話題作で、「豚の血」「超能力」などのワードがテレビや雑誌でも飛び交っていました。
主演のシシー・スペイセクの「顔面力」で見せる作品と言えます。
ハードなホラー作品という印象だったのですが、大人になって改めてみるとキャリーのあまりの不憫さに「泣ける映画」ですね。
狂信的な母親に育てられた17歳の少女キャリーは、内気でクラスメイトからいじめられていた。
だがキャリーは感情が昂ると発言する超自然的な力を持っていた…
学校でシャワーを浴びている時に初潮を迎えるキャリー。
性に関して何の知識も無く、突然の出血に怯えるキャリーをクラスメイトの女子はからかい、皆で裸のキャリーに生理用品を投げつける。
思春期女子の悪魔的な冷酷さ…
キャリーの母親マーガレットはキリスト教を狂信的に信仰していた。
初潮を迎えたキャリーを「汚れた罪人」と罵り、物置に閉じ込める
クラスメイトのスーはキャリーをいじめた事を反省し、ボーイフレンドのトミーにキャリーをプロムに誘ってもらう。
キャリーは最初は断るものの、トミーの粘り強い誘いに折れて誘いを受ける。
キャリーは生まれて初めて母親に逆らいプロムへ行く事を決心する。
その頃、意地悪なクラスメイト、クリスたちは夜中に農場に忍び込み「豚の血」を採取していた。
失われた青春を取り戻すかのようにダンスを楽しむキャリー。
プロムのクイーンに選ばれたキャリーがステージに上がり皆からの祝福を受けている途中、頭上から豚の血が降り注ぐ。
血まみれになるキャリー。
覚醒し超能力が制御できなくなったキャリーは、パーティ会場の参加者を次々と血祭りにあげていく。
傷心で帰宅したキャリーを母親マーガレットは「汚れた者」として殺害しようとする。
キャリーは自らの「力」で母親を殺し、家は崩れ母子は炎に包まれる…
キャリーの幸福感がピークに達するパーティーのシーンからの、真っ逆さまに落とされるような終盤の暴走シーンは息を飲むような緊張感があり、監督の手腕を感じます。
「豚の血」には何か宗教的な意味合いがあるのでしょうか。
この世で最も汚れた物を頭から浴びせかけ笑いものにする… あまりに残酷過ぎて戦慄してしまいます。
毒親のせいで異端視されていたキャリーが、勇気を出して人生を変えようと試みるも悲惨な結果に終わるまったく救いのない内容です。
シシー・スペイセク演じるキャリーがあまりに可愛く、儚く、不憫で、プロムパーティで笑顔を見せるシーンは思わず涙が溢れてしまいました。
当時は血まみれのキャリーが超能力でクラスメイトを無差別に殺していくのを恐ろしく思いましたが、今改めて見ると人間の怖さの方が浮き彫りになっています。
母親のマーガレットはいわゆる「毒親」なのですが、宗教にハマった親とそれによって苦しむ子供というのは現在の社会問題にもなっていますね。
キャリーは学校という逃げ場のない閉鎖的な空間で、スケープゴートを求める女子たちの格好の餌食になってしまうのです。
2013年にクロエ・グレース・モレッツでリメイクされていますが、クロエは「キック・アス」のヒットガールのイメージからか元気が良すぎ、ガタイも良いため弱々しさに欠け、オリジナルのインパクトには遠く及んでいなかったと思うのです。
カッと見開いた宙を泳ぐ眼差し、可憐な少女から怪物に豹変するキャリーを演じたシシー・スペイセクの演技力と存在感無くしては、ここまで記憶に残る映画にはなっていなかったでしょう。
ショッキングな映像は今見ても全く色あせない名作青春ホラー映画ですね。
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